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第71話 葬儀

 あの時と同じ流れで、ヴィクトールの挨拶から始まり、神父っぽい人の鎮魂の言葉を紡ぐ。

 そしてこの後に生花を周りに供えて終了となる。


 この生花を供える時に、クリフォードの時は1班の面々が一言ずつ声をかけていた。

 私はあの時、意識的にそれを聞かないようにしていた。

 何をしても聞こえてしまうのはしまうのだが、1班のメンバーではない私ですらその一言に涙してしまいそうになったのだ。

 でも今回は3班の仲間だ。自分が言う番だし、仲間の言葉を聞かないわけにもいかない。考えただけで辛い。エレンのことを思っても辛い。


 神父の言葉が終わった。

 最初にガヴェインが生花を手に、パーシヴァルの元へと行く。


「パーシヴァル、お前の勇敢な行動は騎士として賛嘆さんたんに値する。安らかに眠ってくれ」


 次にフィリオが生花を手向ける。


「あなたの意思は僕が引き受けます。どうか、安らかに」


「仲間を守ってくれてありがとな。でも一緒に終わりたかった」


 アイゼンがパーシヴァルにすがって泣いた。アイゼンが涙を見せたのはこれが初めてのことだ。

 それを見ていたら次は私の番だと言うのに、抑えきれない涙が溢れた。


「パーシヴァル……僕たちは、誰を失ったって悲しいんだよ……ずっと忘れないから……」


 止めどなく溢れる涙が、パーシヴァルの顔を濡らす。

 エレンにはこの言葉が責めているように聞こえてしまうだろうか。

 落ちた涙を拭った時に触れたパーシヴァルの冷たさが、ひどく身に染みた。


「パーシヴァル、ありがとね……ありがと……」


 ニコラはただ、それだけを泣き縋って言った。


「勇気ある行動に賛嘆を。あとは任せろ」


 ベルナの言葉は何とも男らしい。


「パーシヴァル、救えなくてごめんな……」


 悲しげな表情で、セスが言う。

 今こうして見ているセスと、冷たく誰でも殺せると言ったセスは、どちらが本当のセスなのだろう。


「貴方のことは忘れません……パーシヴァル、ありがとう……」


「パーシヴァル……」


 リーゼロッテと共に、エレンが花を手向ける。


「パーシヴァル……ごめん……ごめん……っ」


 痛々しいほどに泣きじゃくるエレンを、リーゼロッテがそっと抱きしめた。

 あれだけ色々とあった2人だけど、この件でリーゼロッテはずいぶんとエレンを献身的に支えているように見える。リーゼロッテに頼るようだけど、いつか立ち直れるといい。いつか、ありがとうと言えるようになればいい。


 そうして、この場にいる全員がパーシヴァルに花を手向け、パーシヴァルの周りは花いっぱいになった。


 花、綺麗だね。

 

 どうか安らかに。


 パーシヴァルを乗せた馬車を3班全員で見送り、一度解散となった。

 私とニコラは自分の部屋へは戻らず、フィリオとアイゼンの部屋へと来ている。

 ただ静かに時が流れている4人用の部屋で、もういっそ私とニコラがこの部屋に来てしまおうか、そんなことをぼんやりと思った。


「僕たちは、どうやったらエレンを救えるんでしょうか」


 フィリオが長い沈黙を破って口を開いた。


「俺たちにそれができるのか? だってさ、エレンにとって必要だった言葉が"殺してあげる"だよ。そんなこと、俺たちの誰が言えたっていうんだ」


 半ば投げやりな感じでアイゼンが言う。


「このままエレンが死を望んだままだったら、セスはエレンを殺してしまうんですよ。そんなの、悲しすぎるじゃないですか」


「でもエレンがそれを望んでいるなら、それが救いになるなら、いいんじゃないのかな」


 そう、抑揚のない声で言ったのはニコラだった。

3班の若者みんなでババ抜きをやるサイドストーリーを同時に公開しています。パーシヴァルとの思い出的にぜひ読んでいただけると嬉しいです。

https://ncode.syosetu.com/n6711fq/

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