第61話 パーシヴァル・1
あれから約1週間。
私たちの前で言い争うようなことはないが、あの2人は未だいがみ合っているようだった。
任務に支障をきたしているわけではないので、ガヴェインも何かあったであろうことは察しているようだが、口を挟まない。私たちにそれを聞いてくることもない。
この任務も残すところあと3週間ほどなので、別にこのままでもいいっちゃいいのかもしれないしね。
今日の任務は7時~15時。一番やりやすい時間だ。
パーティー分けは、
フィリオ、ベルナ、ニコラ、私
パーシヴァル、アイゼン、エレン、リーゼロッテ
気まずい2人が同じパーティーだが、今日は私は必ずその2人とは別になるので正直気が楽だ。
2人はやはりあまり話をしない。まぁ、それでも任務はきっちりこなすし、必要があればちゃんと会話はするのでいいのだろう。
今はちょうど昼時で、ニコラとアイゼンが休憩に入っている。そろそろ自分の番かな、そう思いながら私は横穴側で討伐を請け負っていた。
その時、ワイバーンが2匹同時に現れた。
速いスピードで通り抜けていくワイバーン2匹の頭上から、広範囲に水を降らせる。
いつだかリーゼロッテがやった手法だが、何度かやってみた結果、ワイバーンはこれでこちらを標的として方向を変えることがわかった。
2匹がこちらへと向かってくる。横穴側に1匹、反対側に1匹だ。
フィリオとベルナが私たちの前へと出て、ワイバーンを待ち構える。
その間、ワープリンクに後衛が背を向けることになるので、セスが私たちの後ろでワープリンク前の見張りを行う。
向こう側はパーシヴァル、ガヴェインともにワイバーンを迎え撃つために崖側へと出てきていた。
術師たちがワイバーンへと詠唱を開始する。
「詠唱をやめろ!!」
突如、セスが叫んだ。
何事かと振り返った先には、リザードマンが2匹いた。
「!!!!」
そこから先の光景はいつまでも目に焼き付いて離れない。
セスは現れたリザードマンを1人で足止めしようとしたが、その内の1匹が詠唱をしているエレン、リーゼロッテの方へとすさまじい速さで移動していってしまった。
2人が気づいた時にはもうリザードマンは目前へ迫っていて、その刃をエレンへ向けて突き出していた。
それを、パーシヴァルが庇った。
エレンを突き飛ばした動作で、自分の守りがおろそかになったのだろう。リザードマンの刃がパーシヴァルの腹部を深々と貫いた。
リザードマンはパーシヴァルを刺したその刃を引き抜き、近くで転がっていたままのエレンへと振り下ろす。
それを阻止するようにセスが気を飛ばしてリザードマンのターゲットを自分へと変えた。
たぶん、セスは1匹を瞬殺してすぐにもう1匹の元へと駆けつけたのだろう。パーシヴァルを刺したリザードマンもあっという間に倒していた。
ワイバーンはどうしたのか覚えていない。というか、私は何もできなかった。
たぶん、フィリオとベルナが倒したんだと思う。
向こう側のワイバーンも、きっとガヴェインが倒したのだろう。
私は血の海に倒れて動かないパーシヴァルの元へと走った。
本来ならば私たちはここから動いてはいけないのだろうけれども、そんなことに気を回す余裕はなかった。
「パーシヴァル!! パーシヴァル!!」
エレンがパーシヴァルに縋りついて悲痛な叫びを上げている。
パーシヴァルの意識はない。この前のフィリオの怪我とは比べ物にならないほどに出血をしている。
セスは、パーシヴァルの前に跪いて傷を確認していたが、何もすることなく立ち上がった。




