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第58話 みんなのこと

 それから2週間、いつも通りの日常に戻っていた。この討伐任務を日常、と言っていいのか分からないけれど、まぁ、いつもの日々だ。


 任務開始からは早いもので2ヶ月を迎える。

 この2ヶ月で3班のメンバーはだいぶ打ち解けてきたように思う。女子のことはよく分からないが、男子たちとはそれなりに深いところまで知る関係にはなってきている。


 フィリオは、シスタスでは有名な騎士団一家なのだそうだ。両親もお姉さんも騎士として活躍しており、そんな家族を見てきたフィリオは自分も騎士を目指しているのだとか。

 何も討伐隊に志願しなくとも騎士になれるんじゃないのかと聞いたら、なれるかもしれないけれど家族全員討伐隊を経て騎士になっているから自分もそうしたいと返ってきた。

 自分だったら絶対コネで何とかしてもらいそうなので、フィリオの立派さは見習わなければならない。


 パーシヴァルは、シスタスで食料品店を営む両親に4人の兄弟がおり、7人家族なんだそうだ。兄弟の中ではパーシヴァルが一番年上で家族を支えるために騎士を目指している。これもまた立派だ。


 アイゼンはカルナに住んでいる魔族一家。魔族と言っても両親はカルナで普通に職に就いていて、アイゼンは生まれた時からずっとカルナに住んでいる。でもカルナの学校へは行かずに武術道場で腕を磨き、ランクポイントのために討伐隊へと参加したらしい。私と似たような感じだ。


 ニコラは騎士団の魔術師であるお父さんと、ごく普通の専業主婦のお母さん、シスタスの神魔術学校に通っている妹の4人家族。お父さんが騎士団の魔術師だからニコラも妹も騎士団に入りたいらしい。


 エレンとリーゼロッテについてはよく知らない。

 最初にエレンがシスタスの神魔術学校出身で、リーゼロッテがカルナの神魔術学校出身と聞いただけの情報しかない。


 ベルナについてはいつだか休憩が一緒になった時に聞いたことがある。カルナに住む獣人で、お父さんはどこかの名家の護衛として働いているらしい。お母さんは今は働いていないが、昔は腕の立つ武人だったみたいで、家にいる弟に武術を教えているんだとか。


 この時に獣人についてもう少し詳しく教えてもらった。

 ベリシアという国は15年ほど前、国王が交代した際に奴隷制度や人身売買が禁止となったのだが、その制度があった頃は獣人が奴隷として売買されることが多かった。しかし今でも裏では人身売買が行われていて、獣人はその標的となることが多いのだそうだ。

 カルナに住む獣人は比較的高貴な部類で、シスタスやファルシオスに住んでいる獣人は生活に困ると人身売買で子を売ったり、治安の悪い場所で人攫いにあったりすることは少なくないのだと言う。

 格差が激しい種族のようだ。


 セスについては天族ということしか知らない。

 休憩が一緒になった時には戦闘のアドバイスをしてくれることが多いので、そういう話にならない。

 天族のことはよく知らないので色々と聞いてみたい気もするが、セスのアドバイスはとても身になるので今はそちらを聞いておきたい。


 ガヴェインは討伐隊から騎士団になった、という話しか知らない。討伐隊を経たということは、シスタス出身なのだろう。

 昔がどうだったのかとか、そういうことを気軽に話せるような間柄ではない。


 こんな感じでエレンとリーゼロッテについてはほとんど何も知らない。ニコラに聞けばエレンについてはもう少し分かるのかもしれないけれど、人のことをあれこれと詮索するのもよくないので聞いたことはない。


 そして私にはよく分からないこの2人が、よく分からない理由である日突然大喧嘩を始めた。

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