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第46話 リザードマン

「さぁ、もう戻ろう。今後はあまり任務時間外に無理はしないでほしいね。これくらいの怪我なら何とでもなるが、深い傷は俺も内密にはやれなくなる」


「はい、ごめんなさい」


 セスの言葉に素直に頭を下げる。

 でもそう言うってことは今回は内密にしてくれると言うことかな。

 まぁ、バレたらバレたで正直に言うしかないわけだし、その辺を深く考えるのはやめよう。


 お風呂には、セスはこなかった。というか今まで一度もガヴェインとセスは私たちと一緒に入っていない。騎士団の人は時間が別に設けられているのだろう。

 ともかく、あの時に痣を消してもらわなかったらここでフィリオたちにバレるところだった。本当によかった。もうベルナの訓練に付き合うのはやめよう。気を避けられない以上、やったらまた怪我をする。


 2回目の任務。

 今日のパーティー分けは


 パーシヴァル、アイゼン、私、エレン

 フィリオ、ベルナ、ニコラ、リーゼロッテ


 私は横穴側で殲滅せんめつする係に就いていた。

 1回目と同じく出てくるのはバジリスクがほとんどで、たまにスネーク、もしくは両方が一緒に出てくるような感じだった。

 パーティーメンバーが変わったとはいえ、倒し方もだいぶ慣れて安定してきている。


 そんな時、今まで一度も見たことがないモンスターが現れた。


 体長2mくらいの2足歩行するトカゲ。リザードマンか。

 周りのみんなが息を飲む。

 私は素早くリザードマンに石つぶてを放つ。しかしリザードマンは難なくそれをぎ払った。

 そして、バジリスクやスネークとは比べ物にならないほどのスピードでこちらへ走ってきた。


「!!!」


 一番手前にいたアイゼンへと飛びかかる。

 振り上げた右手は鋭い刃へと姿を変えていた。

 キイイィィンという甲高い音と共に、アイゼンがそれを剣で受け止める。それと同時に横からパーシヴァルがリザードマンに切りかかった。鍔迫り合いをしていたアイゼンの剣を弾くようにして、リザードマンは後方へと飛んで避けた。

 着地するとすぐさま地面を蹴って今度はパーシヴァルへと狙いを定める。


「岩石の槍よ、かのものを貫け!」


「風よ、かのものを切り裂け!」


 私とエレンが同時に詠唱をして術を放つ。

 パーシヴァル手前、リザードマンが到達するであろう場所を予測して術を放ったのだが、それを察知してかリザードマンはその手前で急に止まった。そして助走もなしにその場で地面を蹴り高く跳躍した。誰もいないところで術が空振りする。エレンの術も当たった形跡はない。


「なっ……」


 パーシヴァルとアイゼンを飛び越え、狙いを私たちへと定めたらしい。リザードマンが不気味に光る鋭い刃を構え、急接近してくる。

 私は隣にいたエレンを強く突き飛ばし、自分も横へと飛んだ。

 私とエレンがいた場所に着地したリザードマンに、後方から駆け付けたセスが横殴りに剣を振るう。しかしリザードマンは体を落としてそれをかわし、セスをすり抜け私の方へとおかしい速度で走ってきた。避けるのは間に合わない。私はリザードマンの鋭い刃を、岩の盾で防いだ。


 のだが。


「くぁっ……ああぁっ……」


 リザードマンの刃は岩の盾を貫通して、それを形成していた私の右の手の平へと刺さった。手の平から手の甲まで貫通したそれから血が滴り落ちる。痛みで集中できなくなり盾は砂となって崩れ落ちた。

 と同時にセスがリザードマンへと切りかかっていた。リザードマンは刃を引き抜き横へと避けたものの、避けきれなかった剣先が肩口を掠めた。

 しかしリザードマンが飛んだその場所には。


「パーシヴァル!!!」


 振り向きざまにリザードマンが着地点のすぐ側に立っていたパーシヴァルへと刃を振るう。パーシヴァルがその刃を何とか剣で受け止めリザードマンの動きが止まった瞬間、横から来たアイゼンがリザードマンの首をめがけて剣を振った。

 が、反対側の刃でリザードマンはその剣を受け止め、2人の剣を弾くようにして後方へと飛んで行った。だがその場所にはセスが待ち構えている。そのセスが、飛んできたリザードマンの首を切り落とした。

 リザードマンの体が崩れ落ちる。


 静寂が訪れた。

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