第41話 任務開始・5
「リーゼロッテ、ごめん、僕が引きつけるって言ったのに動けなくて」
「大丈夫です」
咄嗟に対処してくれたリーゼロッテにお礼を言ったが、そっけなく返されてしまった。なかなか彼女と打ち解けるのは難しいな。
スネークの死体を解体するのにガヴェインとアイゼン、ニコラがやってきた。ニコラが風の魔術で効率よく死体を解体していく。
なるほど、ああやって解体すればいいのか。他の人がやっているのを見ているのは勉強になる。
3人で何度か往復して解体した死体を少しずつ運んで行った。残りの2人は常に向こう側で待機するのが決まりのようだ。正直私はヘビが苦手なのであれを運べと言われたら若干辛いところではあるがそれが任務ならやるしかない。
…………やりたくないなぁ……。
その後もバジリスク、スネークと何度か出てきたが、危なげなく倒せた。バジリスク2匹とスネーク1匹が同時に出て来た時もあったが、反対側のパーティーがスネークを引きつけてくれ、問題なく狩ることができた。
だが、リザードマン、ワイバーンについては一度も出てこない。いや、リザードマンは特に強いみたいだから出てこない方がいいのだけれど。
ずっと周りが暗いため時間の経過がよく分からないが、数時間経ったと思われる時分にガヴェインから交代で休憩に入るように指示された。
食事を摂らないこの夜の任務時にもちゃんと休憩はあるようだ。そしてその間はサポートとして後方に控えていたガヴェインとセスが代わりに入るらしい。
それと同時に、横穴側と反対側のメンバーが交代となった。
最初にベルナとエレンが休憩に入ったので、私は死体処理係として反対側の壁際で待機する。
「ワイバーンが出てきたらこちら側の術師もワイバーンの処理に当たってくれ」
「分かりました」
こちら側に来るなり、ガヴェインがそう指示を出した。まぁ、そうでもしなければワイバーンを迎撃するのは難しそうだし、それについては異論はない。
交代で休憩に入っている間にもバジリスクが何匹か出てきたが、横穴側のパーティーは難なく狩っていた。セスが強すぎてあっという間に終わっていると言ったほうが正しいのかもしれない。
初めてやる死体処理の方も、特に問題はなかった。ニコラがやっていたのと同様に風の神術で敵を解体して、運んで崖下へと落とす。単純に力作業だ。
ベルナは力があるので大丈夫そうだが、リーゼロッテにはなかなか大変な作業だろう。しかし弱音を吐くこともなく黙々とやっている。
そうこうしているうちに、私の休憩の時間がやってきた。
アイゼンとの休憩である。
2人で横穴にある椅子に腰かけて休む。机の上には砂時計が置いてあり、これが落ち切った30分で休憩は終わりとなる。
私は用意されているコップに水を注ぎ、アイゼンへと差し出した。アイゼンはお礼を言ってそれに口をつける。
「想像よりも敵が出てこないもんだな」
アイゼンが言う。
体感的には30分に一回くらいのペースだろうか。それが多いのか少ないのかはきっと人それぞれの感覚なのだろうけれど、私はこんなものだろうと思っていた。
「まぁ、想定よりも頻度が低いならそれに越したことはないと思うよ」
「まぁな。この感じなら危なげなく任務をこなせそうだけど、まだリザードマンが出てきてないもんな。どうなんだろうな、リザードマン……」
それはたぶんみんなが気になっているところだろう。元々リザードマンが出現する頻度は低いと聞いてはいるが、手強い相手だろうし緊張は解けない。
「アイゼンは魔族なんだよね? リザードマンは見たことないの?」
「ない。俺は生まれた時からミトスにいるんだ。ルブラには行ったこともない」
親がミトスに居を構えているということだろうか。そういう魔族もいるんだな。
「そっか。じゃあ本当に未知数だね」
「でもこの班なら大丈夫そうな気がするよな。みんなちゃんと戦い方わかってるしさ。セスもいるし」
アイゼンのその言葉はなんだかフラグに聞こえるのだが、本当に大丈夫だといい。
仲間の死なんて見たくはないし、私もこんなところで死にたくない。




