第31話 任務概要・2
「質問です」
違う班のヒューマっぽい青年が手を挙げた。
「なんだ?」
「モンスターはルブラから偶然にワープポイントを通ってこちらに来るのですよね。ならば偶然またワープポイントから帰っていくことはないのでしょうか?」
「ないと考えていいだろう。ワープポイント前は常に人がいるし、何よりこちら側から見えるワープポイントと、向こう側から見えるワープポイントは形状が違う」
ということは実際に誰かがワープポイントを通ってルブラに行ってみたのだろうか。あぁ、そうだ、確かデッドラインのワープポイントは相互リンクで、同じ場所に出て同じ場所へと帰って来れるんだっけ。最初に行った人は勇気がある。帰って来れるかもわからないのに。
「こちら側のワープポイントは山肌に入った亀裂だが、向こうはそうじゃない。広い湿原のど真ん中に地面から空まで円柱状に伸びている。その柱に触れるとこちらへとワープするのだ。だからワイバーンも飛んでいる勢いのままこちらに来る」
地面から空まで円柱状に伸びている?
なんだかよく分からない。光の柱のようなものが湿原の真ん中に立っていて、それに触れただけでワープするってことかな?
なんだか思っていたワープポイントと違う。
「こちらからルブラへ帰るとしたら山肌の亀裂へと入らなければならない。知能が低いモンスターだ。亀裂へ引き返すとは考えにくい。実際俺が任務に当たっていた時に引き返した事例はない」
向こうからは通り道にあるワープポイントに偶然触れてくるのだろうけれど、こちらから帰るとしたら意図を持って亀裂へ入らなければならないってことか。確かにそれは可能性として0に近いだろう。
「なるほど、そういうことなのですね。ありがとうございます」
青年も納得したのか、素直に頷いた。
「他に質問があるものはいるか?」
ヴィクトールが尋ねるが、正直そう聞かれても何がわからないのかもわからない。実際に行ってみたら疑問は出てくるのかもしれないけれど。
他の人も同様なのか、誰からも手が上がらなかった。
「ないなら次の説明に移るぞ。討伐には各班1人ずつ、治癒術師が専属で付く。各班の治癒術師は後程班長より紹介させる。ワープポイント前の広場に横穴を掘ってあり、そこが食事休憩や怪我人の治療に当たるスペースだ」
すごい、班に治癒術師が専属で1人付くのか。ということはそれほど怪我の頻度が高いということだろうか。
その後は食事の時間や、お風呂の時間についての説明だった。他の班と重ならないように、このシフトの時にはこの時間、という感じで割り振られている。
そして洗濯の頼み方や、受け取り方など3か月生活していく上で必要な事項を説明し終えて解散となった。
今日と明日は別の討伐隊の任務期間なので、その隊員たちと重ならないように行動しなければならない。班長の指示でお風呂と食事の時間が割り振られ、3班はすぐにお風呂に入ることとなった。
「お前、顔赤いぞ? のぼせてるんじゃないか?」
なるべく周りを見ないように、なるべく考えないようにとがんばっていたお風呂タイム。湯船に浸かって目を閉じていたら突然アイゼンに声をかけられた。
「そ、そうかも、もう上がろうかな。先上がるね!」
「え、おい……」
これはいいタイミングとさっさと上がることにした。
3班の男子はみんな美形だ。
そんな美形たちとお風呂タイムなんて耐えられない。せっかくなんだから見ればいいのにと頭で思っても体が拒否する。
これから3か月もこんな感じで耐えなければならないなんて……。
大浴場のみじゃなくてシャワールームみたいなものがあればよかったのに。
疲れをとるためのお風呂なのに余計に疲れそうだ。
多くは語りたくないので考えるのはもうやめよう。




