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第29話 駐屯地

 朝、本日のパーティー決めである。

 大した相談もせずにくじ引きのような感じで


 A:ベルナデット、アイゼン、私、エレン

 B:フィリオ、パーシヴァル、ニコラ、リーゼロッテ


 このように決まった。


 出発してもうすぐ昼に差し掛かろうとしている時に、森の入り口が見えた。

 森に入る前に昼休憩を、ということで火を起こして各自昼食タイムである。


 正直言ってこのパーティー、あまり会話がなかった。

 ベルナとアイゼンのエレンに対する印象もあまり良くなさそうなのもあるし、エレンもエレンであまり話すこともしない。たまにベルナとアイゼンが武器について話していたくらいだ。


 昼休憩は8人と班長であるガヴェインで揃って摂る。

 その時はエレンはよくニコラと話していた。やはり同じ学校の出身で同期だからだろう。


 昼休憩が終わり、森に入るとさっきまでが嘘のようにちょこちょことモンスターが出てきた。突然横から沸いて出てくるので気が抜けない。

 と言ってもベルナやアイゼンの反応が早いので、こちらの出番はほぼほぼない。Bパーティーのフィリオとパーシヴァルも同様で、出てきたモンスターをすぐさま狩っていた。特に私以外の術師は詠唱を必要とするのでなおさら出番がない。今のところ出現するモンスターはあまり手強くはないが、なかなか頼もしい前衛たちである。


 夜、さすがにゆっくりとは休めなかった。

 火を焚けばその煙にモンスターも寄ってくる。

 見張りを2人から4人に変え2交代としたが、自分が休みの時間でも戦闘になれば騒がしいので結局寝ることはできなかった。それは他の人も同様だったようで、若干の疲れを見せたまま出発することになった。


 それならばいっそ休まずに一気に進んではどうかと提案した者もいたが、騎士たちに言わせれば寝ることができずとも目を閉じて体を休めることが大事なのだそうだ。


 そんなこんなで昼前にはデッドライン麓の駐屯地に到着した。


 デッドライン麓の駐屯地は、パーシヴァルが言っていたように森を切り開かれて作られていた。

 一言で言うならば、RPGでよくある"小さな村"という感じの場所だ。

 どの建物も石で作られていて、無機質さを際立たせている。

 その中でも一番大きな建物が宿舎なのだろう、数十人が一度に寝泊まりできるくらいの大きさだ。


 着いて最初に案内されたのはその宿舎だった。

 班長がそれぞれの班員を引き連れ、各部屋へと案内する。1班に付き4人部屋が3部屋あてがわれており、班の男女がどんな人数編成になっても男女別に泊まれるようになっている。


 3班は男5人、女3人なので、女性は3人で1部屋、男性は2人と3人に分かれることになった。

 前衛組と後衛組で分ければいいんじゃない? というアイゼンの適当な意見に、それでいいねと誰も異論を唱えることなく決まった。


 つまり私はニコラと2人。


 正直男性と2人だけというのも緊張するのだけれど、私は男なわけだしニコラは草食系男子なので若干の安心感はある。

 というか心配しなくても男なんだから襲われることなんてないんだよね……きっと。たぶん。あったら困る。


 荷物を置き、次に向かったのは食堂がある建物だ。

 ちょうどそこでは今現在討伐に当たっている討伐隊の班員が昼食を摂っていた。

 食べたらすぐ出発し、15時~23時まで討伐に当たるのだそうだ。

 思いの外立派な厨房があり、数人がそこで従事している。私たちの食事も夜から出るらしい。


 次はお風呂場。部屋にお風呂がなかったのでそうだとは思ったけれど、大浴場である。

 いつでも入れるように、火と水の混合術を使えるお風呂係がいた。


 そんなことより問題なのは大浴場ということである。


 とりあえず自己紹介の時にちゃんと男と言っておいたのはよかったが、他の男性たちと一緒に入らなければならない状況になることは間違いない。

 どうしよう。目のやり場にどうしよう。今まで頑なに父との入浴を拒否してきたというのに、どうしよう。慣れるしかないし、変に挙動不審になってもいけないのは分かるけどどうしよう。

 どうしようもないんだけどどうしよう……。


 がんばろう。


 私は男。


 そう、男だから。

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