エピローグ
「ねぇ、ヨハン。あたしに居場所をくれて……育ててくれてありがとう。本当に感謝してる」
レクシーがヨハンに語りかけている。
「…………」
それを黙って聞いているヨハンの表情は険しい。そこにどういう感情を持ち合わせているのかを窺い知ることはできなかった。
でも、レクシー……ちゃんと約束を果たしてくれたんだね。
ありがとう。
「…………」
眩しい。
眩しくて、何も見えない。
「泣かないな。出来損ないか?」
「…………」
ミトス語が聞こえた。
男の人の声だった。
「叩いてみろ」
別の男の人の声がする。
「あ……っ!」
お尻を強く叩かれ、思わず呻く。
「声は出るようだ。問題ないだろう」
「よし、ではこの検体はB125-381番だ」
「…………」
この感覚には覚えがある。
確実に覚えているのは一度、本来ならばすでに二度、経験している。
赤子の感覚だ。
いまいち状況が理解できない。
私は死んだはずだ。
セスの手によって、殺された。
でもこの感覚は前世で死んでシエルとして生まれ変わった直後に似ている。
母親らしき人の声は聞こえないが、視界が白く光ってよく見えないことや、上手く体が動かせないこの感じがそっくりだ。
しかも、聞こえてきた言語は確実にミトス語だった。
つまりは記憶を持ったまま、再び地族に転生した?
転生者は何度でも記憶を保持したまま転生できるとか?
いや、そんなまさか。
記憶を保持したまま何度でも転生できるのだとしたら、ヨハンの元を訪れた他の転生者が再び訪れていてもおかしくないはずだ。
何人か転生者に会ったことがあると言っていたので、ヨハンがそれを知らないはずがない。
ということはもしかして、これが私が持っていた転生者特有の特殊能力?
もし本当にそうなのだとしたら……監視者を失ったこの世界で、私は今度こそセスと一緒に生きていけるだろうか。
会いたい。セスに会いに行きたい。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
彼らの物語はいかがだったでしょうか。
少しでも心に残る何かを感じていただけましたら嬉しく思います。
~この後の彼らが気になっていただけた方へ~
続編のご案内です。
クルスの調べ - 久遠へと続くノクターン -
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明かされなかった過去と動き出す未来、入り交じる各々の想い。
そんな彼らの物語にもう少しだけお付き合いいただけると幸いです。
3月から連載開始予定ですが、プロローグのみ先行公開しておりますので、もしよろしければブクマしていただけると今後の励みになります。
また、サイドストーリーにてヨハン編を近々公開する予定ですので、そちらも合わせてお読みいただけると嬉しいです。
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