第28話 学校・2
火は班で1つ起こすので、必然的にそれを囲んで8人と班長での食事となる。
これだけの人数がいれば中々に賑やかなもので、誰かしらが何か話しているのだが大体が学校の話であった。学校に行っていないヒューマ以外の種族は置いてきぼりになっている感じだが、前世で学校に行っていた身としてはこちらの世界の学校の話を聞くのは面白い。
武術学校と神魔術学校はカルナとシスタスにそれぞれ1つずつあり、商業学校はファルシオスに1つ、職人用の専門学校はカルナの先にあるヴェルナンテという街に1つあるらしい。
医術師専門の学校はカルナにあり、神魔術学校の卒業が必須となっているのだそうだ。
ちなみに武術学校と神魔術学校は、シスタスよりもカルナにある学校の方が格式が高いらしく、卒業と同時に騎士見習いになれるのはカルナにある学校を卒業しないとほぼ無理とのことで、ここにいる卒業生はほとんどがシスタスの学校出身者だった。
3班で唯一カルナにある神魔術学校を卒業しているリーゼロッテは、エレンになぜオルコット家の令嬢がここにいるのかと聞かれていたが、硬く口を閉ざしていた。
なるほど。リーゼロッテは名家の出なのか。
そんなエレンはフィリオとパーシヴァルに口を慎めと注意をされていた。
若干グループ内が気まずくなってきたが、班長のガヴェインは口を出さずにずっと成り行きを見守っている。あえてそうしているのだろうか、それとも元々無口な人なのだろうか。
獣人であるベルナと魔族であるアイゼンはそんなやり取りをくだらないものを見ているかのような態度で黙々と食事を摂っていた。
夜は2人ずつ交代で見張りを行うこととなった。1時間半ずつで計6時間。時計もないのにどうするのかと思ったら、何と砂時計が登場した。30分で落ち切るものなので、1往復半で次の組に交代になる。
この世界にも砂時計があるんだなぁ。何だか感慨深い。
最初の見張りは私とパーシヴァルだ。
基本的に前衛と後衛の組み合わせで見張りを行う。
他の班も同様に2名ずつ見張りを立てているので8人と、騎士団の人間が1人。こんなに見張りの人数が必要なのかとも思うけれど、明日から森の中になるし夜も忙しくなるのだろう。
「シエルは騎士団見習い志望なのか?」
不意にパーシヴァルが話しかけてきた。かろうじて聞き取れるくらいの小さい声なので、うっかりすると聞きもらしてしまいそうだ。
「僕はただ冒険者ランクを上げたいだけだよ。旅をしたいんだ」
「そうか。エルフだもんな。ベリシアの人間じゃないもんな……」
「パーシヴァルは騎士団に入りたいの?」
そう聞くとパーシヴァルは真剣な表情をして頷いた。
「ああ。俺の家は名のある家でもないからな。俺が騎士になって家族を守りたいんだ」
本当に漫画のキャラクターのようだな、パーシヴァル。熱血主人公の側にいる参謀的な感じがする。
「立派だねパーシヴァル。応援してるよ」
それなのに酷く月並みな言葉しか出ないのは自分に語彙力がないからか。
「ありがとうシエル」
それでもパーシヴァルは嬉しそうに笑う。
そんな風に笑うところを初めて見たかもしれない。ちょっとドキッとした。
「フィリオとは同じ学校出身なんだよね? 仲がいいの?」
「ああ、同期だな。学生時代は仲が良かったってわけじゃないけど、この依頼を受けた時に一緒に騎士になろうと話はした」
「いいね、そういう仲間。僕は里で年が近い人もいなかったからずっと1人だったよ」
「もう俺たちは仲間だろ? この依頼が終わるまではさ」
やだ、イケメン。惚れそう。
「そうだね、がんばろう」
私も笑顔を返した。
この世界に来て初めて仲間らしい仲間ができた。
班の雰囲気は今若干気まずいけれど、何とか上手くやっていきたい。前世で上手く馴染めなかった学校生活をやり直しするような気分だ。
その後は静かに過ごして次の見張り組と交代した。




