第26話 3班・2
「……ニコラ・ローハンです。17歳ヒューマ、魔術師です。よろしくお願いします」
ざわついた雰囲気に言いだしづらくなったのか、リーゼロッテの隣に立っている少年がおずおずと切り出した。
琥珀色の髪に同色の瞳をした、なよなよした感じの少年だ。
いかにも術師という感じのグレーのローブを着ている。
「アイゼン。15歳エルゴニー族。魔族だけどよろしく。前衛担当だ」
鈍色の髪に赤の瞳をした耳の尖った少年。
耳が尖っていると言ってもエルフほどではなく、ちょうどカルナにくるまで護衛をしてくれていたカーラと同様の耳をしている。エルゴニー族と言われてもどんな種族なのかさっぱり分からないが、ベルナと同様に防具は身に付けておらず軽装だ。
魔族、という言葉に顔を顰めるものもいたが、誰も何も言わなかった。
「シエルです。15歳エルフ、神術師。よろしくお願いします」
「男!?」
自分の番が来たので同様に自己紹介すると、隣のアイゼンがわざとらしく飛び退いた。
「……そうだけど?」
「ごめん。女かと思って」
私の言い方が不満げに聞こえたのだろうか。アイゼンが慌てて謝った。
「いや、いいけど別に」
「エレン・フローリー、17歳ヒューマ。魔術師よ。よろしく」
私たちのやり取りを遮るように隣の少女が自己紹介をした。
おだんごにした赤い髪に空色の瞳をした気の強そうな少女だ。
アイゼンの自己紹介の時に顔を顰めた張本人であり、第一印象的に私が苦手なタイプ。白いローブを着ている。
「パーシヴァル・スタイン、17歳ヒューマ。剣士です。よろしく」
長い金髪を後ろで一本に縛った紫の瞳の少年。
フィリオと同じように簡易的な防具を身に付けている。右側だけ長い前髪で右目が少し隠れていて、なんだかアニメのキャラクターみたいな印象を受ける。クール系男子といったところだろうか。
「よし、これで全員だな。じゃあ今日のパーティーを話し合って決めろ。前衛2人、後衛2人になるようにな」
今日もパーティー分けするのか。道中でモンスターが出た時のためってことかな?
「じゃあどう分ける? 前衛と後衛で話し合うか?」
「今日のところは話し合うも何もなくない? 適当でいいんじゃないの?」
パーシヴァルの言葉にエレンがめんどくさそうに言う。
「まぁ、確かにそうですが、話し合うことに意味はあると思いますよ。これから3か月共にするわけですから、親睦は深めるべきです」
パーシヴァルをフォローするようにフィリオが間に入った。
「じゃあ前衛と後衛に分かれて話し合いましょ。AとBにそれぞれ分かれればいいわよね。後衛はこっちに来て」
エレンが少し距離を取って後衛を集める。
なぜエレンが1人で仕切っているのかは謎だけれど、とりあえず素直に従おう。同様にニコラとリーゼロッテもエレンの側に寄った。
前衛もみな集まって話し合うようだ。
「話し合うこともないと思うけどね」
「なら今日は適当に男女で分かれたら?」
肩をすくめたエレンに提案してみる。ちょうど男女2名ずつなので適当に分けるには最適だ。
「異議なし。他の2人はどう?」
「僕もそれでいいよ」
「私も構いません。どうせ順番に全員と組むのですから」
エレンの問いかけにニコラとリーゼロッテも素直に頷いた。
そう、順番に全員と組むのだから最初がどうであってもあまり関係はないのだ。
「じゃあ男がAで女がBね。ところで、みんなは何の術を使えるの? 私は火と風」
「僕は風と地」
「私は水と地です」
彼らが口々に申告しているように、ヒューマはエルフと違って最大でも2元素しか扱えない。治癒術が扱えるヒューマは治癒術しか扱えない。
それにしてもエレンが火と風、ニコラが風と地、リーゼロッテが水と地。なかなかバランスがよさそう。
「貴方は4大元素全部扱えるんでしょう?」
エレンがそう言いながら恨めし気に見つめてくる。
「しかも触媒もいらなくて、無詠唱でできるんでしょ? うらやましい」
ニコラも嫉妬の目で見つめてくる。
「まぁ……エルフだから。一応触媒は身に着けてるけど」
そんな目で見られてもそうとしか答えようがない。
「こればっかりは妬んでもどうしようもないでしょう? さぁ、早く分かれましょう」
リーゼロッテはそう言うと、さっさと前衛組の方へ歩いて行ってしまった。
中々近寄りがたい雰囲気を出している。




