表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
255/293

第248話 地下洞窟の入り口

 地下洞窟の入り口は学校の近くにあった。

 まぁ、入場券を売っている場所が学校のすぐ側なので当然といえば当然なのかもしれない。


「この建物の中に入り口があるの?」


 先ほどの入場券売り場はこじんまりした建物だったが、今目の前にある建物はなかなか大きい。街のギルドと同じくらいだ。およそこの建物の中に洞窟へ続く入り口があるようには見えない。


「ああ。ここは国の管轄かんかつだからね。言うなれば、ベリシア騎士団の詰所と同じだ。怪我人の治療を行える設備や人員も揃っている」


「はは~……なるほど」


 セスの言葉に思わず感心の声を上げてしまった。

 ヒューイの依頼を受けた時に使った病院兼詰所と同じというわけか。なるほど、分かりやすい例えだ。


「早く行きましょ」


 そんな私たちの横をさらりと通り抜けて、アンジェリカは1人でさっさと建物の中に入って行ってしまった。女王様は気が短い。


「俺たちも行こうか」


 呆れたように笑うセスに続いて、私も建物の中へと足を踏み入れた。


 そこは思いの外たくさんの人で溢れていた。


 入場券売り場と同じような造りの建物なのに室内はずいぶんと明るく、ミステリアスな雰囲気は微塵も感じられない。照明の数が多いということもあるのだろうが、青い鎧を纏った騎士らしき人たちが雑多に行き来しているからというのもあるだろう。


 この建物に入って最初に持った印象は会議室、だった。入口の前方には2階に上がるための階段、その右側にはお偉いさんが座るような黒い椅子と机があり、向かい合うように多数の長机と椅子が置かれている。階段の左側には応接室にあるような豪華な机とソファーが数台ずつ置いてあり、その奥に地下へと続く階段が見えた。まるでダンジョンRPGの階段のように、不自然に床をくり抜いたような階段が作られていた。


 人がすれ違えるくらいの幅を持ったその階段の前には、青い鎧を来た騎士が2人ほど立っている。階段を上がってきた冒険者なり学生なりには目を向けず、階段を下りようとする人間から入場券を受け取って通行の許可を出しているようだ。これだけ部屋の中に騎士がいれば、強行突破は不可能だろう。

 騎士の詰所に誰でも入れるというのはおかしな話のようだが、あえてそこに地下洞窟の入り口を置いているのはそういう理由なのかもしれない。


 アンジェリカは階段の左側にある応接室のようなスペースで待っていた。

 これは地下洞窟を利用する人のために設けられているのだろう。冒険者と思わしき人たちがちらほらと休憩をしている。


 先を行く人たちにならって階段の前に立つ騎士に入場券を渡すと、何の言葉もかけられることはなく、すんなりと通してくれた。

 心なしかいぶかしむような目線でアンジェリカを見ていた騎士は、そんな恰好で行くのかと思っているに違いない。


「シエル、この地下洞窟のモンスターはクルヴァンと同じように洞窟内を転移する。モンスターによって転移する範囲は異なるが、すぐ側にいきなり現れることもあるから気を付けて」


「えっ……そうなの!?」


 想像していたよりも長い階段を下りながら、セスが思い出したように言う。

 予想だにしなかった言葉に思わず出た驚愕の声は、閉鎖的な階段内に大きく響いた。先ほどすれ違った人たちを振り返って見ると、彼らも同じように振り返ってこちらを見ていた。驚かせてしまったようだ。


「ここのモンスターは消える時も現れる時も音がする。必要以上に警戒する必要はない、大丈夫だ」


 慌てた私を諭すようにセスが苦い笑みを浮かべて言った。


「音……?」


 どんな音だろう。アニメか何かでキャラクターが瞬間移動する時によく効果音としてつけられているシュンッて感じの音でもするのだろうか。


「実際に目にしてみれば分かる」


 そう言ってセスは私の方を振り向くことなく階段を下って行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ