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第232話 アンジェリカと愉快な仲間たち

「さて、アンジェリカ。あんたがパーティーリーダーだろ。パーティー名は何にするんだ?」


 冒険者証を出しながらガレンが切り出した。

 なるほど、人を集めたアンジェリカがリーダーになるのか。しかしパーティーリーダーとか、パーティー名とかまるでゲームのようだな。


「そうね。"アンジェリカと愉快な仲間たち"でいいわ」


 至極しごく真面目な顔でアンジェリカが言い放った。


 それを聞いたガレンがブフォッと噴き出し、一方のヴィレッタは声を上げて笑った。

 ガレンの気持ちは分かる。私も若干噴きかけた。それを聞いて表情を変えなかったのはセスだけだ。


「あんた面白い女だな!!」


 ガハハと豪快に笑いながらガレンがアンジェリカにカードを手渡した。ヴィレッタもセスも同じようにしているので、私もそれにならってカードを渡す。


「いい女、の間違いでしょう?」


 と、妖艶ようえんな笑みを湛えてアンジェリカはカードを持って受付へと向かって行った。

 アンジェリカ怖い。

 そしてこの一連の流れに全く表情も変えないセスも怖い。


「登録完了よ」


 戻ってきたアンジェリカはそう言ってギルドの所々に置かれている小さなテーブルの上に全員分のカードを並べた。


「あぁ、ちょっと待って」


 それをすぐ手に取ろうとして、セスに制された。


「臨時でパーティーを組む時は全員が全員のカードを確認するのが決まりなんだ」


「あ、そうなんだ」


「なるほど、シエル、お前はBランクになりたてか。臨時は初めてか?」


 私とセスのやり取りを聞きながら私のカードを見て、ガレンが言う。


「はい、至らぬこともあるかもしれませんが」


「ああ、いい、いい。そういう堅苦しいのは」


 ガレンが面倒くさそうに私の言葉を遮った。


「パーティーである以上、俺たちは全員対等な仲間だ。種族も歳もランクも関係ねぇ。だからかしこまるな。よろしく、でいいんだよ」


 言いながら差し出されたガレンの手を握る。何ともフランクな人だ。


「……分かった。よろしく」


 頷くと、満足そうに笑ってガレンは手を離した。

 しかしそういう関係性ならば気は楽だ。


「それにしてもセス、あんたはリュシュナ族なんだね。これは相当期待できそうだ」


「…………」


 カードを覗き込んで言うヴィレッタに、セスは何も返さなかった。

 しかし今になって意外そうに言うということは、アンジェリカは2人に声をかけた段階で私たちのことを詳しく話していなかったのだろうか。前衛1人と後衛1人くらいしか話してなさそうだな。

 く言うガレンとヴィレッタはやはりヒューマだ。2人ともAランクと書いてある。

ちなみにアンジェリカもAランクだ。ますますクロエがパーティー登録しなかった理由がわからなくなった。


「さて、ガレンとヴィレッタ。準備ができてるのならこのまま出発してしまいたいのだが」


 各人にギルドカードを返しているアンジェリカを横目にそう聞いたのはセスだ。確かにガレンたちも武器に鞄と準備はできているように見える。


「今すぐかい? ずいぶんといてるじゃないか。少し準備の時間がほしいんだけどね」


 目を丸くしてヴィレッタがそう返した。

 準備ができているように見えたけれどもそうではなかったらしい。


「2時間くらいあればいいかしら?」


「そうだな。それくらいあればいいだろう」


 アンジェリカの問いかけに今度はガレンが頷く。


「では9時に西転移陣の前に集合で」


 アンジェリカの一声で一度解散となった。

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