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第227話 天門の守護者・2

 天門の守護者。天族がそのリンクを通れないくらいに強いモンスターってどんなだろう。ちょっと気になる。


「僕たち2人で倒せる?」


「いや、ちょっと厳しいかな。5~6人はほしいね。やりたいなら臨時で誰かと組むしかない」


「そうなんだ……」


 5~6人か。レイドボス的な感じかな?


「とりあえず、宿を取って風呂に入りたい。後のことはまた決めよう。さすがに疲れた」


「うん、そうだね」


 セスでも疲れたなんて口にするんだな、なんて思いながら私は頷いた。

 まぁ、3週間も山を歩いていたのだから当たり前か。私もだいぶ疲れた。正直、体が男じゃなければ厳しかったかもしれない。






「はぁ……生き返った……」


 個々に部屋を取り、久しぶりのお風呂に入って私はベッドへ寝転がった。


 道中で湯浴びはしていたが、やはりお風呂はいい。あとフカフカのベッドも最高だ。野宿は慣れて来たものの、やはり快適とはいかないからな。今日はいい夢が見られそうな気がする。

 今は14時を少し過ぎた頃。セスとは19時に夕食へ行こうと約束しているので少し自由な時間がある。特にやることもないし、お風呂に入ったら眠気が来たので仮眠を取ることにした。






「明日からどうしようか?」


 セスと向かい合って食事を摂りながら聞く。

 仮眠をしてもちゃんと起きられるようになったのは3週間の野宿生活で鍛えられたからかもしれない。


「君が決めていいよ。もしここでギルドポイントを稼ぎたいならしばらく滞在してもいいし、早くエスタに行きたいならすぐ発ってもいい」


「でも天門の守護者は2人だと厳しいんでしょ?」


「何もこの周辺にいるのはそれだけじゃない。ロハネス山脈にはいろいろなモンスターがいるからね。討伐依頼の種類は豊富だよ」


「なるほど」


 とは言え、じゃあここでAランクになるまでギルド依頼をこなすかと言われたらさすがにそういうわけにもいかない。天門の守護者を狩り続けて3年弱かかるんなら、それを狩らなければ一体何年かかるのかという話だし。どうせすぐにAランクに上がれないのであれば、そんなにこだわって居続ける必要はない。


「今は早くエスタに行きたいな」


「分かった。じゃあ数日休んだら発とうか」


「ねぇ、あなたたち、ちょっといいかしら」


 突然、私とセスの会話に誰かが入り込んだ。


 声のする方を見ると、少し離れたところから1人の女性が私たちを見つめていた。

 年は20代の中ごろだろうか。少しだけ尖った耳を持つ、美しい女性だった。

 驚くことに、濃いピンク色の髪の毛をしている。まるで漫画やゲームのキャラクターのようだ。ゴシック風の装いをしていて、リィンを彷彿とさせた。


 だが、可愛らしい感じというわけではなく大人っぽい感じなので、別に違和感がない。その女性が持つ、妖艶ようえんな感じによく似合っている。


 魔族だろうか、天族だろうか。


「何か?」


 その女性をチラリと見やってセスが言う。

 声に感情が籠っておらず、若干迷惑そうな感じが見て取れる。


「ちょっと取引を持ちかけてもいいかしら? 今の話、聞こえてしまったもので」


 そんなセスの様子を意に介さず、その女性は空いている席へと腰かけた。

 座っていいよとも言っていないのに図々しい。


「……取引?」


 座ったことに対しては何も言わず、セスはいぶかしむ様子で問いかけた。一応、話は聞くらしい。


「私たち、クルヴァンの核が欲しいの。1体だけでいいから討伐を手伝ってくれないかしら? もし手伝ってくれるのなら、貴方たちをヴェデュールまで転移術で送って差し上げるわ」


「クルヴァン?」


「天門の守護者のことだ」


 クルヴァンが何か分からず聞き返した私に、セスが答えてくれた。

 なるほど、先ほどまで話していた天門の守護者がクルヴァンというのか。

 そしてそのクルヴァンを倒す手伝いをすれば、この人がヴェデュールまで転移術で送ってくれると。


「貴方たち、早くヴェデュールに行きたいのでしょう? 悪くない取引だと思わない?」


 私はそのクルヴァンと戦ったことがないから口は出せないが、話を聞いただけならば確かに悪くない取引のように思える。


 セスは何と答えるのだろう。

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