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第22話 渦巻く陰謀・2

 ギィイインと金属がぶつかり合う音がして、2人が距離を取る。


 そしてしばらくそのまま見つめ合った後、男は素早い動作できびすを返し、闇に消えて行った。


 男と鍔迫つばぜり合いをしていたこの人物は私を助けてくれたのだろうか?

 ロングコートのフードを深く被り、立てたコートの襟が口元を覆っているので顔が全然見えない。

 多分身長的に男だとは思うが……。


 しばらく向こうを見つめていたその人物が、私の方を向いてフードを外した。


 現れた顔に見覚えがある。


「ニルヴァさん……?」


 そこにいたのはカルナへの道中、私が乗る馬車を護衛していたニルヴァだった。

 私を助けてくれたのか。


「あ、あの、ありがとうございました……」


「お前、なぜここにいる?」


 私の言葉は無視して鋭い目をこちらに向ける。

 ここは何か特別な場所なのだろうか。


「僕は使いを頼まれただけです。帰る途中でさっきの男に襲われて……」


「使い、ねぇ……」


 剣を鞘に収めながらニルヴァが言う。

 なんだか意味深に私の言葉を反復している。


「とりあえずこの一帯はお前には危ない。人が多いところまで一緒に行ってやるからさっさと歩け」


「僕には危ないってどういうことですか?」


「……後で説明してやる。ほら、歩け」


 めんどくさそうに言いながら、ニルヴァは歩き出した。慌てて後を追う。

 迷うことなく歩くそのスピードは速い。辺りはだいぶ暗いので、うっかりするとニルヴァの姿を見失いそうになる。




「お前、男だよな?」


 だいぶ人通りが多くなってきたところで、ニルヴァが突然口を開いた。


「え? あ、はい。男です」


 まさか今さらそんなことを聞かれるとは思っておらず、上ずった声が出てしまった。


「宿はどこだ? 誰がどこで聞いているか分からないからな、話をしたいならお前の泊まっている宿に行かせてもらおう」


「……分かりました。案内します」


 男かどうかの確認はそのためだったのか。

 少し躊躇ためらう気持ちはあるが、男と答えてしまった以上、断れない。




「狭いですけど、どうぞ座ってください」


 宿は1人用の部屋なので、さほど広くない。とは言え、ベッドの他に机と2脚の椅子もある。その椅子に掛けるよう勧めたが、ニルヴァは首を振った。


「話が終わったらすぐに帰る。必要ない」


「そうですか」


 と言われてしまえば私も座るわけにはいかない。壁に寄りかかったニルヴァに向かい合うように、部屋の真ん中に立った。なんだか落ち着かない。


「使いであの辺にいたと言ったな」


「はい……」


「ギルドの依頼とは別ということか?」


「今は料理店の依頼を1ヶ月契約で受けてます。そこのオーナーに頼まれて城壁近くの知り合いの家に荷物を届けました」 


 それを聞いてニルヴァは思案にふけっていたが、やがて視線を上げて口を開いた。


「あそこがどういうところか知っているか?」


 先ほどもあそこが特別な場所だと匂わせていたけれど、どういうところなのだろう。


「……いえ」


「あの辺一帯は、裏稼業の人間が集まる場所だ。主にヒューマが住む区域で、それ以外の種族は闇取引に利用される」


「闇取引……?」


 裏稼業。闇取引。今まで漫画でしか見たことがないような単語だ。


「少なくともカルナの南西辺りに居を構えている者なら、ヒューマ以外の人間が城壁付近に近づいてはならないことは周知の事実。ましてやこんな時間にだ。これが何を意味するか分かるか?」


 ニルヴァの問いに考えを巡らせる。


 私があそこに行くことになったのは、オーナーに使いを頼まれたから。しかしニルヴァの言う通りなら、カルナ南西で料理屋を営んでいるオーナーはエルフである私があそこに行ったら危ないことは知っていたはず……ということはつまり。


「オーナーにめられたってことですか?」

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