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第190話 フェリシア・1

「ごめん、セス、先に行ってて。僕もこいつを片づけたら、すぐ行くから……」


「待ってくれ……。君1人、残したく……ない……」


 私がセスに先に行くよう促すと、すがるような言葉が返って来た。

 あんな言い方をしたから私が死ぬつもりだと思っているのだろう。


「今の僕じゃセスを守って戦えない。だからお願い、先に行って。大丈夫、死ぬつもりなんて、ないから」


「シエル……」


「ライム! 行け!!」


 セスが何か言いかけたが、それを言わせる前に私はライムに指示を出した。

 ちゃんと意図を理解したライムが弾かれたように走り出す。


 最後に一瞬目が合ったセスは、泣きそうな顔をしているように見えた。


「リッキー! お前も行け! セスとライムを守るんだ」


 私の言葉に躊躇ためらうような素振りを見せてから、リッキーはライムに続いて走り出した。

 セスとライムを守る、ということを優先してくれたのだろう。


「見事なお仲間愛だけれども、安心なさいな。2人とも仲良く餌にしてあげるから……!」


 フェリシアの言葉と同時に展開された陣から、今まで見たことのないモンスターが出てきた。

 一言で言うなら二足歩行する白い蜥蜴とかげ。右手は剣のように鋭い刃になっていて、左手はランスのように突きに特化した形になっている。それだけを見ればどことなくリザードマンのようでもあるが、体長は3mはあろうかというほど大きい。


「…………!!」


 フェリシアはモンスターが完全に出てくると、次は自分の足元に陣を展開した。

 私にこいつの相手をさせて、自分は転移してセスの元へ行くつもりか。


「行かせない!!」


 瞬時にフェリシアの足元から岩の槍を出現させると、それを察知したフェリシアが舌打ちをしながら飛び退いた。

 岩の槍は当たらなかったが、陣から退かすことには成功したので良しとする。


「小賢しいわね……! いいわ。まずは貴方から仕留めて天族はミトスでゆっくりと相手してあげる!」


 白い蜥蜴とかげが右手の刃を構えて向かってくる。図体がでかいからか、蜥蜴とかげのくせに思ったよりそのスピードは速くない。というか、これが実は標準で、リザードマンやカーダの移動速度が異常だったのだろうか。

 しかしこいつに構っている暇はない。言葉ではああ言っているが、一刻も早くフェリシアを何とかしなければセスの元へ行かれてしまうかもしれない。


「炎よ、彼のものを飲み込み焼き付くせ!!」


 地面から広範囲にマグマを噴出させる。

 威力を上げるためにそこそこ時間をかけて発動したのだが、動きの速くない蜥蜴とかげはその範囲から出られず炎に飲まれて一瞬で消滅した。とんだ見かけ倒しだ。


「はぁっ……はぁっ……」


「散々カーダを倒して消耗しているはずなのに、とんでもない神術を使うわね……!」


 フェリシアが逃げ帰ったときのように余裕のない表情を見せる。

 確かに普通のエルフがこの状態でこんな術を使えば、立っていることは難しいかもしれない。実際私だってこれだけの術を放てば消費は激しい。だが時間をかけるわけにもいかないのだ。


「下僕にやらせないで、直接来なよ……! それとも、自分では何もできないの?」


「……っ!」


 私の言葉にフェリシアが怒りを露にした。

 自分では何もできない、という言葉が癪に障ったのだろうか。何にせよ、フェリシアが直接きてくれなければいつまで経っても仕留められないので挑発に乗ってくれたのは有り難い。


「死ぬがいいわ!」


 フェリシアが私に向かって手をかざした。

 その瞬間、身の毛がよだつような嫌な気配を感じ、私は咄嗟に横へと飛び退いた。


 フェリシアの手の平から紫色の光線がまっすぐに放たれ、私がいた場所を通過する。一瞬でも判断が遅ければ当たっていた。


 何あれ。


 放射スピードが半端なかった。見てから避けたのでは間に合わないな。

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