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第181話 ルブラ・3

「……いい加減にしてよ!!」


「ぐっ……!」


 私はセスの胸ぐらを掴んで地面に強く押し倒した。

 あえて避けなかったのか、それとも本当にそれすらできないくらい体が動かないのか、セスは受け身も取らずに強く背中を打ち付けて苦痛の声を上げた。


「セスを見捨てて行くつもりはないって言ってるでしょ! 何度も同じこと言わせないで!」


 様々な気持ちがどうしようもなく溢れて、私は強い口調でそう言った。

 ここまで徹底して自己犠牲を貫かれると怒りを通り越して憎しみさえ感じる。


 いっそこのまま殴ってしまおうか。


 マウントポジションを取っている今、それくらいなら簡単にできそうだ。そういう衝動に駆られて私は腕を振り上げた。


「…………」


 だがセスは身構えることもなく、ただ切なげな表情で私を見つめている。

 甘んじて受けるつもりか。その態度も酷く腹立たしい。


「くそっ!」


 私は腕を下ろし、セスの上からどいた。

 そしてそのままセスから離れ、カデムたちの方へと向かう。

 今セスの顔を見ていたら、怒りに任せて酷いことを言ってしまいそうだ。


 私が2頭の側まで来ると、2頭とも私にすり寄ってきた。いきなり知らない場所に来て不安を感じているという様子ではない。何か気遣うような気持ちを感じられた。きっと私のごちゃごちゃな感情を感じ取って、慰めようとしてくれているのだろう。


「全員で、ミトスに帰ろう」


 そう、自分に言い聞かすように2頭に告げて、ライムを馬車に繋いだ。


 セスは、その間もずっと地面に横たわっていた。

 本当に動けないのだろうかとセスの側まで行って覗き込むと、私を見てからすぐに視線を逸らし、上体をゆっくりと起こした。


「歩ける? 無理?」


「……大丈夫」


 私の質問にセスが苦しげに答えた。

 ならばと差し出した手を、セスは今度こそ素直に握る。

 グッとその手を引くと、よろめきながら立ち上がった。

 痛みを耐えるような仕草で歩くその体を支えながら、馬車へと向かう。


「何がどう苦しい? もうすでに神力がすごい減ってる? それとも違う何か?」


 荷台にセスを寝かせ、私は矢継ぎ早に聞いた。

 同じ神属性のはずなのにあまりにも身体的状況が違って、セスの身に何が起きているのか全く分からない。


「体が痺れて……動くのが、きつい。俺は天族だから、魔力の適応力がないんだ。ここまで濃度が高いと、体が魔力を受け入れられない」


 そういうことか。

 動けないほど体が痺れるなんて、かなり苦痛だろう。拷問を受けているようなものだ。しかもそれは、ミトスに帰るか、死ぬまで終わらない。


 ということは、神力による体力消費とはまた別に、じわじわと体力が減っていきそうだな。


「神力はどのくらい減ってる?」


「そんなでも、ない」


「具体的に教えて。そうだな、前みたいに数値で。全量を1000とすると今いくつ?」


 全量を1000に設定したのは、残り残量を細かく把握するためだ。

 設定を100にしてしまえば、きっと「今87」とか言わずに四捨五入してしまうだろう。だが、1000にすればもう少し細かい数値まで言ってくれるはずだ。


「まだ……ほとんど減っていない。数値で言うなら、995くらいだ」


「僕の放出速度と、セスの放出速度の差は?」


「放出速度に差はない。人によって差が出るのは、回復の速度だけだ」


 そうだったのか。それは知らなかった。


 セスの神力総量を1000とするなら私は7500。1時間に10ずつ減っていくと仮定すると、私は1ヶ月くらい持つが、セスは4日で尽きてしまう計算になる。

 まぁ、さっきの消費があるので自分の残量は今6800くらいなのだが、自分の状態とセスの状態を見るに、1時間に10ずつ減るというのは案外リアルな数字なのかもしれない。

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