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第100話 最後の晩餐・2

「僕はベリシアから出たこともないし、今後も出ることはないんだろうなぁ」


「どうでしょう。国外要請の仕事もあるかもしれませんよ」


 ニコラの呟きに答えるようにフィリオが言った。

 国外要請なんてあるのか。前世でいう海外派遣、みたいな感じかな?


「ネリスからの国外要請はよく聞くね」


 フィリオの言葉にセスも頷く。

 ネリスは確か隣のエルゴニアと紛争状態にあるんだったか。


「ネリスで騎士団が何をするの? エルゴニアとの戦争の手伝い?」


「直接2国の紛争に加担することはないですよ。エルゴニアとの紛争で人手が足りなくなるネリスの国内安定を図るための支援ですかね。まぁ、それは名目でネリスとしてはベリシアの後ろ盾を得ているとエルゴニアに主張したいのでしょうが」


「へぇ……」


 なんだかよく分からない。行ってみれば分かるのだろうか。


「そもそもネリスとエルゴニアはなんで紛争状態にあるの? 領地争い?」


「まぁ、そのようなものね。エルゴニアは内陸にしか領地がないから航路を欲してるのよ。アルセノにもベリシアにも手を出せないから航路が欲しいならネリスを潰すしかない」


「なるほど……」


 私の疑問にエレンが答えてくれた。


 航路か。エルゴニアは航路を手に入れてルーマスのどこかの国と貿易をしたいってことかな?

 ルーマスのことはあんまり把握してないからどういう分布なのかわからないけど。

 アルセノもベリシアも大きい国だしエルゴニアくらいの規模の国だとそれは手を出せないだろう。

 でもまぁ、どこの世界でも領土争いはあるんだな。それで犠牲になるのは一般市民だったりするのに……。


 考え込んでいると料理が運ばれてきた。

 料理屋で仕事をしていた時によく作っていたような料理がいくつか並ぶ。そういえばこの3ヶ月は料理をすることもなかったな。

 さすがに忘れてはないと思うけど、腕が鈍ってそうだ。

 

 この世界には当然だけど箸がない。

 箸があれば食べやすいのに、という料理も全部スプーンとフォークとナイフで食べることになる。しょうがないんだけど箸が欲しい。自分で作ってみようかとも思ったけど、そんな見慣れないものを使ってたら完全に不審がられる。

 逆を言えばもしこの世界で箸を見かけたら同郷の異世界人がいるということになるんだけどな……。


「駐屯地での食事も美味しかったけど、ここのも美味しいね」


「そう。それはよかった」


 ニコラの言葉にセスが安心したように言った。勧めた手前気になっていたのだろう。

 しかもここでの食事代は全てセスが出してくれた。さすがにそれは、と私たちも言ったけれどセスもいいから、と言って譲らなかった。

 年長者が奢るような風潮はどこの世界も変わらないのだろうか。

 あまりしつこく言うのもあれなのでお言葉に甘えてご馳走になった。


 食事を終え宿に戻り、ガヴェインとの約束の時間まで各々自由行動となった。

 と言っても私もセスも部屋に戻ってきている。


「さすがに眠い……。少し寝ようかな」


 お腹が満たされたこともあり、急激に眠気が襲ってきた。ベッドに横になると瞼が重くなってくるのを感じる。


「疲れただろう。時間になったら起こしてあげるからゆっくり寝るといい」


 心地よいセスの声が聞こえる。

 セスはどうするんだろう。その言い方だと寝ないように聞こえる。


 でもそれを確かめる前に私は深い眠りへと落ちていった。


「シエル、そろそろ起きるんだ。時間だよ」


 肩を揺さぶられ、私は重い瞼を開けた。


「え、時間……?」


「もうすぐ18時だよ」


 まじか。


 ものすごい寝てしまった。多分14時くらいにベッドに入った気がする。

 しかしよく寝たからか、起こした体は軽かった。


「起こしてくれてありがと。支度しないと……」


 支度と言っても髪も短いし服装を整えるくらいなのだが。


「ずいぶん熟睡していたね」


「疲れてたのかな」


「戻ってきたばかりだしね」


 短い会話をしながら私たちは宿の1階にある食堂へと下りた。

 まだ時間的には少し早いので誰もいないかと思ったらガヴェインはもう来ていた。

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