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第99話 最後の晩餐・1

「お前たち、もしよかったら今日の夜集まれるか。最後の晩餐といこう。俺の奢りだ」


 俺の奢り、という言葉に3班のメンバーは一斉に沸いた。


「ほんとですか班長! 行きます!!」


 一番喜んでいるのはアイゼンだったが、他のみんなも嬉しそうだ。これで終わりというのも寂しいし、私も最後にみんなと食事をしたい。

 ガヴェインが指定した場所は宿が併設された酒場だったので、カルナに居住地を持たない者は全員そこで宿を取ることにして一度解散した。


 今この宿に残っているのは、私、フィリオ、ニコラ、セス、エレンの5人だ。さすがに1人部屋が5部屋というのは空いておらず、2人部屋を2部屋、エレン用に1人部屋を1部屋取ることになった。

 フィリオとニコラはこの後騎士見習いとして登用されるまでしばらく滞在するから同室がいいと言うので、私はセスと同室になった。私とセスもこの後一緒に仕事をするかもしれないのでちょうどいい。


「お風呂溜めるから先に入っちゃって。僕みんなの部屋のお風呂入れてくるから」


「あぁ、ありがとう」


 火と水の両方を使えるのは私だけなので、他の部屋のお風呂係りも必然的に任されることとなった。


 お風呂を済ませ、夜ここの宿で食べるんだから別の場所へ行ってみようということで、セスおすすめの料理屋さんに5人で来ている。


「セスはカルナに長くいたの?」


 この店に来るにあたりセスは候補を3つほど出しそれを私たちに選ばせるという方法を取ったので、ある程度カルナに詳しくなければできないのではないかと思い料理を待つ間に聞いてみる。


「カルナには何度も訪れたことがあるというだけだよ。でももうそろそろベリシアからは離れるつもりでいる」


「ベリシアを離れてどこへ?」


 フィリオも私に便乗して質問を重ねた。


「どこ、と決めているわけじゃないけど、アルセノの方に行こうかとは思ってる」


「自由気ままな旅をしているの?」


 さらにニコラが質問を重ねる。

 みんなセスのこと相当気になってるんだな。


「……まぁ、そんなところかな」


 きっと違う。


 ヴィクトールの話だと、セスはミトスに来て秘石を狙われたり誰かに裏切られたりと辛い思いをしてきたという。それでもミトスに居続けるのには何かの理由があるはずだ。何かの理由がなければ、ミトスにいる必要がない。


「シエルは? この後どうするの?」


「んー、決めてない。でもシスタスからカルナまで来たから、このままアルセノ方面に行くか、ネリスからルーマスに渡るかかなぁ」


 ニコラの質問に思いついた案をそのまま答えた。

 目的もあるわけじゃないし、アルセノからもルーマスに渡れるならアルセノを経由してルーマスに行ってもいいかもしれない。そうなるとセスと目的地は一緒だし、1人だと寂しいから一緒に行きたいところなんだけど、何かセスにも旅の目的があるんだろうし言いづらい。それに次の仕事を私が受けるかどうかは決まってないからな……。


「ならセスとシエルで一緒にアルセノに行けばいいんじゃないの? 2人仲良しじゃない」


 エレンの言葉に心臓が跳ねた。


 おいぃ!


 人が言いづらいことをズバッと言うな!

 しかも仲良しってなんだ。あの一件のことを言ってるのか。


「いや、それは……セスがいいって言うならそうしたいけど……」


 って言うしかないじゃん!!


 これで断られたらメンタルやばいよ私!

 この後の仕事、一緒にできないかもしれない。


「俺は別に構わないよ」


「ええ!?」


 あっさりと承諾したセスに思わず上ずった声を出してしまった。


「そんなに驚かなくても……断る理由もないし……」


 断る理由もないのか。

 何か目的はあるはずなのに……。

 ということはアルセノまでセスと一緒に行けるってことか。

 なんだろう、すごい嬉しいと思った。ここで仲間を失うのが怖かったのかもしれない。


「そ、そうなんだ……。じゃあその話はまた後でしよう」


「ああ」


「よかったわね、シエル」


 とりあえず後に回した私にエレンが和やかに笑う。


 エレン様!!


 女神!!


 ありがとう!!

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