第98話 任務終了
森を抜けるまでは頻繁にモンスターが出てくるため、気を抜ける時間はあまりない。
リザードマンに比べればなんてことないモンスターたちなので苦戦はしないのだが、何せ数が多い。
そういえばこんな森の中にある駐屯地にはモンスターが出てくることはなかった。騎士見習いが見回りでもしていたのだろうか。
休憩を取らずに夜まで歩き続け、森の中で野宿をした。
森の中なので暗いが、おそらくまだ18時くらいなのではないかと思う。
9人いるので3人ずつ4時間を目安に交代で見張りを行うこととした。
私は一番最初、フィリオ、リーゼロッテと共に見張りを担当したが、ちょこちょこと現れるモンスターに落ち着いて話などもできない。
「これはデッドライン討伐よりも疲れますね」
合間にフィリオが苦い笑みを浮かべて呟いた。
「行きも同じことをしたはずなのにね。ずいぶんと大変に感じるよ」
行きの時は見張りの人数も4人だったというのもあるかもしれないが、30分に一度くらいのペースで出てきていたデッドライン討伐に比べ、こちらは10分もしないうちに次が出てくる。あの感覚に慣れてしまった私たちには頻度が高く感じてしまう。
「でも2人がすぐに倒してしまうので何もできずにすみません」
リーゼロッテが申し訳なさそうに言った。
フィリオと無詠唱の私で出てきたモンスターは瞬時に狩っているような感じなので、そう感じさせてしまっているのだろう。
「大丈夫だよ。間に合わないこともあるんだし、その時はリーゼロッテの神術が頼りだ」
実際、フィリオと私の手が塞がっている時にはリーゼロッテが倒しているモンスターもいる。言うほど何もしていないわけではない。
「それにしてもこんなに狩ってるのによくいなくならないよね」
狩っても狩っても尽きることはない。ゲームのように次から次へと湧いて出てくる。
「モンスターの繁殖スピードは異常ですからね。誰にも狩られることのない増えすぎたモンスターは同士討ちを始めるらしいですよ」
「へぇ……そうなんだ」
まるで一定の数になるように調整されているかのような。
考えすぎか。
そうして4時間ちょこちょこと出てくるモンスターをひたすら狩り続け、次の組と交代した。
そこからの8時間、休めたかと言われれば大して休めてはいないと思う。
絶えず見張りの人たちが戦っている音がするし、硬い地面だし。せいぜいウトウトとしたくらいだろうか。
昨日は朝まで任務で少しの仮眠しか取ってなかったのでさすがに疲れは残る。
が、とにかく早く森を抜けるために朝ごはんもそこそこに私たちは歩き出し、昼前(体感)には何とか森から抜け出すことができた。
森から少し離れたところで全員で昼休憩を取る。
「ここからカルナまであと1日くらいか」
「ここから先はモンスターなどそうは出てこないし、休憩を減らして先を急ぐ手もあるぞ。帰りは3班しかいないからな、どうするか自由に決められる」
アイゼンの言葉を聞いて、ガヴェインが提案した。
多数決を取った結果、多数どころか満場一致で先を急ぐという意見に纏まった。
夜ご飯を食べたらまたしばらく歩いて、睡眠時間を減らす。日が昇る前にまた歩き出して朝方にはカルナに到着することができた。
「帰ってきたな……」
「全員で、帰ってきたかったですね……」
アイゼンの言葉にフィリオが悲しそうな顔をして言った。
本来ならここには10人で帰ってくる予定だった。帰ってきたかった。みんなも同じことを考えているのだろう、その顔色は晴れなかったが久しぶりに踏みしめるカルナの地は明るかった。
最初に集合した場所に帰ってきた。
ここから始まった3か月という長い討伐任務もこれで本当に終わりとなる。
「皆ご苦労だったな。これですべてが終了だ。達成カードを受け取りに来い」
そうか、達成カード。久しぶりに聞いた単語だ。これはギルドからの依頼なんだったっけ。
達成カードを受け取る時にガヴェインは、騎士団からの依頼を詳しく説明するからと日付と時間と場所が書かれた紙を一緒に渡してきた。
明後日の13時。ここからそう遠くない場所のようだ。




