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おはようはザラメ味  作者: ぺぺ
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遅れてすみません。

そして3話で終わりそうにないです。

多分4〜5話になります。

2.




ここに来て31回目の朝だ。

カーテンのかかった小さな窓から太陽の光が差し込んでいる。

元の世界では朝に弱かったけど、この世界では随分早起きになった。

なにせ灯りに乏しくて日が落ちたらやる事がない。

だから自然と早く寝るし、早く起きる習慣が身につく。

手早く身支度を整えると私は自室を出て炊事場へ急いだ。

ロキさんのお宅にお世話になっているお返しに、って言うにはささやかだけどお手伝いさんのゴメイサさんに教わって簡単な雑用を手伝っているのだ。

長く仕えているというゴメイサさんは、とても働き者の気のいいおばあちゃんで、今日も一足早く動き出していた。


「ゴメイサさん、おはようございます」

「おはようユウカ。早速だけどこれ、甘くしてれるかい?」


挨拶をした途端、私の口の中には甘いザラメ味が広がる。

慌てて触ってしまったものがないか確認したけど、どうやら砂糖味にしてしまった家具はないようだった。

挨拶ってつい反射的に出てしまうから困る。

ゴメイサさんは、焼いたパンの一つを私に差し出した。

我等が大黒柱である魔術師は大変に甘党なため、毎朝彼の食べるパンを甘くするのが私の仕事の一つだった。

おはようと呟いてパンに触れると指先から暖かいものが伝わっていくのがわかる。


「ありがとよ。それじゃ次はロキ坊ちゃんを起こしてきておくれ」

「ロキさん、また夜更かしして研究してたんですか?」

「いくら言ってもやめてくれないんだからねぇ。朝起きて夜眠る真っ当な生活をしてほしいものだよまったく」


少しずつこの世界の炊事場の使い方を覚えてはいるんだけど、朝の忙しい時間に手伝える程上達していない。

私は素直にロキさんを起こしに行くことにした。


「ロキさーん、起きて下さい。朝ですよー」


丸く盛り上がった布団の上を軽く叩きながら声をかける。

昨日はベットの近くのソファで限界まで本を読んで気絶するように眠ったんだろう。

あかりを灯す魔法道具は蓋をされず、偽物の火がちらちら揺れている。

高いものらしいのに、勿体ないなあ。


「ロキさん!起きて!研究室に遅刻しますよ!!」


私がしつこく声をかけ続けると、ロキさんは気怠げにもそもそと起き出した。


「……おはよう、ユウカちゃん。あのね、前にも言ったけど君は歳頃の女の子なんだから、おじさんとは言え男の寝てる所に入って来るのは」

「ロキさんが素直に起きてくれたらいいんですよ。はい、おはようございます」


そう言って私は、炊事場から持ってきた魔法でザラメ味にした茹で豆を、一粒彼の口に放り込んだ。

寝むさでふらふらしていたロキさんは、その甘さで目が覚めていく。


「ああ生き返る心地だ……朝から甘いものが食べられるなんて、最高……!」

「朝ご飯できてるそうなので、支度を整えたら早く来て下さいね。今日のパンも甘いですよ」

「やった!……ってじゃなくて!ユウカちゃん、流そうとしないでくれよ。僕は君の事を心配してだね……!」

「まあまあまあまあ。細かい事はいいですから早く準備して来て下さいね!」


ロキさんのお小言をかわして私は素早く部屋を抜け出した。

ロキさんのお小言に付き合っていたら、本格的に彼が遅刻してしまう。

歳頃の娘がって言われても、ロキさんはそういうこと間違ってもしない気がするんだよね。

起こしに来るくらいいいじゃないかって思う。

それに甘いもので目を覚ますロキさんは大人なのに少し可愛い。

廊下の窓ガラスを見あげると、この世界の女の子と同じ格好で楽しそうに笑う自分がいた。








「ロキ坊ちゃんはまた……」

「どうかしたんですか?」


洗濯、繕い物等を終えて、一息ついたお昼のティータイム。

ゴメイサさんがテーブルの端に置かれた包みを見て苦い顔をした。

包みは朝、ゴメイサさんがロキさんの為に作ったお昼ご飯が入っている。

慌ただしくご飯をかきこんだロキさんは、仕事鞄だけ持って出てしまったみたいだ。


「ゴメイサさん、良かったら私届けますよ。王宮からここまでの道は覚えていますし」

「そうしてくれるかい?悪いねえ。なぁに、届けた後は坊ちゃんと道草してきてくれてもいいんだよ?」

「うーん、お仕事中でしょうし、どうでしょうね」

「坊ちゃんも早くお嫁さんを貰えばもう少ししっかりしてくれると思うんだけどねぇ」

「あはは、それじゃいってきまーす」


ゴメイサさんは30半ばにして独り身のロキさんを凄く心配していて、事あるごとに嫁を貰えとせっついている。

最近は異世界人の居候がそこに収まってくれないかと考えてるみたいで、私としては少し気まずい。

そういうのってこう、本人同士の気持ちが大切だし、ね。

から笑いで誤魔化して、私は包みを手に外へ出た。

目指すは王宮隣の魔法研究所。

一人での遠出は初めてで、私はワクワクしながら街を歩いた。





たどり着いた研究室では、取次の窓口に見知った顔の女性がいた。


「あれ、カペラさん?」

「あらご機嫌よう、ユウカ様」

「こんにちは。私に、様、は付けないで下さい。私の方こそ歳下でお世話になってる身ですし……」


カペラさんは王宮の侍女さんだ。

とても気の利く人で、この世界に来たその日に、服の着方やこの世界の女性のアレコレを教えてくれた恩人でもある。

最初に会った時の流れで、カペラさんと呼んでいるけれど、私の方こそカペラ様と呼ぶべきだと思う。


「では友人として、ユウカさん、と。ユウカさんも研究室にご用事ですか?私は殿下からロキ様へのお言伝を預かりまして、お伝えに参りましたの」


カペラさんは美しいアーモンド型の目を細めて微笑む。

殿下、殿下からの呼び出しってことは……


「ロキさんまたカナリアするんですか?」

「ふふふ、ロキ様も研究や後継育成に大変だとは存じておりますが、これも殿下のご命令ですので……」


あの王子様、底が見えない感じがして怖いから、ロキさん振り回されてないか心配なんだよね。

カペラさんは心配する私が面白いとばかりにころころと笑う。


「私もロキさんに届け物なんです。ご一緒していいですか?」

「そうですわね。ユウカさんは研究室内は不案内でしょうし。ねえ、よろしいかしら?」


カペラさんは細っそりとした首を傾げて窓口の男性に確認をとる。


「勿論です!!!!!」


窓口の男性は大声で答えた。

麗しい美女の微笑みに鼻の下が伸びきっている。

本来なら私みたいな町娘もどきは入れて貰えないんだろうけど、カペラさんのお知り合いという事で一緒に通して貰えた。

カペラさん、信頼されてる人なんだなあ。





研究室内はテレビで見た修道院みたいだった。

高い天井に何柱もの柱が石造りの天井を支えている。

壁面に飾られている絵は魔術道具の一種らしいけど、残念ながら私には幾何学模様にしか見えない。

行き交う人は皆ローブを着込み、書物を読みながら歩いているか、ブツブツと呟きながら考え事をしているばかりで私達を気にする人はいなかった。

私の世界の教会みたいですと伝えると、カペラさんは頷いて、元々は教会だった事を教えてくれた。

この世界で魔法は、神様から与えられたギフトであり信仰と深く結びついている。

建国神話においては、当時の英雄が神様から貰った魔法で海を渡り、災害に荒れた地をまとめて国をつくったそうだ。

英雄はそのまま王様になり、四十人の臣下に自分の魔法の力を分け与えた。

魔法を分け与えられた臣下はこの国最初の貴族になった、らしい。


この国では子供から大人までみんなが知ってるお話を、私は圧倒された。

具体的には話のスケールの大きさとカペラさんの美声に。声まで綺麗だよこの人は。

圧倒され過ぎて少しお腹がすいたくらいだ。

迷いのない足取りで歩くカペラさんの後ろを歩きながら、ロキさんに包みを渡したらすぐに家に帰って、食べそびれた午後のお茶を頂こうと密かに決める。


研究室という通称で呼ばれているけれど、魔法に関する様々な分野の研究室が一つの建物に一緒に入っているため、中は大変広く、白塗りの壁が続くため目標になるようなものがほとんどない。

長い廊下を右へ左へ何度も曲がり、階段を何段も上ってそこにたどり着いた時には、私は窓口で包みを預ければ良かったと後悔し始めていたくらいだ。

そこはホールのように開かれた場所だった。

深い光沢のある大きな机を取り囲むように数十人の人が着席していて、さらに壁沿いには着席してる人のお弟子さんらしき人達が控えている。

人が沢山いるのに不思議と静かなその場所に、私は見知った茶色の頭を見つけた。

テーブルを囲む人々は、身分のありそうな威厳ある顔つきをしているが、話し合う口調はキツく、まるで討論会のようだった。

私たちが入り口に差し掛かった時、暗色のローブを金のブローチでとめたおじさんが、唾を飛ばす勢いで怒鳴った。


「だから平民の入学枠など不要だと言っている!!」


太い声は、壁や天井に反響して部屋の空気を震えさせた。


「魔法は神が我々に与えた贈り物である!!それを平民どもに学ばせるなど神への侮辱に等しい!選ばれた人間にのみ、魔法の恩恵を得るべきなのだ!貴族に生まれなかったという事は神が、その者に資格がないとおっしゃっているのだ!!」


金ブローチのおじさんの言葉に合わせて、そうだそうだと声が上がる。

テーブルを囲む大多数の人達はおじさんの意見を支持しているようで、別のおじさんが、勢いづいて喋り出す。


「伝統ある魔法学院に平民など加えては後世の笑い者よ!」

「平民を許したら、次は女か?魔法の価値をどんどん下げるつもりなのか!」

「大体、平民の使える魔法など高が知れているに決まってる!今まで通り、貴族の子弟だけ入学させて何が悪い!!」

「いくら殿下がお若いとは言え、この決定は先が見えていないと言わざるおえない!」


不穏な方向に転がりそうな話題。

立ち入ってはいけない場面に出くわした気がして、私とカペラさんは引き返そうかと後ずさった。

その時だ。

ロキさんが静かに手を挙げて立ち上がった。


「エルナト研究室のプロキシオンです。発言を行ってもよろしいでしょうか?」


今までまくしたてていたおじさん達が一斉に沈黙し、ロキさんに注目する。

え、何、怖い。大丈夫なのロキさん。


「この度の殿下の決定は急な事で、ここにいる全員が驚き、動揺しています。ですが、平民の入学枠という案は、貴族を蔑ろにする事ではないと私は考えます。平民の中でも優秀な者に知恵を分け与え、多様な魔法を備え、研究すること。それこそが、魔法学院並びに、魔法研究室が国へできる一番の貢献でしょう。それに懐深く平民を受け入れ、正しく導くのは、我々貴族にしかできないことです」


ロキさんのお仕事は、研究室で魔法の研究って聞いたけど、その予備機関である魔法学院の方針にも関わっているらしい。

彼の落ち着いた声はさっきのおじさんとは違って、聞く人の心にじんわり染みる。


「詭弁だ!平民が魔法の恩恵を得てしまう事の危険性はどう言い訳するつもりだ!」


金ブローチのおじさんが負けじと声を張った。


「魔法の恩恵を、得ると申されましたが、お言葉ですがそれは主従が逆でしょう。我々は魔法が使えるのであって、魔法に使われているわけではない。神はまず我々を作り、贈り物として魔法を与えて下さったのです」


今更気づいたけれど、ロキさんはこの中ではふた回りくらい若い。

それなのに態度も言葉も落ち着いたものだった。


「そして貴族だからと言って、魔法を正しく使えるか、役に立つ魔法を身につけられるかと言われれば、そうでもないではないですか。魔法は、使用も効果も個人の思考特性に依存します」


いつになく真面目なロキさん。

へにゃっと笑うでもなく、困ったように眉をさげるでもない顔はなんだかちょっとかっこいい。


「魔力があり、思考する事が出来、教育さえ受ければ魔法は誰にでもつかえます。それが例え生活に役立つ魔法ではなかったとしても、平民であったとしても、魔法の一つ一つが無二であるなら、全ての人が祝福されてると言えましょう」


発言を締めくくったロキさんに横やりが入った。

またさっきの金ブローチおじさんだ。


「それは自分の魔法が祝福されてるという意味か?」


あ、嫌味だ。

ロキさんの使える魔法は、異世界の歌を歌えるというもの。

私は面白いと思うけど、生活の役に立つとは言い難いためか、おじさんは嘲笑するように口の端を歪ませる。


でもロキさんは穏やかに笑っただけだった。


「私も、貴方も、ですよ。神の与えてくださったもので祝福されていないものはありません。私はこの度の殿下のご決断が、後世の賞賛は受けても、後ろ指を指される事はないと確信しております」













「え??ユウカちゃん??それに、カペラさんも??」


私達は会議が終わって退出する人の波からやっとの思いでロキさんを捕まえた。

振り返ったロキさんは、いつものロキさんの顔をしている。


「お邪魔してます、ロキさん。会議中みたいだったのでここで待っていたんですが……盗み聞きしちゃいました。ごめんなさい」


素直に謝ると、ロキさんは何でもない事のように笑った。


「はは、いいんだよ。本当に大事な会議なら、もっと別の場所でやるんだから。それに今回は決定を周知する為の会議で、決定するための話し合いではないからね」

「????」


よくわからない。

話し合って決める前に、すでに議題は決定してたって事なら、掲示板にお知らせだけでいいんじゃないの?


「第一王子殿下の強い希望により、既に平民の入学枠は決定している。これはその決定が、会議を通して承認されましたという形をとるために開かれた場で、ここで何を言おうと滅多な事では覆らないんだ。それをみんなわかっているから、僕の穴だらけの主張にもほとんど突っ込んでこなかっただろう?」


えーー何それ回りくどい。

時間の無駄じゃないの。

私の不満顔を見て取ったのか、カペラさんとロキさんは顔を見合わせて笑った。

組織においてこういった会議は必要なんですよ、とカペラさんが言う。

でもそんなやり方を続けていたら会議の意味自体がなくなっちゃうし、シリウス様が嫌われるんじゃない?

そう反論したら、ロキさんは困ったように頭をかいて、君は頭がいいなあと呟いた。

あ、子供扱いして!



「それでユウカちゃん、君はなんでここにいるんだい?」


私が包みを指して、ここまで一人で届けに来たことを告げるとロキさんは急に心配し始めた。

やっぱり子供だと思ってるな。


「大丈夫ですよ。道は知ってましたし、まだ昼間なんだから問題起こしたりしませんって」

「いや、君が問題を起こす事じゃなくて、君が問題に巻き込まれるかもしれないのが心配なんだよ。君は警戒心が薄いんだから。何かあってからでは遅いんだし、今朝だって……!」

「まあまあまあまあ。無事来れたんだからいいじゃないですか。これ、ゴメイサさんからお昼です。そしてこれは偶然通りかかったパン屋のおばちゃんから貰ったクロワッサン、こっちは三件隣のおじさんからのお裾分けのジャーキー、でこっちが……」


次々に品物を渡してロキさんのお小言を塞いだ。

偶然行きあって、事情を説明したら近所の人がロキさんにってくれた物だ。

ロキさんって近所付き合いいいよね。

おかげで私もすっかり顔馴染みになったし。


「……ユウカちゃん、この世界に馴染むの早くない?」

「そうですか?」


困ったように笑うロキさん。

早く馴染めた方がよくないかな?


「正直、もっと望郷の念に駆られて泣いたりするんだと思ってたから」


吐く息が喉に詰まった。

不意打ちで冷水を浴びせられた気分だ。

この人が、私の事を薄情だとか何も考えてない子だとか、そんな意味で言った訳じゃないってわかっている。

けれど、不満が顔に出てしまうのを止められない。

何か言わなくてはと思うのに、頭が回らなくて結局変な言葉しか出てこなかった。


「……ロキさんが、言ったじゃないですか」

「え?」

「ロキさんが、約束したじゃないですか。絶対帰してあげるって」

「ユウカちゃ」

「私、だって、ここで何の役に立つんですか。元の世界でもただの女子高生だったのに、だったら、ロキさんの言葉信じて、身の回りの事お手伝いして、帰る方法がわかるまで待つしかないのに、泣いたり、わめいたりして、何の役に」


言いたい事は沢山あって、外に出たがって私の喉を圧迫する。

頬が燃えるように熱い。

恥ずかしい、こんな風に彼を責めても仕方ないのに、いつもの呑気な自分は何処へ行ったんだろう。

人が引き上げて閑散としたホールに、かろうじて涙声にならなかった私の声が転がる。

どうにかして落ち着こうと顔を伏せた瞬間、ロキさんが空いている手で私を引き寄せた。


「うん、そうだね。僕が言った。僕がそう約束した。ごめん、本当に無神経な事を言った」

「……」

「もういい歳なのに、ちっともデリカシーがないんだ、僕は。君を追い詰めて言いたくない事を言わせて、最低だった。許してほしい」


頭の上から響く声があんまりに真摯で優しいから本当に泣きそうになった。

くっついた体が暖かい。

ロキさんがこうやって真剣に向き合おうとしてくれるから、私はまあいいか、なんて絆された気持ちになるのだ。


「……気にしないでロキさん。私、別に泣いてません」

「うん。でも君は僕をもっと責めてもいいし、何だったら叩いて蹴ってもいい。僕がまた変な事を言い出したら是非そうしてくれ」

「……嫌ですよ、叩くなんて。私の手が痛くなっちゃいます」


身を起こすと、できるだけ澄ました顔でそう言った私に、ロキさんは目を細めて笑ってくれた。

出会ってから一番心が近くなった気がして、普段にはない至近距離が心地よい。


「そろそろよろしいかしら」

「うわっ!か、カペラさん!?いたのかい!?」

「お気になさらないで。私、殿下からのお言伝を渡しましたらすぐ帰りますから、それから続きをされても結構ですよ」


勢いよく引っぺがされたけど、そこまで過剰反応することないじゃない。

ロキさんは私よりも赤くなってる。


「いや!続きなんてありません!どうぞ殿下からのお言伝をお伝えいただきたく思います!」

「ロキさん、言葉変です」


ロキさんの腕を離れて二人の声が聞こえないように帰ろうとすると、ロキさんは慌てて待つように言った。

手持ち無沙汰に意味もなく会議場をうろうろと徘徊する。

カペラさんのお言伝は、思ったよりも早く終わった。


「適応力のない生き物は淘汰されるといいますか。ユウカさんはきっと生命力が強いんですよ」


カペラさんは帰り間際に、フォローのような、そうでもないような言葉を残して優雅な足取りで去って行った。


「お待たせ、行こうか」

「え、シリウス様のカナリアはいいんですか?」

「うん。違う話だった。それにせっかく君がここまできてくれたんだから、一緒に食べたいと思ってね。近くにいい店あるんだ」








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