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鬼眼の少年  作者: Sora
3/3

2話

「…あ、あの……。」

「…今だけは、もう少しだけこのままで…。」

「うん…。」

長刀を持っていた左手が腰に回っており、優しい右手は頭の後ろへと移動する。

(私は抱き返すこともできない…。)

「…。」

「……。」

流れる沈黙。疲れがとれる。涙がまだ止まらない。

「…ごめん、真美。」

「……なんのこと?あなたは、誰?」

「えっ?………?」

「…えっと、その……。」

「…俺は、ま……まもる。」

「あの、その、まもるさんがどうして私のことを知ってるの?」

「えっと、知ってた…から。真美のこと。」

「あ、うん……。」

(聞いちゃいけないことだったのかな?)

まもるさんの手がどんどんきつくなっていく。

「あの、い、痛いです…。」

「あ、ごめん…。」

パッと素早く手が離れる。

「…今、手錠はずす。」

まもるさんの手が近づいてくる。血で汚れた手に。

「あっ!」

思わず手を引っ込めてしまう。

「どうした?」

「あ、いや、その…。」

「…?」

「私の手、血で、汚れてるから……。」

「そんなこと、関係ない。」

引っ込めた手を力強く引っ張ってくれる。

(あっ…。)

そして優しく長刀で手錠を壊してくれた。

「…ありがとう。」

「うん…行こう。」

「…何処に?」

「ここじゃないところ。真美が嫌じゃない場所。嫌だろ?ここは。」

「うん…。ありがとう…。」

まもるさんの後を必死に追いかける。

「はあっ。はあっ…。」

まともにものを食べてないせいか、息が上がるのが早い。少し遅れて足元もふらついてくる。

「はあっ…はあっ……。」

(…きつい。)

「わぷっ!」

目の前のまもるさんにもろにぶつかる。

「真美、俺に捕まって。」

「へ?」

瞬間、体が宙を舞う。次に気付いた時にはまもるさんの腕に抱えられていた。

「しっかり捕まって。」

「え?へっ?…えっ?」

混乱が抑えられない。

(な、何これ?)

「このまま突っ切るよ。」

「え?あ、うん!」

少し、少しだけ、頬が照っているのを感じた。

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