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何、聴いているんだ?

作者: WAIai
掲載日:2026/07/15

「何、聴いているんだ?」


休み時間、彼女の席に向かうと、ヘッドホンをしていた。


「え? 興味あるの?」


彼女がヘッドホンの片方を外し、話しかけてくる。


俺は鋭い眼差しでうなずくと、彼女は外した片方を差し出してくる。


1番最初に思ったのが、音が綺麗ということだった。


ガラス、もしくはクリスタルみたいな音楽。


刺々した感じがなく、すっきりしているのだけれど、一度聴くと覚えてしまう。


次に注目したのが、歌詞だった。


恋愛のことてをはなく、人生というか、自分のことを歌っているのが、心に響いてくる。


ボーカルの声も柔らかく透き通ったもので、俺は彼女に聞く。


「この歌っている人、誰?」

「バンドだよ。4人組の」

「そうなのか? で、名前は?」

「名前はね…」


彼女がスマホを取り出し、見せてくれる。

俺は英語の名前に、何故か惹かれた。


「どういう意味なんだ? バンド名」

「あのね、こういう意味」


彼女が1文を指してくれ、「ああ」と俺は納得した。


「他にも聴きたい。別の曲を聴かせてくれ」

「いいよ。先生が来るまで、あと5分はあるから」


彼女はそう言うと、スマホを操作する。


「この曲、いいんだよ!! すっと心に入ってくるというか。歌詞がいいでしょう?」

「ああ。すごくいい、俺の気持ちに寄り添ってくれるというか」

「そう!! ファンを大事にするバンドなの」


彼女はグッと親指を立てると、笑いながら言ってくる。


「後でスマホで検索してみるといいよ。私のオススメはえっと、これと、これと、これ」


曲一覧を見せられ、俺は有名なバンドなのかと納得した。


「ファンクラブもあるんだよ。入り方が特殊というか」

「ファンクラブか…。入っているのか、お前?」

「うん!! ライブにも行きたいと思っているんだ」

「行ったことがないのか?」

「そう、残念なんだけど…。その、もし行くって言ったら、一緒に行ってくれる?」


俺のうさぎさんは、頰を赤く染めながら、上目遣いで聞いてくる。

デートとして行きたいのかと思い、俺はしっかりうなずく。


「一緒に行ってやる。盛り上がりに行こうぜ」

「うん!! 楽しみだな」


ヘッドホンから漏れる曲は、はしゃぎ過ぎず、派手過ぎず、でも自己主張はしっかりしているので、気になって、気になって、仕方がない。


「俺の悩みが小さいように感じられる。人の痛みを知っている人の曲だ」

「そうなの!! よく分かるね。私、バンドのメンバーの顔もいいんだけど、1番はやっぱり共感できることかな」

スマホを操作し、バンドのメンバーの顔が表れる。


自分で自分を隠すような容貌。

派手な衣装ではなく、普通かそこら辺にいる男性達なのだが、何故か惹かれるものを感じ、彼女に言う。


「お前は誰が1番、好きなんだ?」

「えっとね…この人!!」


顔を隠すような感じだが、美形だった。

自分の存在を消そうとしているかのような雰囲気だが、まるで猛禽類みたいな、睨まれたらすごそうだった。


「おーい、お前ら、席につけ」


先生が来てしまったので、ヘッドホンを返す。


「サンキュ。また後で話してもいいか?」

「うん。詳しく教えてあげるよ」


彼女は素早くスマホとヘッドホンをカバンにしまうと、俺と別れたのだった。



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