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「サン・ジェルマン少年と謎の妖精」(セーラー服と雪女 第15巻)  作者: サナダムシオ


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⑤ 能力の解説

 二人で無事に元の時間に戻ると、早速、妖精さんからサン・ジェルマンに解説が為された。

「今のが一番簡単で基本的なタイムトラベルよ。」

「へえ、そうなんだね。」


「薬を利用して、脳内に化学的な作用を起こし、過去の事象を観測可能にするものなの。」

「うん、赤ん坊の僕に会えたね。」

「薬の量を調整することで、もっと遠い過去や場所を見ることもできるわ。」

「そうか、じゃあ⋯。」


「でも、気をつけて。」

「⋯?」

「急に投与する薬を増やすと、タイムトラベル酔いなどの副作用があるから。」

「ああ、それはなんとなく分かるよ。」


「そしてこの方法を利用する限り、過去を改変する危険は無いのよ。」

「⋯どうして?」

「何故なら、コレは観測だけのタイムトラベルだから。」

「ああ、見るだけなんだ。」


「しかも、現場に居る人々からは認識されないの。」

「そうなんだ。」

「でも、万が一のことがあるから、さっき教えた原則は、いつも心に留めておいてね?」

「うん、良く分かったよ。」


「世の中にはね、とても感覚が鋭い人も居るの。そんな人には、見えないはずのタイムトラベラーが、まるで幽霊のように見えたりするのよ。」

「それは⋯なんだか怖いね。」


「それにこの世界には、無自覚に特別なチカラを持った者が、とてもたくさん居るの。そして、多くの人々が、持っているチカラを発揮すること無く、やがて老いて、死んでいくのよ。」


「⋯それは、もったいないね?」

「良かった。貴方もそう思うのね。」

「⋯うん。」

「だから私は、貴方の中に眠る全てのチカラを引き出してあげるわ。そのために私は、ここにやって来たのよ。」


「⋯僕の⋯チカラ?」

「さっきの薬もね、元々タイムトラベルの才能が無い人物には、大して効果が出ないのよ。」

「そうなの?」

「なのに貴方は、ぶっつけ本番でやり遂げた。この成功体験が重要なの。」

「うん、うん。」


「貴方にはソレができる。今のこの感覚を、良く覚えておいてね。まずは自分自身が、自分のチカラを信じること。コレが何より重要なの。」

「うん、分かったよ。」


 そして妖精さんは、同じような実験を、彼と一緒に数回繰り返した後、彼に対する教育を次の段階に移した。


「さあ、次は物理的な移動よ。コレには自分の脳内の働きにプラスして、地球の磁場にも働きかける必要があるわ。」


「何か錬金術的なカラクリが要るんだね?」

「そうよ。また貴方の召使に頼んで、必要な物資を調達して貰ってちょうだい。」


 サンジェルマン少年は、その日から妖精さんに言われるままに、どんどん道具の材料を集めたのだった。


挿絵(By みてみん)

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