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「サン・ジェルマン少年と謎の妖精」(セーラー服と雪女 第15巻)  作者: サナダムシオ


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㉖ 不満顔の大団円

「でもまあ、今回の一番の功労者は、誰よりも早く異変を察知した、弓子さんよねえ。」

 雪子が言った。

「いやいや、夜中にあんな巨大な悪意…ううん、殺意を感じたら、誰だって飛び起きますって!」

 弓子が答える。


「それで、僕もたたき起こされて、自宅からここまで連れて来られたんですよ。でも僕が感じた、雪子さん出現の予測と場所が一致していたので、コレは何か一戦あるなと…。」

 続けて雪村が言う。

「私は元々サン・ジェルマンと一緒に居たのよ。彼が世中に、夢遊病のように出て行ったから、こっそり跡をつけたのよ。」

 雪子に訊かれる前に京子は自分から言った。


「あれっ?そう言えば鷹志君と由理子さんは、どうしてここに?」

 雪子が思い出したように訊く。

「え~っと、たまたま近くに泊まり込んでたんですよ。たまたま…。」

 鷹志と由理子が声を揃えて答える。


「へええ、たまたまねえ?二人で?冬休みの最後の夜に?」

 雪子が左の口角を上げて、ワルい笑顔になる。

「もう、いいじゃないですか。みんなの役に立ったんだから!」

 何故か由理子が顔を真っ赤にして言った。

「兄としてどう思う?雪村。」と訊く雪子。

「…鷹志君、ふしだら…じゃなかった、ふつつかな妹ですが、どうか末永くよろしくお願いいたします。キミは僕の義理の弟になるんだね?」


 そんな雪村の一言にみんなで笑った。

 鷹志と由理子だけは顔を真っ赤にしてドギマギしていた。


「ああ、楽しかった。じゃあ、そろそろ私、帰るわね?」

 宴もたけなわであったが、雪子がそう切り出した。


「色々お世話になりました。」と弓子。

「また遊びに来てね。」と由理子。

「もう来なくていいから。」と京子。

「じゃあまた、研究所で。」と鷹志。

「貴女がどこにいても、危機の時は僕が必ず駆けつけますから。」と雪村。


「我が育ての母であり、姉であり、初恋の君である雪子さん。どうかお元気で。」

 サン・ジェルマンはそう言った。

「えええ、私はぁ?」と京子。

「貴女は私の最愛の君ですよ。」とサン・ジェルマン。

「ああ、良かった。私の勝ちね?」満足気な京子。


「はいはい。まあ、ぶっちゃけ私さえ関りを持たなければ、みんな安全に暮らせるはずだから、この時間軸への暫くの訪問は控えるわ。でも、もしもの時は、雪村、頼んだわよ?」

「任せて下さい。」雪村は胸を張って答えた。

 今やこの三次元世界での、彼のチカラは絶大だ。


「じゃあね、皆さん。いつかまた、逢いましょう!」

 雪子さんは、両手を高く上げて振りながらその場から後ずさると、次の瞬間には、亜空間レストランから消えてしまった。


「あ~あ、行っちゃったねえ。」と由理子。

「うん、行っちゃった。」と鷹志。

「さあ、お疲れ様!今日はもう、お開きにしましょうか。」

 サン・ジェルマンのその一言で、会はお開きとなった。


 みんながそれぞれの場所へ帰って行くのを、窓から眺めるサン・ジェルマンの隣に、京子がやって来た。


「ねえ、雪子ロスなんて絶対言わないでよ?隣にこのワタシが居るんだから。」

「大丈夫ですよ。彼女は私にとって、青春時代の幻影みたいなものですから。❝銀河鉄道999❞で言えば、私は鉄郎、彼女はメーテルです。」


「え~、私はぁ?」

「貴女は❝森雪❞ですよ。」

「それ❝宇宙戦艦ヤマト❞じゃない!」

「ああ、そうでした。どちらも松本零士先生の作品でしたから、つい、うっかり…。」

「…もう。でも貴方が❝古代進❞ならいいわ。」


 ふくれっ面でそんなことを言う京子の顔を最後に、この物語を閉じることに致します。


挿絵(By みてみん)

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