㉓ 疑問の解消
「因みに、私がもともと持っている主なチカラは、並行宇宙を含めた時空転移能力。そのチカラを使って会いに行ったら、ご両親とも真っすぐな心根の、良い方たちだったわ。まあ、もっとも、私の時間軸のそれと、ほぼ同一人物なんだけどね?」
「…。」
「やがて二人が、デキちゃった結婚をして…。」
「えーっ!?」
「そこで食いつくのか。まあ、そうよね。続けるわよ。」
「はあ。」
「でも最初の子どもは死産なの。それが私。」
「えっ?」
「お母さんは勇気を出して、もう一度妊娠にチャレンジして、ようやく無事に産まれたのが雪村だったのよ。」
「…そうだったんだ。」
「だからもし、この時間軸でも無事に私が生まれていたら、私は貴女たちの姉になっていたという訳。」
「なるほど。」
「無事に雪村が育つところを見守るために、私はちょくちょくこの時間軸に顔を出していたんだけど…その事情を知らない人たちからは、随分疎まれていたのを自覚しているわ。」
そう言って彼女は、京子の方をチラリと見た。
京子は知らぬふりを決め込んでいる。
由理子も姉の香子とともに、まだ小さな子どものころから、時々雪村の元にやって来る❝謎の少女❞雪子のことを、怪しんでいたのを思い出していた。
「それに私、まだ木登りが大好きだった頃の、可愛い小学生の弓子さんにも接触しているのよ。」
「…ああ、あの時の紫の…。」と弓子。
「紫の…何?」と怪訝な顔の雪子。
「いえ、何でもないんです。」と誤魔化す弓子。
「最終的には、高校の廃校舎でお世話になったわね?」と京子を見る雪子。
「さあ、何のことかしら?」とシラを切る京子。
「私が雪村に近づいた経緯はこんなところね。次は?誰にする?」
「じゃあ、私が。」と弓子が手を挙げた。
「私の話はシンプルです。雪村君のことが、小学校三年生の頃からずっと好きでした。そして今では、彼の妻になっています。以上です。」
「え~?もうちょっと詳しくぅ~。」満足しない由理子。
「お誕生会でお話したり、隣の席になって嬉しくなったり…それに遠くから見つめていたりしただけ。後は家庭科の授業中に同じグループになったり、修学旅行でもそうだったわ。」
「…それだけ?」
「中学校では、一度も同じクラスにならなかった。私は中二で入院して、その後ほとんど学校に行けなかったの。でも彼も私の事が好きで、ずっと心配してくれていたって事を聞いたわ。」
「誰から?」由理子が不思議そうに訊く。
「…雪子さんから…そうか!あの時も雪子さんだったわ。」
「煮え切らない貴女に対して、彼の事を諦めるように、私が引導を渡しに行ったのもその頃ね?」
京子が苦々しい表情で口を挟んだ。
「そうそう、確かその頃の私は、他人の心が読めるチカラしか持っていなかったから、今後の雪村君の事を守れないだろうって、貴女に言われたわね。」
弓子も思い出したようだった。




