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「サン・ジェルマン少年と謎の妖精」(セーラー服と雪女 第15巻)  作者: サナダムシオ


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㉓ 疑問の解消

「因みに、私がもともと持っている主なチカラは、並行宇宙を含めた時空転移能力。そのチカラを使って会いに行ったら、ご両親とも真っすぐな心根の、良い方たちだったわ。まあ、もっとも、私の時間軸のそれと、ほぼ同一人物なんだけどね?」

「…。」

「やがて二人が、デキちゃった結婚をして…。」

「えーっ!?」

「そこで食いつくのか。まあ、そうよね。続けるわよ。」

「はあ。」


「でも最初の子どもは死産なの。それが私。」

「えっ?」

「お母さんは勇気を出して、もう一度妊娠にチャレンジして、ようやく無事に産まれたのが雪村だったのよ。」

「…そうだったんだ。」

「だからもし、この時間軸でも無事に私が生まれていたら、私は貴女たちの姉になっていたという訳。」

「なるほど。」


「無事に雪村が育つところを見守るために、私はちょくちょくこの時間軸に顔を出していたんだけど…その事情を知らない人たちからは、随分疎まれていたのを自覚しているわ。」

 そう言って彼女は、京子の方をチラリと見た。

 京子は知らぬふりを決め込んでいる。


 由理子も姉の香子とともに、まだ小さな子どものころから、時々雪村の元にやって来る❝謎の少女❞雪子のことを、怪しんでいたのを思い出していた。


「それに私、まだ木登りが大好きだった頃の、可愛い小学生の弓子さんにも接触しているのよ。」

「…ああ、あの時の紫の…。」と弓子。

「紫の…何?」と怪訝な顔の雪子。

「いえ、何でもないんです。」と誤魔化す弓子。


「最終的には、高校の廃校舎でお世話になったわね?」と京子を見る雪子。

「さあ、何のことかしら?」とシラを切る京子。

「私が雪村に近づいた経緯はこんなところね。次は?誰にする?」


「じゃあ、私が。」と弓子が手を挙げた。

「私の話はシンプルです。雪村君のことが、小学校三年生の頃からずっと好きでした。そして今では、彼の妻になっています。以上です。」

「え~?もうちょっと詳しくぅ~。」満足しない由理子。


「お誕生会でお話したり、隣の席になって嬉しくなったり…それに遠くから見つめていたりしただけ。後は家庭科の授業中に同じグループになったり、修学旅行でもそうだったわ。」

「…それだけ?」


「中学校では、一度も同じクラスにならなかった。私は中二で入院して、その後ほとんど学校に行けなかったの。でも彼も私の事が好きで、ずっと心配してくれていたって事を聞いたわ。」

「誰から?」由理子が不思議そうに訊く。


「…雪子さんから…そうか!あの時も雪子さんだったわ。」

「煮え切らない貴女に対して、彼の事を諦めるように、私が引導を渡しに行ったのもその頃ね?」

 京子が苦々しい表情で口を挟んだ。


「そうそう、確かその頃の私は、他人の心が読めるチカラしか持っていなかったから、今後の雪村君の事を守れないだろうって、貴女に言われたわね。」

 弓子も思い出したようだった。



挿絵(By みてみん)

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