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「サン・ジェルマン少年と謎の妖精」(セーラー服と雪女 第15巻)  作者: サナダムシオ


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⑱ 時空の門

「前にも言ったように、タイムトラベルの方法には、いくつかバリエーションがあるの。それは、もはや❝流派❞と言ってもいいわね。宗教家が瞑想して、悟りを開いたりするのに似た、精神体だけを飛ばすやり方と、量子物理学的な理論に基づいた、タイムマシンを使って、肉体ごと飛ばすやり方。この二つはもう知ってるわね?そして実はもう一つ、時空間ゲート、いわゆる❝ポータル❞を使って移動するやり方が有るのよ。」


 歩きながら雪子が言うのを、サン・ジェルマンは興味深く聞いていた。

「もしかしてそれが…?」

「そう、今まさに私たちがくぐって来た鳥居よ。」

「なるほど。」

「世界広しと言えども、古の昔から、こんなにあからさまにポータルの存在を誇示している国は、日本だけよね?」


「時刻や天候や季節など、ある一定の条件を満たした時に、鳥居の真ん中をくぐると、別の時空に出られるのよ。ここなんて京都で最古の神社だから、ゲートとしては理想的ね。」

「ひょっとして、さっきの藤原家も関係している…?」

「いい推理ね。あの家の当主は、代々秘密裏にこの神社のゲートを利用しているはずよ。」


「そうか。だから目の前に突然、僕らのようなタイムトラベラーが出現しても、驚いたりしなかった訳だ。」

「そういうこと。ただ、この方法には大きな欠点があるの。それはゲートからゲートにしか行けない、ということよ。」


「つまり、別の言い方をすれば、ゲートの無い場所には行けないと?」

「まさにその通り。でも、神社の鳥居の無い外国にも、ゲートの役割をする場所はあるのよ。」

「えっ?それってどういう…。」


 しゃべりながら、二人はいつの間にか西本殿にたどり着いていた。

 せっかくだからとお賽銭をささげ、二礼二拍手一礼した二人は、そこから帰路に就いた。

「世界平和とか交通安全とか、それに旅の安全などを願う神社らしいから、私たちにはちょうどよかったわね?」


 平日のせいか人通りも少なかったっため、そのまま二人は物陰に隠れて、ポータブルタイムマシンを起動することができた。

 やがて二人は無事に、元の森の広場に戻って来た。

 近くにちょうど良い倒木があったので、二人で並んで腰かけると、おもむろに雪子が話し出した。


「さて、約束の種明かしの時間ね?」

 サン・ジェルマンは耳を澄ませて聞いていた。

「私の本当の名は真田雪子。人呼んで❝超時空の魔女❞よ。未来でちょっとしたことがあって、大人になった貴方にこっぴどくやり込められたのよ。」

「えっ?」


「でもそれは、見当違いの努力をしていた私に、大人の貴方がストップをかけるためだったって分かっていたの。」

「そうなんだ…。」


「理屈では分かっていても、とても腹が立ったわ。だってそれまでの自分の生き方そのものを、全否定されたようなものだったから。」

「うん、うん…。」


「その後も私は、意地を張って努力を続けたわ。でもやがて疲れ果てて…とうとう最後には、貴方に下らない仕返しでもしてやろうって、考えるようになったの…まあ、逆恨みよね?」


挿絵(By みてみん)

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