⑪ 介入者たち
「古代シュメール文明のころから…ううん、多分もっと以前から、彼ら爬虫類型エイリアンは、我々人類の進化に介入していたみたいなのよ。」
「…そうなんだ。アレは地球の外から来ているのか。」
それは中世の少年にとって、なかなかショッキングな情報だった。
「…でね、ここからは余談だし、私の推測も含む話なんだけど…。」
「どんな?」
「彼らはエイリアンであり、元地球人でもあるのよ。」
「ええ!?」
「端折った話をするわね。昔々、この地球の支配者は、我々哺乳類では無くて爬虫類だった、という時代があったの。」
「そう…なんだね。」
「彼らは私たちと同様に科学文明を築いて…やがて取り返しのつかない大きな戦争を始めたの。」
「うん、うん。」
「そこで彼らは、この地球全体が荒廃してしまうような、恐ろしい兵器を使ったのよ。」
「…恐ろしい?どんな?」
「彼らが、ほぼ絶滅するような。」
「ええっ!?彼らはバカなんだね。」
「…実は我々人類もこの先、似たようなことになりかけるんだけどね。だから、彼らの事を笑えないのよねえ。」
「そうなの?」
「まあ、いいわ。話の続きね。それでわずかに生き残った彼らは、宇宙船でで火星に行き…。」
「ええっ!?」
「しっ!静かに!」
「ああ、ごめんなさい。」
「火星で彼らの次の世代が文明を築くのだけれど、またそこで大戦争をやってしまうの。それですっかり荒廃させた火星を捨てて、また彼らは、環境が回復した地球に帰って来たって訳。」
「…ひどい話だね?」
「そうよね。でも、明日は我が身って言うか…。」
「未来では、人類はそんなに愚かなの?」
「違うわ…とは言い切れないわね。」
サン・ジェルマン少年は、すっかり考え込んでしまった。
そしてこの時の会話が、その後の少年のライフワークを決めてしまったも同然だった。
残念ながら僕には、イエス・キリストやゴータマ・シッダールタのようなチカラは無い。
それでも、例え微力でも、僕が人類をより良き方向へ導くんだ。
そのためにタイムマシンを使おう。
少年はそう心に誓ったのだった。
「すっかり話が脱線してしまったわね。そろそろ帰りましょうか?」
「…うん。」
二人はポータブルタイムマシンを開いて、帰還シークエンスを開始した。
「あんまり考え込まないでね。過去の調査は気楽に楽しんでちょうだい。そしてより良き未来のために、お互いそれぞれの立場で努力しましょう。」
妖精さんは、自分の口からそんなセリフが出たことを、意外に感じた。
私は今まで、私の事しか考えていなかったはずなのに…純正な心を持った、少年時代のサン・ジェルマンに関わったせいなのかしら?
私の方が影響を受けてしまうなんて…「❝恐ろしい子❞。」
彼女は思わず、マンガ「ガラスの仮面」に出て来る、月影先生の有名なセリフを呟いてしまうのだった。




