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プロローグ 1

 突然だがこの世界は男女比が1:100と極端に男性が少ない。

 それにより男の子を出生した際は多額のお金がもらえ、男の子の学費、医療費は高校生まで免除される。

 しかも一夫多妻制が導入されており、出生率低下を防止する法律まで定められていた。


 そんな世界で過ごしている俺、森本青葉(もりもとあおば)には前世の記憶がある。

 数日前、激しい頭痛に襲われた俺は、普通のルックスで女性から告白されることなく一生を終えた前世の記憶が蘇った。

 それにより俺はとある夢を抱くようになった。

 それは『モテモテになること』だ。


 正直、森本青葉のルックスはヤバいくらいカッコいい。

 それにこの世界は貞操観念が前世とは真逆で、女性が男性を痴漢する世界。

 そのため前世では考えられないくらい男性が優遇されており、電車には男性専用の車両が設けられているくらいだ。


 そんな世界で俺は過ごしていた。




 朝起きた俺は部屋に置かれた鏡の前で自分の顔を見る。


「いつ見ても惚れ惚れするぐらいカッコいいな」


 数日前、前世の記憶が蘇った俺は前世の記憶により突然性格が変わってしまった。

 そのことを母さんと妹に心配されたが、なんとか誤魔化すことに成功したのが最近のこと。

 ちなみに記憶が蘇る前の俺は女性恐怖症だったようで、母さんと妹以外の女性とは一切関わらないくらい徹底していた。


 その理由はルックスのせいだ。

 ルックスが良すぎて痴漢被害に遭いすぎた俺は女性が怖くなり、小学校と中学校、そして現在通っている高校と全て男子校に通っている。

 今は女性恐怖症が治ったと誤魔化しており、普通に女性がたくさんいる場所にも出かけれることになっている。


 そんなことを思い出しつつ俺はリビングへ向かった。




「おはよー」

「あ、おはよう!お兄ちゃんっ!」


 森本雪菜(もりもとゆきな)

 俺の一つ年下の実妹で現在高校2年生。

 茶髪をツーサイドアップに結んだ美少女で、前世だったら人気アイドルになれるくらい可愛い妹だ。


『えー次のニュースです。昨夜未明、公園を歩いていた男性に痴漢、ワイセツ行為をした疑いで40歳女性が逮捕されました』


「物騒だね。お兄ちゃんも気をつけるんだよ?」

「分かってるよ」

「……ホントお兄ちゃんは変わったね。昔はこんなニュースを聞くだけでビクビクしてたのに」

「あのまま女性を苦手にするのも悪いと思ってな。一所懸命克服したんだ」

「ふーん。まっ、私は嬉しいけどね!お兄ちゃんが私と仲良くしてくれるようになったから!」


 昔の俺は雪菜と会話をすることはできていたが、極力避けるように生活していた。

 そのため、雪菜は俺の性格が変わったことが嬉しいようだ。


「ほんと青葉は変わったわね。お母さんとも普通に話せるのだから」


 そんな会話をキッチンから実の母親である森本華(もりもとはな)が話しかけてきた。

 現在高校生の俺たちを産んだとは思えないほどの美貌を持っており、雪菜の姉と言われても通じるくらい美人だ。


「あぁ。今は問題ないぞ」

「ふふっ。それが私も嬉しいわ」


 そう言って朝食作りを再開する。


「でも女性はケダモノだってことは忘れないでよ?女性恐怖症が治ったとしても極力女性とは関わらないように。いい?お兄ちゃん?」

「分かってるよ」


 当然、雪菜の忠告は聞き流す。

 なぜなら俺の夢は『モテモテになること』だから。

 女性と関わらなければモテモテにはなれない。


(さて、問題はどーやってモテモテになるかだが……)


 現在の俺は男子校に通っているため、学校内でモテモテになることは不可能。


 そのため朝食を待ちながら考えていると…


『絶賛、男性モデル募集中!スタッフは女性しかいませんが手を出したりは絶対にしません!給料は……』


 そんなCMが流れてきた。


「これだーっ!」


 俺は“ガタっ!”と勢いよく立ち上がる。


「ど、どしたの!?お兄ちゃん!?」


 そんな俺を見て隣に座る雪菜が問いかける。


「俺、モデルになる!」

「「はぁ!?」」


 俺の発言に雪菜と母さんが驚く。


「モデルになって母さんや雪菜を何不自由なく暮らせるくらい稼いでみせる!」

「……お兄ちゃん、働くの?」

「あぁ!この世の中は女性が男性を何不自由なく生活させるようになっているが俺は間違ってると思う!男性が働き、女性を守るべきだと思うんだ!」


 この世界は一夫多妻制が導入されており、結婚した女性たちが働いて男性を食べさせるのが普通だ。

 だが前世の記憶が蘇った俺には違和感しかない。

 『モテモテになる』という夢を叶える理由もあるが、お金を稼いで将来好きになった女の子を養いたいと本気で思っていたため、モテモテになりつつ金を稼げるモデル業は一石二鳥だ。


「バカなこと言ってるとは思ってるけどやらせてくれ!」


 俺は雪菜と母さんに頭を下げる。


「……ホント変わったわね、青葉。アナタのお父さんも『男が働き、女性を守るべき』と言ってたわ」


 亡き父を思い出してか、母さんが懐かしそうに話す。


(そういえばそんなことを何度か俺に話してたな。昔の俺にはピンと来なかったけど今ならわかるよ)


 俺たちの父さんはこの世界では珍しく男性なのに働いていた。

 そのことを昔の俺は奇妙に思っていたが、今ならその生き方を尊敬できる。


「やはり青葉もお父さんの血を引いてたのね。だからやっていいわよ」

「ほんとか!?」

「いいの!?お母さん!」

「えぇ。ただし条件があるわ。それを守ってくれるのならやっていいわよ」


 そう言って母さんから条件を提示される。


「必ず仕事をする時は私か雪菜が同行する。それを守れるのならやっていいわ」

「分かった。絶対、守るよ」

「よろしい」


 そう言って母さんが笑う。




 こうして俺はCMに書かれていた事務所に電話をかけた。

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