episode 1
人物辞典
神山大河 主人公。何もかも普通。頭は平均ちょい上、運動も平均ちょい上。
橘りな 学年で1,2を争う美少女。 頭もよく、スポーツ万能。バスケ部キャプテン。
佐伯蓮 大河の親友。イケメン、スポーツ万能。彼女持ち。
「あの学年のヒロインに好きな人がいる」
そんな噂が流れ出した。
学年のヒロインである橘りなはよくモテる。
優しくて、何でもできて、かわいい。
最高じゃないか。
この噂でこの学校の男子生徒はソワソワしだした。
もしかしたら俺かもしれないという希望。
この頃はもともと騒がしい。
この学校は文化祭の後夜祭で花火(と言っても市販の打ち上げ花火だが)
を一緒に見た男女は結ばれる。
よくある都市伝説である。
もう文化祭が近いこの季節は、男女の交流が活発になり、特に3年生はラストチャンスとばかりにアピールしている。
そんな季節に流れたこの噂。
もう大盛りあがりである。
男子のクラスチャットはこの話でもちきり。
「俺かも」
「俺だろ!」
このメッセージばかり。
そうして盛り上がっているとき、また噂が流れた。
「その好きな人は橘りなと会話したことがある人らしい。」
橘りなは社交的ではあるが、すごい積極的だというのではない。
男子のほうが緊張して話しかけず、同じクラスでもほとんど話さないのが当たりまえ。
イケメン陽キャはよく話しているが。
この噂は強烈だった。
一度も話したことのないやつらは絶望に突き落とされた。
「もしかしたら付き合えるかも?」
とずっと思ってきた大半の男子生徒は無理だということが判明されたからだ。
クラスチャットではもう
「俺だろ」
という書き込みはなく、はじめの数日はお葬式のようなチャットばかり。
しかしその後は大予想会になっていた。
その筆頭は佐伯蓮。
イケメン、文武両道、陽キャ。
ほとんど確定していた。
しかし。
連には彼女がいた。