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やまない雨があったとしても。  作者: 蟻月 衣紋
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まるで思春期の子供みたいに

落葉は例の銅像にもたれかかるようにして携帯を弄っていた。

どうやら待たせてしまっていたようだ。

「おはよう、落葉。ごめん、待たせてたみたいで」

「おはよ、阿南。ていうかこの時間帯って『おはよう』」でいいんだっけ?」

落葉は白いダッフルコートを羽織って、黒いシックなデザインのスカートを穿いている。

そういえば、彼女が私服を着ているのを見るのは初めてだ。私服姿の彼女は、なんだか大人びてみえる。

「午前十時を過ぎたら『おはよう』じゃなくて『こんにちは』が正しい、って聞いたことはあるけどな。まぁ気にすることじゃないと思うけど」

「そっか」

あまり本気で聞いているのではないのだろう、落葉はあいまいな返事をした。

「バスの時間は知っているかな?」

僕が訊くと、落葉は首を横に振った。

バス停の時刻表で次の便を確認して、少し待ってから来たバスに乗り込んだ。

後ろから3番目、進行方向に向かって右側の2人掛けのシートに腰かける。

「それで、結局何のために灯台に行くの?」

窓ガラスに頭を預けて、僕は訊ねる。ガラスから頭につたわる、バスの振動が心地良い。

「あれ? 言ってなかったっけ?」

落葉は少し大きめに首を傾げた。おそらくは意図しているのだろう。

「うん」

「写真を撮りに行くんだよ」

「灯台の?」

彼女は短く唸る。

「それもあるけど、どちらかと言えば灯台から見える風景の方かな」

木津浜には背の高い建物はほとんどない。

灯台からなら街一面を十分見渡せるだろう。

「写真を撮るのが趣味なの?」

落葉はバスに揺られながら頷く。

「初耳だな」

落葉の趣味が写真を撮ることだ、というのは意外だったけれど、彼女にカメラは似合うように思える。

「写真ってさ、強制的にその空間のその瞬間を切り取るじゃない?本来その瞬間にしか存在していなかったものが半永久的に残り続ける。それが、なんだか世界の秩序に反抗してるみたいで好きなの」

「わかる気はするな」

大きな秩序への反抗は好きだ。

まるで思春期の子供みたいに、無謀な反逆をしているように思えて微笑ましさを覚える。

窓外には、木津浜灯台が近づいてきていた。 


な、なんか、文字数すくねぇな。書き足していきます。

あと「イマキュレット・ルーム」改稿しました。

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