ある日の依頼のお話。
初投稿です。
「ねぇアズサ、まだ着かないの?」
頬を流れる汗に嫌気が差したので隣を歩くアズサに声をかける。
「もう少しなのだから我慢しなさい」
「そうは言ってもさ、もうずいぶん歩いたよね…暗いし虫がうるさいし。もう疲れたよアズサッシュー」
僕たちは町外れにある工場だったという廃墟に向かう道を歩いている。その廃墟にはなんだか霊がでるらしくそれを成仏させる
「それ辞めてもらえる?嫌悪感がすごいのだけれど。…あなたはここでやすんでなさい。私は先に行くわ」
「えー、置いてくのー?」
彼女は嫌そうにこちらをチラッと見て長い黒髪を払いながらずんずんと先を進んでいく。僕も彼女も帰宅部だから体力ないはずなんだけどなぁ。おかしいなぁ。
「あなたの体力がなさすぎるの。もう少しちゃんとしなさい」
僕の心を読まれて先回りされてしまう。うーん、さすが幼なじみだ。
「うるさいやい。僕は頭脳派なんだよ」
「そういうのは私の順位を越えてから言いなさい」
うっ、手厳しいなぁ。彼女は常に学年首位を独走していて、それに対して僕は追いかける形だ。順位は言わないけど。
「ほら、入口が見えてきたわ。あと少し頑張りなさい」
彼女がふんわりと微笑む。
「はーい」
いつの間にか棒のようだった脚がいくらか軽くなっていた。