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猩々の魔女と月白の魔王  作者: 花牟礼 噓惡華
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第4話 朝

鳥のさえずり

体を包む柔らかく、とても懐かしい感覚

意識するとなお鮮明に感じ取ることが出来る太陽の明るさ

この世界で感じ取れる一つ一つのものが「自分は生きている」と囁いているようで、とても心地の良いものだった。

私が生きていることに感動していると、何かが開く音がした。

「失礼しま~すなんて、起きてるわけないけどね。でも起きてもらえなくても嬉しいな~。主様が戻ってくれるなんて!」

少し声のする方向に顔を動かすと、部屋(仮)に入ってきた少女と目が合った。

あっ、すいません。起きてます。

ガッッシャン!!!

なにか、陶器のお椀のようなものが割れる音がした。

あ~この子何か持ってきてくれていたのかな~?

だとしたら凄く申し訳ないな~なんて。

「おっおっ……」

ん?

「おおぉぉぉぉぉおお兄いちゃぁぁああああん!主様起きたあああ!」

すっごい……大声……。

見た感じ少し大人しい感じの少女だったから尚更びっくりした。

起き上がって声をかけようと思った時には少女はもういなかった。

「何……?」

私が眠っていたとされる部屋は、沢山の植物が生えていて、部屋の壁の6割近くが木の幹や枝、葉で覆われていた。

部屋の木々には小さな蕾がぽつぽつあって、微かに紅色に染まりつつある。

ベッドは結構大きく、豪華な天幕がついた童話でしか出てこないようなものばかりで違和感みたいなものがある。

そんなことをぼぉーっと考えていると、パタパタとドアの向こうから足音がした。

ちらりと見ると少し息が荒くなった先ほどの少女の横にはその少女と顔つきがよく似た男性がいた。

さっきあの少女が大声で呼んだ兄なのだろう。

「あの……」

「「よくぞ!お戻りになられました!!」」

ん?お戻り?

「300年と言う長い間よくぞご無事で!」

と兄(仮)

「あの!勿論、私たちのことは覚えてくれていますよね?」

と妹(仮)

「……あの、すいません。人違いじゃないですか?」

本当は嘘をついておきたいところだけど、変な勘違いでバレた時には私の頭と胴がおさらばになりそうで怖かった。

にしても、主様ね…。

思いつく人はあの神サマしかいないけど……

「いえ!そんなことはありません!その神々しい髪、その雪のように白い肌は間違いなく主様の特徴で間違いありません!」

と、妹であるはずの少女が語る。

うーーーーーん

記憶にないね。

「申し訳ないのですが、あなた達のお慕いしている(であろう)主様のお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」

ヤバイ、久しぶりに敬語を使ったから合っている自信がない。

なんか丁寧語と敬語とかが凄い混ざってそうで怖い。

対する2人はキョトンとした顔を見合わせてどうするかアイコンタクトで相談していた。

兄妹って凄いね。

「主様の御名前はカク・シルフィア様であり、かの有名な青龍神:シルフィア様本人であります」

と答えるのは兄。

そして予想通り、彼らの言う主様はシルフィアのことだったらしい。

「あっ……それ、私じゃなくて、私の母です」

そして私から突然のカミングアウト。

「「えっ……?」」

「だから、私の母です」

一応、二回言った。

「……本当に……」

「ですが、よく見たら目の色は瑠璃色ではなく猩々緋ですし、言われてみればお姿も少し幼いようですし……」

兄の方は分かってくれたらしい。

「そう。私はカク・ツバキ。あなた達の言う主様の娘になるよ」

「はっはあ……」

やっぱり辛いかな?

折角自分たちが300年も待って帰ってきたはずの主様が別人だったら。

そんな中2人は再びアイコンタクトで会話をしている。

やっぱり迷うよね~。

そう思っていたら2人は私に向かって真っすぐ綺麗に頭を下げた。

んんんん??!

「申し訳ありませんでした。我々の人違いでありました」

と妹。

「ですが、我々の親愛なる主様の娘様となれば、無礼を働くわけにはいきません」

ん?

「なので、これからはツバキお嬢様として我々精一杯お仕え致しますので」

「「宜しくお願い致します」」

「えっ……?」

仕える……?

お嬢様?

何か本当によく分からなくなったけど…

「こちらこそよろしくお願いします」

2人が自分から申し出ているからこれも自分の中でヨシとした。

今週は短め

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