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猩々の魔女と月白の魔王  作者: 花牟礼 噓惡華
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第3話 生命を芽吹く茶

更新頑張りまーす。

「お~い!」

少し遠くからシルフィアが呼んでいる声がして、泣いていた姿を見られたら面倒だと思い、私は慌てて涙を拭いた。

「…あっシルフィア。戻ってきたんだ」

「あぁ、もうそろそろ終わってもいいんじゃないのかと思ってやってきたんだが……」

そういってシルフィアは画面を見つめた。

「「終わって……ないな(ね)」」

はっ恥ずかしい……///

「まあ、そんなこともあろうかと、一応私の方でも容姿だけは決めておいたんだ。お前が気に入ればこのまま採用でいいし、もし気に入らない点でもあれば、今ここで変更してしまえばいい。そこは前いった通り、お前の自由だ」

ふ~んと思いながら、シルフィアが渡してきた紙に描かれた絵を見た。

紙に描かれた絵には、腰ぐらいまで伸びた白髪の髪、真っ白な肌。

そしてその中ひと際目立つ猩々緋の目。

「いいだろう?アルビノって言うのだ!」

「知ってる。アレって結構稀に生まれる、生まれつきの特徴だよね?」

「嗚呼、そうだな」

「それってポンって出しちゃっていいものなの?」

「……」

あっ、分からないんだ。

「まあ、大丈夫だろ……」

ん……聞かなかったことにしよう。

「まあ、気に入らなってわけでもないからこれでいいよ」

「やったぁーーーーー!」

シルフィアにとって何がそんなに嬉しかったのか私には分からなかったが、とりあえず私は、私の母親が自分を見て泣かないようだったのが何よりも嬉しかった。



少し時間が過ぎ、もう空が夕日の放つ美しい赤色を映すようになった。

空は鮮やかな猩々緋に染まっていき、この太陽の色を自分の心の窓に飾れるとなると、少し転生先にも自信が湧いてきた。

「そういえばさ、私がこの場所に来た時から結構時間が経っているような気がするけど、向こうの世界ではどうすればいいの?」

これで「実はずっと固まってました~」なんて言われてしまってら私の体がただでは済まない。

間違いなく頭が恥ずかしさと時間の追いつきでとち狂ってしまう。

「ああ、それはな、時間を止めているんだ」

……ん?

「ごめんあまり聞いてなかったからもう一回お願いします」

なんか今…「時間を止めているんだ(自信満々のドヤ顔)」って聞こえた気がする。

いや、何かの間違いでしょう。

お願いします、間違いであってください……!

「…どうした?耳が壊れたのか?」

「壊れてないし。というかまだ体がないのに何で壊れるんだよ」

「嗚呼、そっかぁ!時間を止めてるのは本当だぞ」

……間違いじゃなかったかーーー!

「だって自分だけ変に時間軸ズレているのは嫌だろ?」

「……確かに嫌だ」

「な?それに面倒ごとが増えるのも目に見えているからな」

「こっちの方が楽なんだ」と言ってシルフィアは人差し指を回し、『62』と言った。

えっ?と思った矢先には机の上に少し緑がかった青色の茶葉の入ったガラスで出来たティーポットと、同じくガラスで出来たカップが一つ何もない空間から出てきた。

一瞬軽く混乱しかけたが、「ここは異世界だ」「ここは異世界だ」「ここは異世界だ」と5回ぐらい念じたことで治まった。

シルフィアは「意外と驚かないものだな」と言い、「あっ、でも二回目だから少しは慣れたか」と一人で軽く驚き、一人で納得した。

そういえば前にもそんなことあったなと私もそれで納得していく。

「まあ、準備が整ったところであとはこのお茶を飲むだけで異世界で生まれ変われるぞ」

「あれ?意外と簡単」

「お前が悩んでいた間に私の部屋にあった茶葉を改良して簡単にしたんだ」

「シルフィアってお茶飲むんだ」

てっきりここは地獄や天国の類だと思っていたから必要ないものだと思っていた。

「まあ、必要はないが、一つの娯楽としてな。現世に至っては私は今まで干渉できなくなっていたから、成り行きは祈るだけだったからな」

「まあ要するに暇だったってことでしょ」

「否定はしない」

しないのか。

「神サマって仕事は結構忙しそうに聞こえるけど本当は暇なんだね」

「馬鹿言え、違うぞ。()()()忙しいはずなんだ。だが、300年前に神の権限を失ってからはやる事が出来なくなってしまい、実質暇になったのだ!」

「へ~そうなんだ」

「信じてないだろ!」

「うん」

シルフィアの言葉に即答したらシルフィアはガクっと机についていた肘から崩れていった。

「まあいい!信じてもらえなくても転生してからはお前にはバシバシと働いてもらうからな!」

「分かったよ」

こき使われるのはあまり好きではない。

そんなことを知らないシルフィアは私をこき使う了承を得て満足したのか、鮮やかな群青に木々の緑が映し出されたような色のしたお茶を私に差し出した。

「さあ、準備はいいか?」

シルフィアは自信満々の笑みで私に当然の回答を聞いてきた。

「当たり前じゃん、準備なんか聞かれなくても出来てるよ」

私は真っすぐシルフィアの目を見つめて言った。

「そうか、じゃあよろしくな!華宮・椿、私の娘よ!」

「うん。よろしくね、母さん!」

言い終えた瞬間私は勢いよくお茶を飲みほした。

カップから口を離すと、私の体を白い光が渦巻くように飲み込み始めた。

続いて黄色がかった緑色の葉が光に混じって私の体を飲み込み始めた。

でもなんだかシルフィアの様子がおかしい。

「なんで……?まさか…魔女の刻印……でも…」

私に魔女の何かを見たのかシルフィアは凄く焦っていたようだけど、次の言葉を聞ける前に光と葉は私の体を飲み込み終え、意識が途切れた。

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