第1話 死に神
また、書き直してしまい、皆様にはご迷惑をおかけします。
今回は月曜日更新にする予定なので、前回よりも長く続く、というか、完結させて見せます。
何卒宜しくお願い致します。
……
気づいたら目の前は真っ暗だった。
何も見えない。
何も聞こえない。
何の匂いもしない。
何も感じられない。
感覚が無くなった?
でも考えることは出来るんだ……。
…………
ずっとボーっとした思考を放棄して、ふわふわとした時間を過ごした。
そんなくだらないことを考えていたら、私の目……正確に言うと右目になにか糸のような細いものが貫通したと思ったら、何かが私の体を巡り、やがて脳まで到達したかと思ったら、意識が途切れた。
……
ん……ん?
目を開いたら学校の天井ではなく幻想的な霧で覆われている空。
床…というか地面は鮮やかだけど不思議に光るエメラルドグリーンの芝生が辺り一面を覆っている。
その地面は少し先で途切れていて、下には地面ではなく、目を開けたときに見た空が広がっているのが分かったときに、
「あぁ、私はもう地球にはいない」
という思考と共に、
「私、死んだのか……」
という考えが脳を埋め尽くした。
でも自身の死も、私の脳味噌的には悲しいより、むしろ嬉しい事実だったようで、涙なんかよりも先に笑みがこぼれた。
「ははっ……はぁ」
自身の死による悲しみよりも喜びのほうが先にくる私は結構ヤバイかも…末期かな(笑)?
あっ……もう死んでるから末期とかないか(笑)!
そんな実にくだらないことを考えていたら、突然台風の時の風を思い出させる程の突風が吹いた。
ここが空の上(と過程して、)だから風が吹くのは当然か……と思っていたが、突風は自然に風で起きた偶々ではなく、目の前に降り立った……
銀髪で鮮やかな瑠璃色の瞳を持った、一柱の少女。
その少女(と思われる女性)は
「私は、この世界を統べる唯一神!青龍神 :カク・シルフィアである!」
えっ?
「よろしくな!」
……
「へっ?ドウイウコト?」
「まぁ、向こうに行ってゆっくりと話そうではないか!私はお前から色んなことを聞けることをとても期待しているからな!さあさあ!ごゆっくり~」
……
見事に会話の主導権を握られた。
これじゃあどうしようもない。
そして、なんか妙な味がするなこのお茶。美味しくも不味くもない。
そういうお茶なのか?
「いや~久しぶりの来客だったからな、お茶の淹れ方も忘れてしまったようだ」
だからこんな微妙な味がするのか。
「あと、こっちの世界の魔法草を入れたハーブティーだから、地球出身のお前の口には合わないかもな」
それもそうかもしれないけど、十中八九淹れ方をしくじったんだろうな…。
「さっきから口を開かないが、突然神が目の前に現れたのだ、混乱するのも無理はない!」
いや、お茶の味に慣れなくて地味に苦しんでいるんです。
……
というかこれ、多分ダメなやつだ…。
今質問しても絶対に私が求めている答えは得られない。
ここは大人しくこの神サマ(自称)の言い分を聞こう。
「…ハイ。分かったんで要件pleas」
「いや、それ絶対に面倒だからって適当に流しているだろう!」
あっ、バレた(笑)
「うん。」
「いや…うんってお前……」
「で?要件は?ないの?だったら早くしてくんない?私、早く母さんと会いたいの」
「……お前」
何か感づかれたかな?
「自分が改めて『死んだ』と言う事実に向き合っても、前向きに考えるんだな…」
あぁ、そっちか……てっきり過去のことを色々聞かれるのかと思った。
「だって、仕方ないじゃん。死んじゃったんだから」
「えっ?」
「死んじゃったから仕方ないって言っているの。分かる?」
「分からない…」
即答かよ…ていうか結局要件からズレてんだけど…
でもあの様子だと最後まで言い切らないと絶対に話さないだろうな。
「死んだことを悔いないのが私の考え。そう約束したから『過去のことにいつまでもすがっているのではなく、潔く諦めて、前に進んでいく』って」
「でも、辛くないのか?失ったものをそう簡単に諦めることは難しいだろう?」
「辛くない。これが、お母さんとの約束だから」
「……強いんだな、お前は」
ん?
「今はいない昔の仲間や家族にすがって、毎日泣いていた私が惨めに見えるよ」
っていうか、神サマに家族とかいるんだ。
「なんとなくで助けたが、これはとんでもない逸材を拾ったな!」
「……まぁいいや、話を戻すけど、要件は何なの?なんとなくで助けたにしても、目的はあるんでしょ?」
「あぁ、あるぞ!」
ほら、あるんじゃん。最初っから要件を言ってくれればよかtt
「お前には、私の娘として転生してもらい、世界を救う為に、魔王と手を組んでもらう」
…はぁあ?
魔王?世界を救う?いやそっちよりも……
「娘ってどういこと?!」
「ん?私が用意した器に私が用意した魂とお前の人格を入れるのだ」
「……それって本当に可能なの?」
「さぁ?理論上では可能だ」
理論上は、可能ね…。
「まぁ、別にいいか」
「おっ!いいのか!!」
「別に生き返るのは構わないし、面白そうだから」
「お前絶対に本音は後者だろ」
「いや、どっちもだよ」
「へぇ~そうなのか。まぁいい、とりあえず、これが契約書だ」
契約書とかあるんだ…。
私は速やかに契約書に筆記体でサインした。
「へぇ~『椿』って言うのか!」
「うん」
「因みに、おm…椿の母親の名前は何て言うんだ?」
「沙羅」
「……沙羅…沙羅?!」
おぉおおおお?凄い食いついてきたな。
「じゃあお前、第4443代目勇者軍、賢者:華宮・沙羅の娘なのか!!」
「……多分?」
母の苗字、および私の苗字である華宮はあっている。
「ていうか、私の母さんの名前をなんで知っているの?」
「嗚呼、あいつ…というかその娘に当たるお前もだが……お前の苗字である華宮の家系は私の子孫にあたる一族なのだ(笑)」
……は?
なにが「なのだ(笑)」だよ!!!
「えっ?ていうことは、私は自分の先祖に当たる神の娘として生きていくことになるの?」
「まあ、そうなるな」
「それって面倒じゃない?」
「……確かに」
「いいの?そんなグッチャグチャの関係にしちゃって?」
「ああ、構わない。どの道誰かを送り込まないとこの世界もあと100年も持たないし、
私はお前を一人の人間として気に入った。お前が私の子孫でなかったとしても」
「……そっか。それはよかった。
でも、覚悟してね?私はシルフィアが思うような人間じゃないし、融通もききづらいから、苦労すると思うよ?」
「はは!それはコッチの台詞だな!椿にはこれからバシバシとこの世界の為に戦ってもらうことになるからな。人に情なんか沸かせる暇なんかないからな」
「母がいなくなってからの私には情なんかこれっぽっちも残ってないからね。丁度良かったじゃん」
「じゃあ、握手な!地球では挨拶は良好な関係を築くときにするんだろう?」
そういったシルフィアは手を差し出してきた。
私は間髪入れずにその手を握った。
「よろしくな!椿」
「こちらもよろしくお願いいたします、母上」
そうして、一柱の神サマと、一人の悪魔が世界を救う為の契約をかわしたのであった。
シルフィア「いっいきなり母上だなんて呼ばれるのは、なっ何だか恥ずかしいな///」