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第6話



 なんかしらないが、高井さんが俺に変な質問をしてきたのだが、一体どうしたのだろうか?

 

「まぁ、あの人が変なのはいつものことか……」


 俺はそんな事を考えながら、厨房の奥で野菜を切っていた。


「お、おはようございます」


「あぁ、おはよう」


 野菜を切っていると、愛実ちゃんが厨房に入ってきた。

 今からのシフトは愛実ちゃんと高井さん、そして俺か……なんか疲れそうだな……。


「愛実ちゃんはいつも通りレジをお願い、俺は厨房するから」


「は、はい……わかりました……」


 どうしたのだろうか?

 最近はシフトに入った瞬間から、俺にうざ絡みしてくるのに……今日はそれが無い。

 というか、さっき高井さんが変なことを言うから、変な想像をしてまう

 絶対に有り得ないことなんだけどな……。


「次郎さん、あの……」


「ん? 何?」


「く、クリスマスって……その……シフトの後は暇ですか?」


「え? まぁ……家に帰ってテレビ見て寝るだけだけど?」


 自分で言ってて寂しくなってくるなぁ……。

 我ながら可愛そうなクリスマスを過ごす予定で居る気がする。


「あ、あの……よ、良かったら……ご飯でも行きません?」


「え?」


 なんで愛実ちゃんがクリスマスの日に俺を食事に誘うんだ?

 俺は少し考えて、愛実ちゃんに答える。


「嫌だよ、どうせ俺のおごりなんだろ?」


 どうせいつもの冗談だろう。

 俺はそう思って、いつも通りの返事を愛実ちゃんに返す。

 どうせ、良いよなんて言ったら「期待してるんですか?」とか言われてからかわれるだけだし……。


「そ、そうですか……あはは、ごめんなさい! いつもの冗談でした-!」


「あのなぁ……歳上をからかうのも……」


 ため息を吐きながら言葉を続けようとした俺だったが、そこで言葉を止めた。

 その理由は、愛実ちゃんの笑顔がいつもの笑顔とは違っていたからだ。

 なんて言ったら良いのだろうか……表情は笑顔なのに、目は悲しそうだった。


「じゃ、じゃあ! 私は今日もお仕事頑張りまーす!!」


「あ、あぁ……」


 愛実ちゃんはそう言って、俺の前から居なくなった。 なんなのだろう……この胸に突き刺さるような違和感は……。





 はぁ……私はため息を吐きながら更衣室で着替えをしていた。

 勇気を出して次郎さんをクリスマスに食事に誘ってみたのだが、日頃の私の言動は原因で断られてしまった。


「はぁ……ついてないなぁ……」


 こんな事なら、日頃からあんな態度を取らなきゃよかった。

 私はそう思いながら、家に帰ってシャワーを浴び、夕食を食べる。


「はぁ……」


 結局ベッドに入るまで、私はずっとため息を吐いていた。

 最近こんなにショックなことはあっただろうかと言うほど、私はショックを受けていた。

 スマホの画面を操作し、次郎さんの連絡先を開く。

 こんな時だからだろうか、愛しい人の声が聞きたいと私は感じてしまった。

 

「う~……う~」


 私は通話ボタンを押そうか押すまいかを悩みながら、私はベッドの上でゴロゴロと転げ回る。





「あっつ!」


 フライパンの油が跳ねて腕についてしまった。

 バイトから帰宅し、俺は夕飯の準備をしていた。

 たまには唐揚げが食べたいと思い、材料を買って作っていたのだが、結構時間が掛かる上に面倒くさい。 

「バイト先のナゲットで我慢すればよかったかな?」


 そんな事を考えていると、部屋のインターホンがなった。

 

「誰だ?」


 俺は油の火を止めて、部屋のドアを開ける。


「はーい……ってなんだよお前らか……」


「なんだとはなんだよ」


「折角来てやったのに!!」


 ドアを開けた先に居たのは、大学の友人達三人だった。

 手にはスーパーやコンビ二の袋があり、お菓子や惣菜などが見え隠れしていた。


「なんだよ急に」


「お前、まさか忘れたのか?」


「は? 何をだ?」


「今日はアレの発売日だろうが!!」


「アレ?」


 アレとはなんだっただろうか?

 俺は記憶をたどり、何の発売日かを思い出そうとする。

 

「あぁ!! エーリアンハンター3の発売日か!!」


 ようやく俺は思い出し、少し大きい声で三人に言う。 俺は結構ゲームをする。

 しかもこのエイリアンハンターシリーズは俺の大好きな狩りゲーだ。

 最近色々と忙しくて忘れていたが、今日が発売日だったのか……。

 

「やっぱり忘れてやがったか……買ったらみんなで徹夜でやるって約束だろうが」


「悪い悪い、忘れてたわ……お前らは買えたのか?」


「おう、予約したからな! ってか、お前はやっぱり買ってないのか?」


「あぁ……最近そんな暇無くてさ……」


 テストは近いし、レポートの提出はあるし、バイトは忙しいしでゲームの発売日をすっかり忘れていた。

 

「やっぱりか……そんな事だろうと思って……ほれ」


「ん? お、お前まさか!」


「買っといてやったぜ、後で代金は貰うがな」


「おぉーサンキュー!! 上がれよ! みんなでやろうぜ!」


「そのつもりで来てるんだよ!! 今日は寝かさないからな!」


 そんなこんなで始まった、ゲーム大会。

 そう言えば今月のシフトを出すときに、ゲーム発売日の翌日を休みにしてたっけなぁー。

 俺はそんあ事を考えんがら、ゲーム仲間三人と夜通しでゲームをしていた。

 俺が作った唐揚げはみんなで食べ、エナジードリンクを飲みながら、みんなでゲームに熱中した。

 そして気がつけば時刻は午前二時を回っていた。


「おっしゃぁ! 6体目!!」


「今度こそ素材が出ると良いが……ってやっぱり出ねぇ!!」


「物欲センサー仕事しすぎだな、少し休憩しようぜ」


「そうだな」


 少し休憩しようと、全員ゲームを置いて話しをしながら買ってきたお菓子を食べ始める。


「そう言えば、お前らはクリスマス何してるんだ?」


 そう言ったのは、この中で一番のゲーマーの尾道だた。

 尾道はゲーマーの癖に顔立ちが良く、大学でもモテる。


「彼女とデート」


「良い感じの子とデート」


「次郎は?」


「バイトだよ……悲しくなる事を聞くな」


 言い忘れていたが、俺以外の二人は彼女が居る。

 そしてもう一人の友人は言っていた通り、良い感じになりつつある女の子が居る。

 つまり、この中で一番女っ気が無いのは俺だけなのだ。


「次郎、お前もそろそろ彼女作れよ、バイトとゲームばっかりで良いのか?」


「そうは言ってもなぁ……いい人も居ないし……」


「まぁ、お前は女子と接点を持とうともしないからな……だから俺はそんなお前に大変ありがた~い話しを持ってきた!!」


「なんだよ急に……」


 尾道は突然立ち上がり、俺を指さしてそう言ってくる。

 

「喜べ! お前の為に優しい俺は合コンの話しを持ってきてやった!」


「は? 合コン?」


「しかもクリスマス!」


「いや、バイトだって……」


「バイトって言っても夕方までだろ? 合コンは夜からだ!」


「そんな急に言われても……メンバーだって」


「集めておいたぞ!」


「準備良すぎかよ……」


 突然合コンなんて言われても、俺は合コンなんて言ったこと無いし……それに、なんか出会いを目的にしてる感満々で、そう言う場所はあまり好きになれない。

「19時に駅前の居酒屋だ、全員大学生だから安心しろ、それに男メンバーはお前の知ってる奴らばっかりだ」


「いや、俺はまだ行くとは……」


「ゲーム……買って置いてやったのは誰だっけ?」


「うっ……そ、そうだけど……」


「それに、お前が出ないとメンバーが足りなくて合コン自体が無くなっちまう。ゲーム買って置いた借りはこれでチャラにしてやるから行ってこいよ」


「そ、そう言われても……」


 結局、俺は流されてしまい、クリスマスに合コンに行く事になってしまった。

 ヤバいなぁ……服とか買っておかないとまずいよなぁ……あぁ、また金が飛んでいく。

 なんて事を考えながら、俺たちは結局、翌日の朝8時までゲームし、そのまま全員で昼過ぎの3時まで寝ていた。

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