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年明け早々、新顔③

四郎の周りにいる人材確認回です。

字が知られてない家臣達は、オリジナルで名付けてます。

 甲州の御用商人達を下がらせた後、四郎は久々に自分の傅役や家臣達を集めて、新年の(うたげ)を開いて昨年の働きを(ねぎら)ってやろうかと家臣達を集めた。


 まず義父であり俺の後見人となってる高遠紀伊守頼継、それに傅役の跡部攀桂斎信秋とその妻で俺の乳母だった比呂、もう一人の傅役安倍加賀守宗貞、そして三人目の傅役長坂釣閑斎光堅は、現在諏訪郡代を父上より任じられていて、躑躅ヶ崎館にはいなかった。


 続いて高遠領から、躑躅ヶ崎館へ登城してきた高遠家宿老の保科弾正忠正俊がおり、今までは高遠家内政の責任者として、高遠城に詰めておったが新年の挨拶をする為、自らやってきて初めて高遠四郎と会った。


 また他にも高遠領にて、政務に従事して四郎に会った事ない家臣達が新年の挨拶と言う事で、躑躅ヶ崎館に登城する為、初めて会う人が結構多かった。


 その中で防諜役で陰陽師の小笠原源与斎、それに小姓の赤口兎丸が傍に控えており、左右の席には近習の青山角蔵繁清、弦間八兵衛正吉、伴野宮内少輔信守、小原丹後守広勝、小原下総守忠国、秋山紀伊守光次、諏訪越中守頼豊、向山出雲守昌保、木下日吉丸を座らせた。


 さらに奥の席には躑躅ヶ崎館に登城してきた高遠家に仕える各家の代表、座光寺左近進頼近、溝口民部少輔正慶、黒河内隼人丞政信、山田伯耆守友数、春日大和守重慶、上林上野介祐義、桜井欽五郎重久、藤沢箕輪次郎頼親、松岡兵部大輔頼貞、松島筑前守貞実、大島藤兵衛貞継、飯島大和守為政、知久大和守頼元、矢島勘六満政、関十三郎春仲、高木五兵衛顯松、漆戸伊大夫吉俊、小平内記元清、辰野与右衛門愛実、羽場掃部助重氏、山口権左衛門鑑弘、上島孫次郎虎福、牛山左衛門道賢、汐田左近興信、高見孫兵衛棟康、田沢五郎左衛門之俊、竹松外記豊兼、小田切掃部丞正則、桜井茂八郎照行、菅沼阿波守克重、中沢主水義忠、中西丹後守君敦、中原四郎左衛門泰景、名子右近丞為忠、野口甚吉亮昭、畑谷新八郎秀豊、浪合志摩守胤吉、奈良井喜十郎家信、大井出小太郎義行、埋橋四郎左衛門光祐、市岡義太夫正則、中越備中守忠持、塩原安兵衛兼親、片切右馬丞久信、上穂伊豆守重清、遠山土佐守景広、坂西松次郎政之が集まってくれた。


 こんだけ初めて会う高遠家家臣の顔を全然覚えきれなかったが、その中に去年の東美濃にて秋山伯耆守虎繁に率いられて手柄を立てた者達もおり、何人か印象が残る者がいた。


 まず数年前まで、武田家に敵対していた箕輪次郎こと高遠家諸流藤沢左衛門尉頼親が新年の挨拶に伺いに来てくれた。



「初めまして高遠四郎様。明けまして、おめでとうございます。我ら藤沢家は、今年初めて四郎様に御逢いしましたが、昨年から高遠領で行われてる改革に、我らも力添えをしたくて参りました。」


「藤沢殿は、箕輪次郎と言われる様に戦上手だと(うた)われておる事は知ってる。高遠家へ出仕してくれる事に嬉しく思いますぞ。」


「それでは、四郎様の御傍に今年五歳になる我が嫡男松千代を小姓として、御仕えさせてください。」



 藤沢左衛門尉は、後ろに控えてた嫡男松千代を四郎に向かって挨拶をさせた。



「藤沢松千代で御座います。父左衛門尉頼親共々、四郎様へ仕えてたいので、何卒(なにとぞ)よろしくお願いします。」



 松千代が達者に口上した後、父藤沢左衛門尉と一緒に平伏すると四郎は、二人に高遠家への出仕を認めた。



「藤沢左衛門尉に嫡男松千代よ。其方等(そなたら)二人の至心(ししん)は、よく伝わったぞ。今後、高遠家に励むが良い。」


「ははっ!!」



 次に挨拶してきたのは、浪合志摩守胤吉が長男新之助胤光と次男備前守胤成を連れて挨拶してきた。



「四郎様、明けましておめでとうございます。四郎様には、我が次男備前守胤成を近習として、御仕えさせていただきたく、新年の挨拶へ連れてきました。」


「して浪合志州の息子は、俺の近習として仕えさせたいというが、ただ自分の息子だからと言って勧めてくる訳ではあるまい。」


「御もっともでございます。拙者の息子胤成は昨年足利学校を卒業しており、易学、兵学、医学を身に付けておりました故、きっと四郎様の御役に立てると思った次第で御座います。」


「四郎様、拙者は十の頃より足利学校にて、十年間学んでおりました。そして仕官先を探す為に一旦実家に戻った時に、父より四郎様の話を聞けた為、自らの考えで四郎様に御仕えしたく、父に頼んで年始の挨拶について参りました。」



 四郎は、浪合備州が足利学校卒と聞いて、知恵が回る者だと言うなら仕官を認める事にした。



「宜しい、ならば今日から、近習として俺の傍で働くように。」


「ははっ!!」



 そして多くの家臣からの挨拶を受けて、最後に宴を始めようと四郎が乾杯の音頭を取ろうとしたら、塩原安兵衛兼親が声を上げた。



「四郎様、あいや(しば)拙者(せっしゃ)が推挙する者を会ってもらえぬであろうか?」


「塩原安兵衛よ。其方(そなた)が推挙する者とは、どなたであるのか?」


「では、ここに連れて申します。」



 すると元服したばかりであろうと思われる美貌の若侍が入室してきて、塩原安兵衛の隣に座って、四郎に向かってひざまついた。



「四郎様、初めましてで御座います。拙者は、塩原安兵衛兼親の女婿で、遠州井伊谷郷の井伊亀之丞直親と申します。故あって、故郷にて陰謀に巻き込まれて、信州伊那まで亡命して塩原安兵衛殿を頼ったのでござる。塩原安兵衛殿には我を受け入れて、さらに女婿にして貰い恩義をかんじましたので、身体が病弱な塩原安兵衛殿の代わりに、四郎様の傍で働こうと思った次第でござる。」



 いい?・・・井伊・・・・ 何か記憶の中あると言えば、徳川四天王井伊直政の父親じゃないかっ!?


 何で、そんなのが信州にいるのだ? でも井伊と言う苗字だけで、本当に父親なのか決まっておらんから、とりあえず仕官させて、長い目で様子を見てみようじゃないか。



「良かろう、其方(そなた)の仕官を許す故、今日から仕える浪合備前守胤成と共に働くが良い。」


「ははっ!! 誠心誠意、四郎様に御仕え致します!!」



 そう言うと出仕を許された塩原安兵衛と井伊亀之丞は、四郎の前に平伏した。



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