太郎と二郎と四郎
なんか毎回拙い文章ですみません。
2020 2/26 台詞を一部修正
2020 2/28 ✖忍者⇒〇従者に変更
父上とたくさん話した翌月、再び父上が奥御殿を訪ねてきて、今度は正室三条円姫と共に太郎兄上と病弱な二郎兄上も連れてやってきた。
しかし生後二ヶ月経ってない俺にそんなに話す事あるのかね。正直、俺が伝えた事は何一つ現実化してないので、もし致命的な失敗があったなら、真っ先に殺すつもりかね・・・
そう俺がボヤいてる事を考えてるのを見抜いたのかしらないが、部屋に入るなり俺に話しかけてきた。
「四郎よ、いきなりなんだが円と太郎、二郎にお前との会談を話した。それで、お前が持つ知識を太郎と二郎に教えてやってくれ。」
いきなりなんだ。教えるのは構わないが、どう伝えたら良いのだろう。学校の先生ではないのだから、俺が持つ知識を噛み砕いて教えないと大変な事になりそうだ。
特に太郎兄上は、俺の前世の歴史では性格が真っ直ぐで父上と対立して自刃したという記録が後世に伝わってるので、結構大変かもしれん。下手すると御家騒動が別の形になって出るのかも?
そして二郎兄上は、将来的に天然痘にかかり失明してしまった記録が残ってたな。こうなると予防の為、牛痘接種が必要か。もっと医療知識持つ者に抗生物質を研究させるのに、そんな事を引き受ける奴がいないかな?
そう考えていたら、奥方様と太郎兄上と二郎兄上が側室である母上と俺に向かって、頭を下げてるではないか。母上は、慌てて奥方様に駆け寄り、そのような事させまいと奥方様を取り繕った。
「奥方様、太郎様、二郎様も頭を御上げになって下さい。四郎は兄上二人に知識を伝えようと考えておりますが、何分赤子なものですから、どのように秘伝を御伝えたら良いのか、困惑してるのであります。」
母が勝手に兄上二人に秘伝と決めつけて話を進めたが、俺自身知識の伝達に賛成なので、本当にどうやって伝えたらよいのか困ってた処だった。
すると円姫が父上と俺に提案してきた。
「御屋形様、四郎様、もし宜しかったなら、毎日一刻(二時間)何か御話を聞かせてくれませんか。その中の談話にきっと学ぶところが必ずあると思います。」
円姫の隣に座ってた兄上達も真面目な表情にして語り出した。
「我々も四郎を師範として敬い、優れた学問を武田家の為に真摯に受け止めます。」
「兄上と同じく、僕も四郎から一杯学問を教わりたいです。」
俺は学者じゃないから、学問なんて教えられない。分かるのは生前死ぬ直前まで、見てた情報だけだぞ。間違いがあっても検証出来ないから、神童扱いはほんとキツい。
「兄上、僕が知りえた知識を教えるのは構いません。ですが僕は神様じゃないです。もし僕が知ってた知識に間違いがあっても僕には口伝でしか教えられず、それを修正する知恵はございません。もし間違いやもっと良い手段が見つかったのなら、僕と一緒に解決してくれませんか?」
すると太郎兄上と二郎兄上は、にっこりと笑顔になった。
「四郎よ、某は四郎の長兄だ。だからお前が困ってたら、お前に言われるまでもなく助けてやるぞ!!」
「四郎、僕も兄様と同じだよ。四郎が苦しい時悲しい時は、僕も一緒になるから心配せずに、僕に頼って。」
太郎と二郎は、それぞれの表現の仕方で、四郎に己の気持ちを口に出した事を話が無事収まった事に円姫と母上は大喜びとなり、いつの間にか勝手に話を盛り上げていた。
「御香様、武田家繁栄の為には我々だけじゃなくて、武田の血を引いた子女達も四郎様から御教授させてもらう事が、宜しいと思いませんか?」
「奥方様、私も同じ考えでした。昨日四郎から、武田家の行く末を聴かされました時、大いに心痛を催しました。だから四郎には、親族皆々が協力して後ろ盾となり、是非武田家繁栄の為の力を振るって貰いたいと望んでました。」
「そしたら御屋形様、我々も四郎様の為に補佐を行います。」
「奥方様、梅姫様と見姫様も四郎から教えてもらいましょう。」
「えっ!本当に娘達も学んでよいのでしょうか(ニッコリ)」
「ええ、私共は誰も反対しませんよ。もし反対する人がいるとしたら、武田へ弓成す謀反者でしょう(ニッコリ)」
なんか前世の女子会みたいで、会話が怖くなってるよ。父上も口を挟まず話の流れを聴いてるぞ・・・・
話が落ちついてきた時に、父上は以前言ってた俺の傅役と近習の名前を呼んだ。
「四郎よ、本当なら傅役と近習は母の乳離れした後に決めるのが、武家の習わしであるが其方の状況を鑑み決めてきて、奥に待機させておる。今から呼んで挨拶させるゆえ、四郎に目通しさせる。」
そう言うと父上の近習甘利藤蔵に呼びに行かせた。
最初に入ってきたのは、長坂釣閑斎光堅、続いて跡部攀桂斎信秋、そして最後に安倍加賀守宗貞が入室してきた。
「儂にも板垣駿河守信方、荻原常陸介昌勝、飯田但馬守虎春の三人の傅役がいたが、四郎の傅役は長坂釣閑斎光堅、跡部攀桂斎信秋、安倍加賀守宗貞の三人に決めた。長坂釣閑斎は儂の乳兄弟で高遠蓮峰軒頼宗を討ち取った剛の者だ。跡部攀桂斎は甲斐国内の仕置きの事に通じており、甲斐での政に関しての教えは攀桂斎が教える。安倍加賀守は我が百足衆ながら見込みが有り、四郎への補佐を行う。」
三人共俺と母上に向かって挨拶し、そして父上の後ろへ控えた。大体この三人は予想通りで、続いて父上は俺の護衛にと近習を八人付けると言う。
「皆の者、入れ。」
父上がそう呼ぶと大体十代半ばの少年達が次々と入室してきた。
「四郎よ、こやつは青山角蔵繁清と言って、弓の名手だ。そしてこいつは、伴野宮内少輔信守だ、こやつは撃剣の達人にて、四郎の傍に居てもらう。弦間八兵衛正吉も弓の達人で角蔵といつも競ってる。小原丹後守広勝と小原下総守忠国は兄弟だ。秋山紀伊守光次は、秋山善右衛門尉虎繁の従兄弟だ。武道以外は、小原兄弟と秋山紀伊守に相談せよ。こいつは諏訪越中守頼豊で、安倍加賀守と一緒に百足衆にいて、筆頭で四郎や寅王丸の従兄弟だ。最後は向山出雲守昌保で、向山又七郎の従兄弟だ。こいつは智謀に優れて、他国への使者としても重宝している。」
皆、其々(それぞれ)挨拶していった後退出していったが、彼等は当面の俺の手足だな。
ん?さらに何か父上が言いたそうだな。
「四郎よ、今じゃくなて良いから武田家家臣達にも知恵を拝借させておくれ。」
ここまで来たら必ず言われると思った。こちらも準備万端になったなら、伝授をしてみよう。
「わかりました父上。秘密厳守を誓い、他国や武田家に仇名す輩に伝わらないなら、御教えしましょう。そうしたら機密流出防止の為、防諜担当者をこちらに廻してください。出来ればその者は一時の雇い入れの者は止めて、正式に武田家に仕官させ知行を与えてください。」
よし、従者を一人ゲット!
「合分かった。四郎の傍に付けるとしよう。」
こうして想像以上の早い展開で、俺が※異世界での第一歩を果たす事になった。
※真摯に受け止める 本来の意味は、改善を行う事に真面目に取り組んでいくと言う、決意の表現。
※異世界 四郎は、知ってる戦国時代と情報が違う為に、別世界に転生させられたと割り
切った。
青山角蔵重清 諱は不明だったので、オリジナルで付ける。