二郎兄上の目指す道
飲酒しながら、書いてますので内容に御容赦をお願いします。
二郎兄上が本音を吐露します。
俺は、二郎兄上が補佐に付けると父上から言われたので、二郎兄上にはどういう事をやってもらうか思案していた。
前世の知識では、生まれつき左目が失明しており、その後1556年(弘治二年)に疱瘡(天然痘)を患った為に残された右目もほとんど視力を失ってしまい、浄土真宗に出家してしまった。二郎兄上は性格が穏やかで御聖導様と呼ばれて、海野家を継承したという記録があったな。
二郎兄上は、右目はまだ見える内に医学の道を目指してもらうのはどうだろうか?
前世の武田家は、結構病で苦労してるが、もし克服或いは予防に繋がれば、助けれなかった命を延命出来るし、二郎兄上が患う疱瘡も防げるかもしれないな。
二郎兄上に作り方を伝えて、抗生物質を完成させてもらい独眼の医聖(医龍)を目指す道を進ませようかと考えが纏まってきた。
そしたら二郎兄上と二人きりになって、前世の二郎兄上の話や医療の知識を伝えて、俺が記憶してても出来ない医学の世界を目指してもらう事にしよう。
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「えっ!」
俺は、二郎兄上に前世の兄上の人生を語り、二郎兄上の進む道をそれとなく医学の方へ導きたいと思い、抗生物質などの病気に効果のある医術の話を行ったが、二郎兄上は医学に興味を持ちながらも自分のやりたい事を俺に語り始めた。
「四郎よ、僕は左目を失明して、さらに四郎から僕の前世の話を聞いた時、四郎が進める医学の道も是非やりたいと思うが、同時に僕は父上と兄上の不幸な諍いを防ぎ、そして武田家が足りない物を補って、父上兄上を支えたいんだ。」
正直、俺は二郎兄上は自分が患った疱瘡を気にして、医学者の道に希望するかと思ってた。なんせ自分の病もそうだが、父上や兄弟が患った病を癒したいと思ってると、勝手に決めつけていたからだ。
「四郎は、僕が病によって苦しんだ事で、医学への道に歩むと思ったんだあうけど、確かに医学も身につけたいけど、僕は四郎から今後の武田家の流れを聞いて、大切な武田家で父上と太郎兄上の諍いが起きる事を絶対に防ぎたいんだ。」
「その為には、僕が二人の鎹になって、繋ぎ止めたいんだ。」
俺は、見誤った。
二郎兄上の事を病で苦しんでいるので、医学の道を選択すると決め付けていたので、まさか自分の病の心配より、ここまで家族想いだとは見当違いであった。
「僕は、四郎から聞いた武田家の行く末を聞いて、己の病の治療を回避しても父上と兄上が相克の関係に陥る原因が起きたのは、僕が失明したせいと四郎は思考したけど、僕の考えは失明ではなくて、僕が二人の心が見えなかったせいだよ。」
「二人の心とは?」
「父上の天下を憂う心、兄上の武田の誠を憂う心。その二つはどちらも捨ててはいけないんだ。」
二郎兄上は、日ノ本の長年の戦乱も終らせるのと武田の天下の批評を双方失ってはならないと言ってるのか。
「二郎兄上は、御身を犠牲にするのは厭わないが、天下鎮撫と武田の至誠の心が大切だと・・・」
二郎兄上は、無言で頷き一言呟いた。
「四郎よ、僕の御旗には愛国至誠と掲げよう。その為にはこの両目を天に捧げる。」
二郎兄上、僕は感服したよ。
俺は、知識だけ記憶して戦国の世に転生した只の凡人と比べたら、二郎兄上はまさしく父上と太郎兄上を支えていく武田家の鼎だよ。
もしかして俺の役目って、武田勝頼として、前世の知識を駆使して情勢をひっくり返すのでは無くて、武田家の英雄達、父上、太郎兄上、二郎兄上を支えて、彼等の志支援を全力で行う事が良いのかもしれないと思ってきた。
「二郎兄上、僕は前世の二郎兄上を鑑み御身体の事も考えて、医療師の道を歩んで行くと身勝手にも決め付けておりました。しかし僕が今後歩む道は、父上や兄上達に僕が未来への指導を行うのではなく、未来を創る父上や兄上達を支える事を行う事に決めました。」
二郎兄上は、俺の事を優しく見つめて、俺の頭を両手で抱きしめたので、俺はそのまま二郎兄上の耳元で話した。
「父上や兄上達は、僕が全力で御護りします。だから二郎兄上は、愛国至誠の気持ちを貫いてください。」
二郎兄上は、疱瘡で命落としてでも、父上と太郎兄上の相克を止めようとしている。
こうなったら俺が皆を助ける為に前世の記録の中にある抗生物質を完成させて、父上や兄上達を救うしかないな。
しかし単独で絶対に無理だろ、どこかに医学への素養がある奴、どこかにいねーかなー。
愛国至誠 のちに武田家の軍配者、海野竜芳信親の軍旗となる。元ネタは基督教の言葉、至誠、天に通ず。
ちなみに四郎勝頼の軍旗は、大一文字。 意味は、「天」の一文字から大と成り、大と言うのは、人の世で大統領や大臣とかの組織の中のトップを表し、人と言う字に一を加えて大となる。
そして天は神々だけの領域で、神々を表す天から一文字を取ると「大」と成る。この軍旗を名付けたのが、武田信玄が遺言で決めたそうです。




