貧乏社畜、転生に気付く
2話目です!
正直2話目からすでにスランプ気味に…
プロット見直そうかな…
目が覚めて何時間経ったのだろうか。
ようやく今の状況が少しわかった。
これから頭に浮かんだ疑問について、答えていこうと思う。
まず最初に、ここはどこなのか。
詳しいことはわからないが、目が覚めた直後にはじめて見る女性に軽々と持ち上げられ、その時に周りを見渡したところ、木造の家の中なのはわかった。
次に、自分はどうなってしまったのか。
信じられないが、女性に軽々と持ち上げられるような状態だということ。
さらに、言葉は喋れないし体もほぼ自由に動かないこと。
最後に周りに人はいるのか。
声を聞く限り、少なくとも2人周囲にいることはわかった。
ただ、その時話されていた言語は日本語ではなく、全く理解できなかった。
今わかっているのはこれだけだ。
うーむ。
これは…夢なのか?
それにしては意識がクリア過ぎるし……
せめてもう少し情報があれば…と思っていると、
ドアが勢いよく開く音がした。
それと同時に人が入ってくる。
相変わらず言っていることはわからないが、話し方の焦り具合を見るに、どうやら緊急の用事らしい。
思い通りには動かない体をどうにか傾け、声のする方に横向きに寝返りを打つと、そこには3人の人がいた。
1人は見たことがある。
先程の女性だ。
そして、残りは初めて見る。
男2人だ。
男の1人が怪我をしているようだ。
もう1人の男が状況を説明しているらしい。
わかりづらいので怪我している方を男A、もう1人を男Bとしよう。
男Aは足を抑えて痛そうにしている。骨折でもしたのだろうか。
男Bはここまで男Aを連れて来たのか息が切れており、見るからに疲れている。
男Aは大丈夫だろうか。
俺がそう心配していると、話を聞き終えた女性が男Aの足に手を置いた。
触診でもするのかな?と思ったところで、信じられない光景が目に映る。
女性が何かを唱え始め、足の周りに不思議なパーティクルが浮かぶ。唱え終わる頃には男Aの顔から苦痛の色は消え、女性に頭を下げて何かを言っていた。
………………どうなってんだ、これ……………
俺は随分と覚めるのが遅い夢を見ているのだろうか。
もしくは…
俺の頭に1つのワードが浮かぶ。
大人になってからは全くといっていいほど聞かなかったワードだが、しっかりと覚えていた。その言葉は、
(異世界転生………)
あり得るわけないだろう。
あのワードはフィクションの中のみで起こる現象を指す。
そんなのが自分の身に起きた?
いや、まさか。
でも、もし本当に異世界転生したのなら…
頭が混乱する。
目の前で繰り広げられた光景が、動かない自分の体が、声もろくに出せないこの状況が、俺を混乱させる。
ありえない、そんなのどう考えてもそんなことが起こるわけがない。
と、俺が訳がわからず混乱しているうちに、男2人は帰ったようだ。
入れ替わるように別の男が入ってくる。
(今度はなんだ?)
混乱する頭で入ってきた男を見て、俺は驚愕した。
男は、腰に剣を携えていた。
その上、服の所々に血が付いている。
そして、男は何かを担いでいた袋から取り出した。
それは今まで見たことのない大きさのツノのようなもの。
こんな大きなツノを持つ生物なんているのだろうか。
(魔物のツノ…)
自然とその考えが頭に浮かんだ。
もう、訳がわからない。
ただ1つわかったことがある。
ここがもし、夢じゃないのなら。
俺も騙すために盛大な演技でもされていないのなら。
本当に存在する世界なら。
ここは、間違いなく異世界だ。
でなきゃ、詠唱するだけで怪我が治ったあの現象と、男が剣を携え血のついた服を着ながら、笑顔で大きなツノを見せつけ喜んでいるこの状況に説明がつかない。
(まじかよ…)
さっきから驚くこと続きだ、まともに頭も回らない。
いや待て、もし本当に異世界転生したのなら俺は…
社畜生活から抜け出した?
俺はあの最悪な生活から抜け出しせたということになる。
そう考えただけで感動で涙が溢れてきそうになった。
実際にはどうなのかなんて、まだわからないのに。
だが、もし本当にそうならば嬉しくないわけがない。毎日10時間以上働き、サービス残業は当たり前。
そんな生活から俺は抜け出したのだから。
そうこうしているうちに驚きっぱなしの体と脳がついに限界を迎えたようだ。
急速にせまる眠気に俺は抵抗もできず、身を任せた。
お読みになっていただきありがとうございました。