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Dimension Guardians

作者: いのべえと

熱い。暑いではない。神(Dimension Gurdian)ならぬこの身ではどうにもならぬ事ではある

しかし納得はしたくない


今もこの体は持ち主の意に反し全身から汗を流している。ぬるぬるして非常に不快だ

頭に来ると同時に、つい素のそぶりが出そうになってしまうのを自制する


何しろ仕事中だ


現在この身に発生している問題に対し根本的な対策を実施する事は実は可能だ

問題さえなければ実施していただろう。そう、問題さえなければな

できぬゆえ仕方なく汗のような何かをぬぐう


目的の店に辿り着く。感知した気配からどうやら既に店は開けたらしい事を確認し、扉を開け店内

へと立ち入った


「よう、また来たぞ」


いつも通りの挨拶、何度も繰り返してきた。この挨拶は今回の仕事に入る前に確認した癖の一つだ

これ以外の振舞いをした場合、違和感を生じさせる可能性がある為、今でもこの癖をなぞる際に若干

緊張してしまうのは悩みの種だ


「相変わらず早いな、もうダメになったか」

「使い方が下手なんでな」


この男は鍛冶を生業としている。私の目から見ても腕はそれほど悪くない


「どれ、見してみろ・・・なるほど、相変わらず無茶な使い方をするな。確かにヘタクソだよ」


そういって溜息をつかれた。自制、する

私は猿系列に好意のカケラも持ち合わせてはいないが、最低限の礼儀は弁えている。特に理由もなく目の前のニンゲンの生命活動を停止させようとせぬ程度には


問題は現在の外見がその嫌いなニンゲンの形を取っている事だ。しかも容姿もよろしくないらしい

今回の仕事は俗にいう潜入捜査という奴だ

何故ニンゲンではない私にこの仕事が回ってきたのか。雇い主殿の判断では今回は私のような人外

の方が都合がいいそうだ。


本来ここに居るべき本物の方はよほど人格にでも問題があったらしい。


「1時間で直せる。銀貨1枚でいいよ」


私は得物の扱いにはうるさい性質だ。本来ならばどんなガラクタでも、もう少し上手く使ってやれるが

今借りてるカラダの本来の持ち主がそうでは無かった為、やりたくてもできない


まあ本気を出す時は、剣だろうが銃だろうが大抵握りつぶすか放り投げる事になるがね

私自身が好きではないのもあるが、仕事関係でこの手の物が役に立った事は皆無だ


「分かった、外は暑いんでな。店内で待たしてもらってもいいか?」

「勿論だ。店の前でくたばられたら評判が悪くなるからな」


・・・全く。この仕事は早く終わらせたいものだ。この世界の現在の気温はおよそ500度

にも関わらずどいつもこいつも元気で動いてやがる。猿の癖に


雇い主殿の、俺の仕事は主に犯罪者の取り締まりだ。只の犯罪者ではない

次元から次元へ移動し思うがまま暴れる厄介な連中ばかりだ


今回の一件もそれ絡みである


私と雇い主殿はそれぞれ全く別次元の存在だった。縁さえなければ知り合う事は無かったはずだ

そう、縁さえ無かったらな


しかし前述の仕事の関係である日、今回の仕事と同様に犯罪者を追って私の住む次元に

雇い主殿達が訪れ、色々あって腐れ縁が始まってしまった


キッカケになった犯罪者の顔は、下手すると死ぬまで忘れないかも知れない

就寝の際には妄想で奴をズタズタに切り裂くのがライフワークになりつつある


まあ現実ではもう二度と会えないがな


なので本来は、こんな機会でもなければこの次元に足を踏み入れる事はない

迷惑なのは重々承知しているからだ

許可を得ているだけでやっている事は追っている犯罪者連中と変わらない、皮肉な話だが


この身体の本当の持ち主の名前はトライル=ヴェスタ

今回の仕事はトライルをこの世界から消滅させた奴を探し出して、捕縛・可能なら撃滅だ

今の所は私が前衛、雇い主殿がバックアップだ


事の発端は犯罪者がこの次元に侵入し、好き勝手暴れ出した

上手くやっていたらしいがトライルが遊びの現場を偶然目撃した事で、発覚

哀れなトライルは文字通り消し飛んだ。


しかしおかげでここの神(Dimennsion Gurdian)は侵入されてる事を察知できた訳だから

そういう意味では親孝行と評すべきか


神は万能の力で排除しようとしたが、逃げられてしまったそうだ


ここの次元の規模自体はそれほど大きな物ではない

それでも一つの次元を統べる神(Dimennsion Gurdian)に抗えるだけの実力があるとなると厄介だ


普通は勝てない。様々な次元で暴れ回ってキャリアを積んできてるんだろう

これ以上腕を磨かれると本当に手に負えなくなる所だったかもな


しかし、神に抗ったのは失敗だった


何故なら我が雇い主殿が奴の足跡を追ってすぐ近くでまで来ていたからだ

近くといってもこの次元の外ではあるがな

雇い主殿が次元の外から逃げられぬよう結界を仕掛けてから、この次元に侵入


どうにか神との交渉に成功し、神の頭痛の種を取り除く為

諸事情でトライルとして遣わされたのが私だ


こうなってしまったのは我々が侵入してる間、この次元への影響をを可能な限り排除する為だ

なるべくなら別なモノにして欲しかった。人外とか


しかし神(Dimennsion Gurdian)が侵入を許したのは哀れなトライルの代わりとしてのみだった

雇い主殿は今も結界の外から監視を続けている。内と外から探りを入れてる訳だ


あまり時間はかけられない。私も私が探している奴もこの世界では余所者だ

業を煮やして神(Dimension Gurdian)が動き出したら仕事は失敗


神にその気になられたら雇い主殿ならともかく

次元改変(Dimension's Drive)すら使えない私では対抗は不可能だ。


神の望みは侵入者の影響の排除。侵入者がいなければトライルは随分長生きしたらしい


元通りにし、我々はとっとと退散し、トライルにはのんびり生きてもらうのが具体的な内容だ


私と雇い主殿がこの次元に来ている事は相手にも筒抜けである

まあ神から逃げ切れる奴が雇い主殿が行った次元操作(Dimension's Drive)に気づかぬはずはない

現在の状況はかくれんぼの真っ最中って訳だ


ようするに私は撒き餌でありセンサーなのだ。早く食いつきやがれクソッタレ




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