同人作家・沙織が殺されそうになる
早朝の静な街で、二人は何者かに命が狙われる。早朝、ある女性が子犬を連れて散歩をしている。近所の人である。
「おはようございます。かわいい子犬ですね」
「ありがとう」
沙織が身をかがめて子犬を撫でようとした時、背後に殺気を感じた。本能的にその場から逃れたとき、子犬を散歩したおばさんが沙織をかばったため女性テロリストから刃物で切りつけられた。大怪我した。
「おばさん!おばさん、大丈夫ですか?」
「私、スマートフォンで110番するわ」
「あたしが避けたために、子犬を連れたおばさんが大怪我して」
沙織は申し訳ない気もちを感じた。
すぐに救急車とパトカーが来た。周囲には野次馬が集まった。
土曜日の正午、本屋に女性強盗団が入った。それも同時多発的に行われた。
「ねえ、命が欲しかったら、静にして。間違えても防犯ベルをならさないで」
比較的にお客が少ない時間である。スキンヘットの女性はレジ係の店員の首筋に刃物を突きつけている。
「君たちは何だね!悪い冗談をやめなさい」
年配の男性が怒鳴った。
「私たちは本気だわ」
男性のレジ店員の首を少し切りつけた。血が流れた。
「この店員が殺されてもいいの!ねえ、この本屋にあるやおい系や萌え雑誌、アイドル写真集の本を集めなさい」
女性強盗団は台車を持ってきて、やおい系の本とか萌えアニメの本などを集め大きな麻袋に入れた。
「それをエレベーターに入れて!外のクルマにいれて」
女性強盗団は多くの本を盗み出した。
夕方、都内にある某小学校の校庭で、やおい系の本、萌え関係の本や雑誌、その他、娯楽色が強い本を焼いた。それを動画投稿サイトに載せた。
犯行声明を出した。
「堕落した人たちに告ぐ!私たちは堕落した社会を浄化するために、くだらない雑誌や本の販売を一切禁止するように要求する。特に女性を見世物にするような雑誌などの存在は赦せない」
その犯行声明はテレビニュースに流された。
小学校の校庭では、多くの本が焼かれた。まるでヒトラーの焚書活動のようである。警察はテロ活動とみなしたが、保守的な女性活動家は警察の行動を阻止しようとした。
日曜日、深夜1時。沙織は自分のアパートの部屋で寝ようとした。そのとき大音響で不思議なメロディの音楽が流され、女性の声で演説が始まった。
「淫らな人たちよ。悔い改めなさい!堕落した文化から逃れなさい」
「たっく、うるさいわ。あの人たちは睡眠不要薬を飲んでいるから寝なくても大丈夫だけど、私は寝たいのに」
電話で警察に連絡した。パトカーが来て宣伝カーに乗っているスキンヘットの女性たちを捕まえた。「女性原理党」を支援する別の政治団体である。
1970年代にウーマンリブが社会問題になったが、この未来社会でも過激な女性団たがたくさん存在している。ひじょうに多くの知識があるため、爆発物が作れる。都内では頻繁に爆破テロが行われるようになった。
日曜日の朝、休日に走る特別快速電車で友だちの家に行く。そのとき電車のドアから衝撃音が聞こえる。スキンヘットの身長180センチの肥満女性が電車のドアに何度も体当たりをする。その女性は電車の床に置いた大型スピーカーで外国の音楽を大音響で鳴らす。
電車はドアの衝撃で異常を検知し停車した。車掌が異常を知らせた車両に向かい破壊されたドアを見て驚いた。
「なんなんだ!この電車のドアの窓ガラスは滅多なことでは割れない。ステンレスのドアに大きな傷がある」
車掌は鉄道会社の総合司令所に連絡した。
それを見た沙織は恐怖を感じた。そしてそのスキンヘットの肥満女性は大型スピーカー電車の窓ガラスにぶつけた。窓ガラスが割れた。幸い乗客は少ない。
そして怒鳴るような口調で言った。
「堕落した世の人たちよ。私たちは、この腐りきった文明社会に挑戦します。日本から文化革命を起こし、そして全世界同時革命を起こします」
沙織は困惑した。待ち合わせ時間には間に合わない。スマートフォンで友だちに連絡しようとしたとき、鋭利な刃物を持ったスキンヘットの女性から、沙織の首筋に突きつけられた。
「この女性の命を助けたいなら、表現の自由を廃止しなさい」
沙織はテロリストに捕らわれた。沙織は恐怖で何も言えない。電車の窓から落ちた大型スピーカーから不思議なメロディが聞こえる。