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仮装と美人コンテスト

 鐘が六つなる頃、ルーデルは素振りを止めると汗をぬぐう。


 学生寮の庭では、鐘の音を聞くと素振りを止めて食堂へと急ぐ生徒たちの後ろ姿を眺めていた。


 学園に入学してから続けてきた早朝訓練は、卒業まで続けていた。これを他人が見れば、称賛するだろう。


 しかし、ルーデルにも同じように訓練している生徒にも普通の事である。サボれば、その分だけ周りが先に行く。


 ユニアスやアレイストは、別格だと言えた。二人も早朝は訓練をしないが、それ以外では時間を割いている。ただ、生活スタイルが、早朝に訓練をするのに向いていないのだ。


「今日で終わりだな」


 汗をぬぐうと、そのままその場に座り込んで空を見上げる。


 ルーデルは、入学してからここで過ごしてきた事を思い出していた。バーガスと出会ったのも早朝訓練であり、初めて出来た友人だった。


 自身も周りの生徒が困っていれば声をかけたが、どうしても地位が邪魔をしてバーガスのように上手くはいかない。


 性格的な問題や、ルーデルの雰囲気も他を寄せ付けない要因になっている。本人は気付かないが、学園最強となった事も原因である。


 後輩からは好かれるというよりも、ルーデルは畏怖されていた。一つ二つ下の学年には、クルストの件とフリッツの件があり距離がある。


 そして、それ以下の後輩となると、ルーデルたちの飛び抜けた実力に距離を置いていたのだ。次期大公であり、白騎士であるルーデルに近付こうとは平民出の生徒には思えない。


 貴族の子弟は挨拶をする程度だ。少し不器用さを実感するルーデルは、苦笑いとなる。向き不向きはあるが、それでもこれからは向き合わなければいけない事だ。


 そう思える分だけ、ルーデルも成長していたのだろう。学園に入学した時から、大分人付き合いの大切さを理解していた。


「さて、卒業式の準備をするか」


 立ち上がると、食堂へと向かう。


 この日のために準備してきたものもあり、寂しさと共に少し嬉しさもあった。



 卒業式は午前で無難に終わり、午後からはパーティーの最終的な準備に学園は忙しかった。


 そんな中で、新たな行事を作り出した張本人であるフィナは歓喜していた。


「王様ゲーム!!」


 パーティーの準備中は外に出られないフィナは、代わりに準備で忙しいミィーがいない自室で騒いでいた。王女であるフィナが、パーティーの準備をするなど流石に無理があったのだ。


 去年はルーデルたちが参加してしまい、微妙な空気が出いている。ただ、安全面や立場から、流石に学園側から辞退してくれと頼まれたのだ。ミィーは、そんなフィナの代わりにと連日準備に忙しい毎日を過ごしていた。


「はぁ、何ですか姫様? また悪巧みですか?」


 眼鏡を右手の中指で位置をただし、ソフィーナはフィナの無茶ブリに心の中で構えを取る。何を言ってきても、驚かないようにするためだ。


 最早、直臣とも呼べるソフィーナは、フィナの扱いに慣れていた。


「……ソフィーナ、この予定表を見なさい。ここに王様ゲームと書かれています」


「実に不敬な名前ですね。変更を学園側に申し出ましょうか?」


「馬鹿! そんな事でいちいち文句を言っていたら、それこそ器が小さいわよ。問題は内容です。『王様の命令は絶対!』これをどう思いますか?」


「……パーティーの出し物にしては、少しおかしいかと。その場で死ねと言われると、流石に雰囲気がおかしくなりますね」


 殺伐とした内容を語るソフィーナに、フィナは無表情のまま駄目出しをする。


「お馬鹿。そんなんだから、またお見合いを失敗するんです。これで実に三十二回目ですね。やったね! クルトア最高記録の五十六回は目の前よ」


 貴族、特に女性騎士のお見合い最高記録は、五十六回である。王族のお見合いは強制に近いが、身分が低く、割と自由がきく彼女たちはお見合いを断られる事が有る。


 それは、クルトアでも女らしい方が人気だからである。


「何で知っておられるんですか! そ、それに、私は記録を更新なんか……」


 今回も失敗したソフィーナは、ナヨナヨした相手を思い出す。学園に通うが、大半の貴族は授業をさぼる事が多い。立派な騎士であるソフィーナを、相手は女性らしいと思えなかったのだ。


 ルーデルたちが貴族でも珍しく、周りは次期大公たちが真面目なので従ったのだ。そういう面からみると、ルーデルたちは良い見本になっていた。


 将来の派閥のトップたちに、今のうちから自分を売り込むには真面目な方が良いと、打算的な判断もされている。


「……そう思って皆が記録を更新するのです。皆、最高記録保持者になると心が折れる。それはどうでもいいとして、問題はお祭り騒ぎの会場でこのゲームが行われるという事……エッチな命令もし放題ですよね? だって、良い具合にお酒が入り、尚且つ学生最後と馬鹿騒ぎの中です! 既成事実を作るには、打って付けだと思いませんか」


 無表情で熱弁するフィナに、少し怖くなったソフィーナは流石に不味いと注意する。


「流石にパーティーで既成事実はちょっと」


「あら? どこまでを想像したのかしら? 私はキスの事を言っているのよ。ねぇ、ソフィーナはどんな如何わしい事を想像したの? ねぇ!」


「そ、それなら公開告白で気持ちを伝えればいいじゃないですか!」


 話を無理やり変えるソフィーナに、フィナは内心でニヤニヤしながら付き合う事にした。


「そんな遊びで告白しても、誰もが冗談だと思うでしょう? キスをして、私が切なそうな態度を取れば勝手に周りが想像してくれるわ!」


 黒いなこいつ、などとソフィーナが自分の主を馬鹿にしていると、フィナが真面目になる。


「ただ、これには王様になる事と、師匠の番号を知らなくてはいけないわ。……ねぇ、ソフィーナ?」


 フィナが何を考え、そして何を求めているのかを知ったソフィーナは、ただ黙って頷くのだった。


(はぁ、私は何をしてるんだろう)



 パーティー会場では、準備も終わり続々と仮装した卒業生たちが現れていた。


 中でも、バイキングに仮装したユニアスは、中々にリアルだった。本人が背が高く筋骨隆々なのだ。木で出来た角の着いたヘルムに大きな盾や斧を持っている姿は、まさしく賊だった。


 対して、リュークは東方の衣装と武器を持っている。


 ルーデルの知り合いの鍛冶師たちに頼んで、東方の着物を揃えさせたのだ。長い髪を後ろでまとめ、仮装している姿は異文化を楽しんでいた。刀は竹で作られている所も、少しばかりリュークは気に入っている。


「なんだ? モヤシがそんな服を着ると、余計にナヨナヨして見えるぜ?」


 最初から最後まで、互いに憎まれ口を叩く二人だが、最初のような棘は無い。寧ろ、互いにそれが挨拶であるかのように接している。


「こんな所に賊がいると思えば、脳筋だったとはな。似合い過ぎて怖いぞ」


 会場で出会った二人が睨みあう中、二人の間にルーデルが割ってい入る。


「止めるんだ二人とも! 今日は喧嘩をさせるなと、イズミに言われている。ここは俺の顔を立ててくれないか」


 少し遅れて会場入りしたルーデルに、二人は言葉を失った。


「……え?」

「あ、あぁ」


 二人が困ったのも無理はない。そこには、黒と茶色の毛皮……犬の被り物をしたルーデルがそこにいたのだ。愛くるしい着ぐるみの表情は、気の抜けるような姿だった。


 フサフサの尻尾や、キリリとした耳……口がスマートで狼にも見えなくはない。ただ、大きな手と足に、大きな顔……二人は誰だか分からなかった。唯一、イズミという名前が出た事で、二人は中身がルーデルだと知る事が出来たのだ。


「お前、その格好はなんだよ」


 ユニアスがルーデルを指さすと、ルーデルは頭部を外して顔を出す。


「これか? これは犬だ。頑張って用意した。流石に金をかけたくなかったからな。全部手作りだ」


「凄いな。いや、そうではなくて、何で犬なんだ?」


 リュークが手作りという言葉に驚くが、それ以上に犬を選んだ理由が分からなかった。周りの生徒たちも、ルーデルへと視線を向けている。


「実は、実家で犬を飼っている」


 実家で犬を飼っている事を告げるルーデルに、ユニアスはその先の理由を告げるのを持つ。しかし、ルーデルは黙ったままだ。


「……で?」


「それだけだが?」


 理由に納得出来ない二人に、ルーデルは首を傾げている。


 リュークとユニアスが、ルーデルの姿を見てどう言ったものかと悩むとそこにイズミが現れた。


 仮装というよりも、東方で着ていた服を用意したイズミは、着物を着て参加していた。髪には(カンザシ)が着けられている。


「ルーデル、随分と目立つ格好を選んだな」


 ルーデルは、頭部を被りなおすとイズミに全身の姿を見せる。一回転すると、中々の出来栄えに三人は拍手をする。


「だろ? 手作りだ」


 妙な才能を見せたルーデルに、三人はこれもありかと思うようになった。周りを見れば、一番多い仮装は女子は男子の制服姿。


 男子はマントを付けた魔法使いの姿が多い。


 他で目立っているのは、アレイストだろう。黒騎士の鎧を着て参加している。これは、周りからの要望で着る事になったのだ。


 婚約者たちが、アレイストの勇姿が見たいと要望を出した結果である。


 いつものメンバーを見つけると、アレイストも鎧姿で駆け寄ってくる。


「お~い。あれ? ルーデルは?」


 黒の鎧は刺々しく、兜にバイキングと同じような二本の黄金の角が生えている。周りは、その姿に声を上げて驚いていた。


「凄いな」

「黒騎士の鎧だってよ」

「格好いいな」


 意外と高評価であり、アレイストも一安心だ。ないとは分かっていても、厨二病と言われないか少しばかり不安だったのだ。


「アレイストのソレは仮装なのか?」


 リュークが鎧姿も仮装に入るのかと、不思議に思っているとアレイストは着ぐるみ姿に視線が向かう。


「いや、僕的には十分に仮装だけど……何この着ぐるみ? 狼?」


 アレイストが、ルーデルの着ぐるみの耳を触ると、バキッと嫌な音が聞こえてきた。ルーデルが自分で耳の辺りを確認すると、ピンと立っていた耳が片方がペタリと垂れてしまった。


 その場に座り込んでしまうルーデルに、イズミが慌ててフォローする。着ぐるみのせいで、中身の表情は見る事が出来ない。


 愛くるしい着ぐるみが、その場に座り込んでいると非常に可愛らしい。だが、中身は落ち込んでいるのである。


「る、ルーデル? これも可愛いよ」


「……耳は特に時間がかかったんだ」


 落ち込み具合に、流石のユニアスも励ましに入る。リュークはオロオロとしていた。


「いやいや、これはこれで味があるぜ! うん、さっきよりも犬っぽい」


「……本当か?」


「アレイスト、お前……」


 リュークの刺すような視線に、アレイストも中身がルーデルだと気付いて謝る。


「ご、ごめん! 折れるとは思ってなくて」


「いや、折れるような物を作った俺が悪いんだ。今度はもっと出来の良い物を作って見せる」


「その意気だよ、ルーデル!」


 イズミがルーデルを励ますと、残りの三人は思うのだ。


(また作るのか?)


 周りが必死にルーデルを励ましていると、会場に学園長が現れた。簡単な挨拶を済ませると、最後の学園でのイベントだと言って、楽しんでくれと付け加えた。



『それでは! 第一回、美人コンテストを開催します!!』


 四年生の生徒が、壇上で奇抜な格好をしながら司会をする。美人コンテストが、実際に行われると思っていなかったアレイストは少し興奮していた。


 何故なら、ミリアがエントリーしているのだ。周りの友人たちに、参加すれば優勝間違いなしと言われて、本人が渋々参加した。


 だが、水着という物を理解していなかったミリアは、直前でその下着のような水着に驚いていた。


 他にも、四年生からは特別にフィナとミィーが参加している。有名所で言えば、イズミもルーデルに言われて参加する事になっていた。


「まさか本当に開催するとは思わなかったよ」


 片手にグラスを持ちながら、壇上に集まる生徒たちから少し離れている三人は、辺りを見渡している。


「ん? ルーデルはどこだ?」


 リュークが、いつの間にか見えなくなっていたルーデルを探す。ユニアスも同じである。折角、盛り上がるイベントにルーデルがいないのは味気なかった。


「イズミが出てくれば、顔を出すだろ? それよりも、結構目立つ格好をしてたんだが……って、おい!!」


 ユニアスが壇上を見ると、舞台袖に見た事のある着ぐるみの尻尾が見えていた。


「いいなぁ。特等席じゃないか」


 アレイストが羨ましそうにしていると、イベントが開始される。四年生や三年生の女子が、面積の小さな水着を着て登場したのだ。


「お、中々いいな」


 鼻の下を伸ばすユニアスは、アレイストが考案した美人コンテストが気に入りだしていた。リュークも、興味の無い振りをしているが、目はしっかりと参加者に向けられている。


 丁度、可愛らしい水着を着たフィナとミィーが登場すると、会場の盛り上がりは最高潮となる。男子だけでなく、女子も声を上げて友人を応援していた。


 密かに、誰が優勝するか賭け事が行われているのである。


「おい、誰か壇上に上がったぞ」


 リュークが壇上に上がった男子に視線を向けると、アレイストもユニアスも溜息を吐く。酒が入り、調子に乗る生徒が壇上に上がって参加者に手を出そうとしたのだ。


「あ、ルーデルだ」


 だが、そこに着ぐるみを着たルーデルが現れると、壇上に登った生徒を蹴り飛ばす。


 着ぐるみに蹴られた生徒は、当然のように憤慨する。すると、ルーデルが頭部を外して素顔を見せる。一瞬にして、壇上の生徒たちが静かになった。


『あ~、因みに! 壇上に登ったり、参加者に悪さをすると、狼さんが飛んできますので注意して下さい』


 司会者が、今更ながらに注意を促す。だが、今度は司会者にルーデルが詰め寄った。その光景を見て、ユニアスは大笑いする。


「ルーデルの奴、絶対にこれは犬だって言ってるぜ! それに見ろよ。蹴飛ばされた奴なんか、酔いも覚めて真っ青だ!」


「ユニアス、笑い過ぎだ」


 リュークがユニアスを押さえようとするが、逆に三公のユニアスが大笑いした事で会場はまたも笑いに包まれる。


「おぉぉ!! ミリアが出てきた!! なんか恥ずかしそうな感じが、逆にそそるよね!」


 アレイストは、混乱する会場で現れたミリアを見て興奮している。下は布で隠しており見えないが、ビキニで肌の露出は多い。


 布から出た片足の太股からは、色気が感じられる。恥ずかしがっている事も、余計に男子を喜ばせていた。


 特に、アレイスト以外では、エルフの男子がいつもの冷静さを捨てて大喜びしている。


 ただ、アレイストは他にも婚約者が参加していた。そして、ミリアに興奮している姿を壇上の上から見られている。


 ユニアスは左手で顔を押さえると、天井を見上げている。リュークも、壇上の上で不気味な笑顔を見せるアレイストの婚約者たちを見て、アレイストを憐れむのだった。


 全員が気合を入れてコンテストに出場したのに、アレイストはほとんど見ていないかった。


 だが、次の瞬間に男子は絶叫する。


「ちょ! おい!!」

「ん? なっ!」

「シラサギさん、凄すぎ……」


 イズミが最後に登場したのだが、かなりきわどいビキニを着て登場したのだ。本人は、特に恥ずかしがっている素振りは見せない。


 髪と合わせたのか、黒のビキニは非常に面積が狭かった。大事な所を隠している以外は、ほとんど紐である。


 下手に動けば、大事な所が見えるのではないかと男子は興奮する。


 ルーデルは、着ぐるみを着ているので拍手をしてもパフパフと音がするだけだった。因みに、先程蹴り飛ばされた生徒も、ルーデルの近くで拍手を強制されている。


 参加者の中で、イズミが一番過激だった。



 イズミの登場で、一気に流れを持って行かれたフィナは内心で焦っていた。


(黒髪ぃぃぃ!! あの女、私に出来ない事をサラリとやりやがった!!)


 可愛らしく、肌の露出が少ないフリルの付いた水着を着ているフィナとミィー。二人は、大人な水着を着ているイズミに視線が向いていた。


 ミィーと同じタイプで、色違いの水着を着ている。その姿は、幼さが出ており一部の生徒に大人気である。


 フィナも、過激な物を選ぼうとはしたのだ。しかし、フィナの体型や雰囲気、そして仮にも王族であるという事で露出の少ない可愛らしい物を選んだ。


 そっちの方が、勝てる見込みが高いからである。実に腹黒いが、正しい選択でもあった。現に、フィナやミィーに視線を向けている男子も多かったのだ。


「姫様、イズミさんは凄いですね」


 表裏が無いミィーは、本当に凄いと思っているようだ。だが、フィナは違う。


「そうね。凄いわね(ちくしょう、まさかあそこまで過激な物を選ぶとは……師匠の差し金ね! もう、本当に師匠は……可愛い!)」


 着ぐるみを着たルーデルを見るフィナは、内心では涎を垂らすほどに興奮していた。隙あらば、襲い掛かりたい気分である。


 ただ、ルーデルに隙が無いのが問題だった。獲物を狩るような視線に、ルーデルは背筋が寒くなる。


(ん? 何だ? 狙われているような……)


 着ぐるみを着て、辺りを見渡すルーデルの動きに、フィナは興奮しっぱなしである。


 こうして、学園最後のイベントの幕は上がったのだ。

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