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ナンパ少年と転生者な少年

 学園に入学を無事に済ませたルーデル。基礎の確認や、個人の状況確認で学園では三ヵ月程実力の確認をしていた。それぞれが違う環境で生きてきたのだ……個人の出来の違いと、環境の違いで今後の方針を決めなければならない。


 そんな感じで学園では新入生の評価を行うのだが……ルーデルの評価で、学園の教師が揉めていた。


「あり得んだろ! すでに基礎教育が終了しているのはまだしも……初級魔法の習得済みから、剣術や体術の評価まで異常だ!」


「アルセス家のルーデル様は、出来が悪いと聞いていましたが?」


「今年は豊作ですな……残りの三公の嫡男であられる方々も、魔法や剣術に特化している」


「アレイスト・ハーディの異常性に比べたら可愛い物では? 彼は上級魔法も使えますよね? 剣術も我流ながら中々とか?」


「使えるのと、使いこなすのは別物だ! これだから頭でっかちは……ルーデル様は、すでに初級魔法を使いこなしている。模擬選で相手をした試験官が、恐ろしくなって途中で棄権したんだぞ!」


 悩む教師陣……そう、出来ないのも問題だが、出来過ぎるのも同じくらい問題なのだ。扱いに困ると言う点において……


 その問題児として認定されたルーデルは、基本的に馬鹿であるが真面目だ。授業は真剣に聞くし、教師への態度も問題ない。それにクラスでは、陰湿ないじめを嫌う傾向にあり周りが抑えられている。


 教える事が少ない。と言うか、無い!


 実戦形式の模擬選では、試験官の何名かをすでに倒している。基礎課程の試験官とは言え、それなりの者たちなのにだ。


 それに、ルーデルは時々とんでもない行動に出る。一度、騎士の資格を得た学生たちに試合を申し込んだり、魔法の研究をしている優秀な学生や教師たちに分からない所を質問したり……普通はしない事を進んでするのだ。


 それに問題は、『ドラグーンになりたい』と公言しているという事だ。国でもなれる者の少ない勇者の中の勇者……そんなドラグーンに貴族のボンボンがなりたいと言えば、絡む連中も出てくる。身分の高過ぎるルーデルに、何かあればこの場全員の首が飛んでもおかしくない。


「何でこんな事になっているんだ! 下手に優秀で真面目だから注意も出来んし、謹慎にして押し込める事も難しい……」


 教師陣の苦悩は続く……



 入学してからの三ヵ月、ルーデルはイズミと共に教室で授業の復習していた。元々異国語で苦労していたイズミにとって、復習は欠かせない。


「難しいな?」


 数字に強いイズミも、文章問題など国語は全滅だ。確実にこのままでは不味い状況になる。


 隣に座るルーデルは、本を読みながらそんなイズミの勉強を見ている。そんなルーデルには悩みがあった。イズミの服が薄着だった。……興味のあるルーデルは、その中で心を鎮めるのに苦労している。


(くっ! 何でそんなに薄着なんだ……肌が透けて見えているじゃないか!!!)


 十五歳の思春期真っ盛りのルーデルも、ドラゴン以外にも興味を持ち始めた。それに最近色々と出会いが続いていた。女子寮の警備責任者である女性騎士に、基礎魔法の教師……全て女性だ。


(あれか? 俺を誘惑してドラグーンにさせないと言う試練なのか? ならば負けんぞ!!!)


 変な所で決意を新たにするルーデル。何故そんなに修行僧みたいな考えに行きつくのか?



 そうしてそれをバーガスに相談するルーデル。


「……それで? 薄着位でいちいち反応するなよ! それにあの女子寮の管理人や、女教師なんて学生なら接点ぐらいあるんだよ! 幾つだお前は?」


 ルーデルの相談に、飽き飽きしながら答えるバーガス。


「十五歳」


「知ってるよ! 精神年齢幾つかって聞いてんだよ! いいか、少しくらいの……」


 バーガスが説明している所に、女教師が通りかかる。二人を見た女教師が、手を振って挨拶する。それに鼻の下を伸ばして手を振りかえすバーガス……ルーデルが何か言いたそうに眺めていた。


「う、うん。俺もお前も若いって事だな、うん!」


「どうしたら気にしなくなる? 正直、耐えているのに時間を割くのも勿体無いと言うか……」


「さぁ? 経験でもすれば違うかもな」


 そんなバーガスの無責任な一言が、ルーデルを行動へと駆り立てる。その場から立ち上がり、ルーデルは決意を新たに……


「分かった! 経験してくるよ! ありがとうバーガス!」


 ……ルーデルのその言葉に、最初は手を振って見送ったバーガスも、ルーデルが見えなくなってから気が付いた。


「あ! ちょっ! 待てルーデル!!!」



 経験する内容を確認しなかったルーデル。そんなルーデルは、資料を集めるために図書館に来ていた。国立の学園に相応しいその図書館で、ルーデルは取りあえず経験に関する本を探した。


「……駄目だ。見つからない」


 普段ならドラゴンの生態やドラグーンに必要な技能などを調べる時に利用していたから、探すのに時間がかかると思ってもみなかったルーデル。ならば聞けばいい! そんな直感に任せた行動を繰り返し……


『以下の生徒に謹慎を言い渡す。ルーデル・アルセス』


 男子寮の謹慎室にて、椅子に座るルーデル。今後の自分の進路に影響がない事だけを祈っていた。これでドラグーンになれないとか無いよね? それよりも謹慎二週間は長すぎるんじゃないかな? ただ、経験させてくれ! って言ったり、経験って何? って聞いただけなのに……


 そんな事ばかりを考えていたルーデルに、バーガスが食事を持ってきた。


「何してんだよお前は! いいか、男と女の経験って言うのは〇〇〇の事だよ! そんな事を平然と言ってみろ……変態だろうが!」


「確かに、挨拶感覚で『〇〇〇しない?』みたいな感じは聞いた事がない。だけど、ないとも言い切れないのではないだろうか?」


「何その思考回路!」


 余談ではあるが、ルーデルに迫られた女性の内……数百名に声をかけて、数十名にはそれとなくいい返事を貰っていたルーデルであった。


 中には、数名……OKを出している女生徒もいた。


 数を撃てば当たる戦法を実行したルーデルに、この日から、男子生徒達から畏怖されて『ナンパ男』と言う称号が贈られる事になる。



 アレイスト・ハーディは、転生者である。金色の髪に、オッドアイと言う特徴を備えた不自然なほどの美形……それがアレイスト。彼にはこの世界の全てが理解できていた。成長システム、イベント、攻略法……全ては彼が好んでいたゲームの世界なのだ。


 そんな中で、イレギュラーとも言える存在がいる。ルーデルだ。


 彼の役目は、傲慢な大貴族の息子で、領民を苦しめる悪徳貴族の象徴である。努力を嫌い、金ですべて解決しようとする性格に、卑怯な事を平気で行う。


 そんなルーデルは、主人公であるアレイストにとっては踏み台キャラだ。序盤のイベントでは、エルフの少女に言い寄るルーデルを格好よく倒してその後はその少女とフラグが立つ筈だった。


 それからすぐに、取り巻きを連れたルーデルが女子寮で揉める。そこも、エルフの少女に助けを求められてルーデルと取り巻きを倒す。……いきなり人気者になれる大きなイベントだったのだが、ルーデルは現れたがすぐに帰った。


「どうなっているんだ? 俺が、主人公通りに平民出じゃないのがいけないのかな? 伯爵なんて地位にあるから女の子が寄ってこれない? ……だとしたら最悪だ! なんで『あの時』に伯爵の地位なんか望んだんだ俺の馬鹿!!!」


 だが、それもここまでだろう。一年生の終盤には、イベントが待っている。学年別トーナメント……クラス代表五名による一対一の模擬選だ。


「俺の現在のステータスは、上級職である『ルーンナイト』で、上級魔法も使える。正直、これなら卒業生とも戦えるっての。それまでどうやって時間を潰すか……登場キャラは未だにイベント前だし、エルフの『ミリア』はあれから会う事もないし……ああ、暇だな」


 最初から成長システムを知り尽くしたアレイストにとって、十五歳で上級職に就く事は簡単だった。その魔法技術と剣術で、アレイストは学年では最強と言われているのだ。


 ……そんなアレイストの言う序盤の登場キャラである『ミリア』『イズミ』『バーガス』は、すでにルーデルと接触している状態だった。


 探せよアレイスト君……

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