[第一章 彼と私]
中学1年になった頃
私はある人に初恋をした。
私の名前は
『珠城 蘭』
<タマキ ラン>
体を動かす事が大好きで
ソフトボール部に所属していた。
夏休みに入ってから
試合が多くなり
先輩達最後の総合体育大会が行われた。
この試合で先輩達は引退。
先輩達がいなくなると思うと、すごく淋しかった。
そう。この日だった。
試合が終わった後
部活の顧問の先生が
私と彼を呼んだ。
「おい珠城!」
『なんですか?』
「お前今から細川に※バントを教われ。」
(…へ?意味わからん。)
ぽかんとしてる私に、彼は
「珠城だよな?まぁ頑張ろうぜ。」
そう言われてバットを渡された。
※バントの意味がわからない人は
野球知ってる人に聞けばわかります。
「あ…。はい!」
私はそう返事をして
細川先輩と練習をはじめたのだった。
私と彼の出会いは
ここから幕を開けた。
細川 清貴先輩
<ホソカワ キヨタカ>
私の2つ年上の中学3年で
細川先輩の妹がソフトボール部の2年生にいた。
なのでこの日は試合に出る妹のために、応援に来ていたのだった。
細川先輩は野球部に所属していた。
その上、選抜に選ばれるほど上手かった。
噂には聞いていたが
この日初めて直接顔を合わせたので、もの凄く緊張した。
細川先輩の特徴は
目が大きくて
笑うと笑窪<エクボ>
が可愛くて
体は筋肉質で焼けている。
さわやか系でかっこよかった。
先輩の中でも
結構モテていたらしい。
まぁ聞いた話によると
なにもかもが完璧な人。
歌は上手いし、頭もいい。
運動神経抜群で、友達も多い。
私には全く縁のない人だった。