息子4
今回いつもより更新遅くなりました。
感想をくださった方、とても励みになりました。
ありがとうございます。
「ママ?うちに帰らないの?」
固まって動かない千草を悠貴がじれて揺らす。
それにハッと意識を戻した千草は立ち止まったまま未だ足にしがみついている悠貴を見ている悠也へ視線をやった。
その場に残っていたのは3人だけで悠貴を預かっていてくれた友人は二人の空気を察して帰ってしまっていた。
「・・・すみません。お先に失礼します」
気まずい空気に耐えることなどできず呆然と立ち尽くす悠也を置いてさっさと帰ろうとしたがうまくいくわけもなくすぐに追いつかれ腕を捕まえれた。
「ちょっと待て!お前・・・結婚してるのか?」
「・・・してないわ」
どうせ嘘をついてもすぐバレると思い素直に返事を返した。
「ならその子は・・・俺の子なのか?」
「違う!!この子は私の子よ。私が一人で産んで一人で育ててきたのっ」
「俺の子なんだな・・・」
千草の言葉を聞いて悠也は確信したらしくそう呟くとじっと悠也を見上げていた悠貴へ視線を向けた。
ゆっくりと膝をつきくりっとした大きな目で好奇心いっぱいに見ている我が子に笑みを浮かべた。
「はじめまして。俺は榊悠也です。君の名前は?」
「森崎悠貴」
「ゆうきか・・・どんな字を書くんだ?」
黙って二人のやりとりを見ていた千草はその言葉にドキッとした。
千草を見ている悠也から目をさらせて答えた。
「・・・あなたと同じ悠に貴いって書いて悠貴よ・・・」
「そうか・・・悠貴。何か食べたい物はないか?」
「え~?いっぱいあるけど・・・パフェがいいな!おっきいやつ」
「はは、そうか。じゃあ今からおっきいパフェ食べに行こう」
そう言うとその大きな手で悠貴の手を包んで二人して歩きだしてしまった。
ええ!?ちょっと!!
ありえないわっ。
「待ちなさいよ!!悠貴!?もう家に帰るわよ」
「やだぁ。おじさんと今からパフェ食べにいくんだもん」
「悠貴「早くしろよ。置いてくぞ」
「もう・・・っ」
なんとか止めようとした千草の言葉はあっさりと遮られた。
言い返そうとしたが結局悠貴の楽しそうな顔に負け何も言えず千草は仕方なく後に続いた。