息子
あまりの亀ぶりに涙が出そうです・・・。
「おはようございます」
「・・・おはようございます」
悠貴をいつものように保育園へ送り届けた千草は重い足取りで会社に入った。
仕事場まではなんとか会わずにすんでホッとしてしたのもつかの間悠也は千草のデスクの横に立っていた。
何もなかったような顔をして千草を見ている。
「森崎さんっていつもギリギリなの?」
「え・・・あ・・・すみません。どうしても朝は・・・」
悠貴がいつも朝行くときにぐずってしまっていつもギリギリになってしまうのだ。
でも悠也には子供の話はしたくない。
ちょっとしかいないならその間ばれないように気を付けたらいい。
上司にしか伝えていないのだし大丈夫だろう。
「この前部長も言ってたけど君には俺の仕事を手伝ってもらう。今回の仕事は俺にとっても絶対成功させたい大切な企画なんだ。だからこんな気の緩みを見せられると不安になる」
千草を鋭い目で見つめながら吐き出された言葉に千草はぐっと唇をかみしめて怒りを堪えた。
「すみませんでした。以後気をつけますので」
「そうしてくれると助かる」
悠也はそう言うと自分の席へと戻って行った。
千草はその背中を睨みつけながらやり場のない怒りと必死に闘っていた。