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再会2
朝礼も終わりみんな個々の仕事へと戻っていく。
千草も自分の席へ戻ろうとした時悠也に呼び止められた。
「森崎さん、ちょっといい?」
女の子がされたら見惚れてしまいそうになる笑みを浮かべて近寄ってくる。
凍りついたようにその場に立っていた千草の脳裏ではあの教室での出来事が頭の中を巡っていた。
近づかないで!
そう叫んでやりたい気持ちでいっぱいだったが今は職務中だと自分に言い聞かせて悠也が目の前までくるのを待った。
ようやく立ち止まった悠也はかなり近くにいて下を向いていた千草の耳元へとささやく。
「久しぶりだな、千草。この会社にいたなんて驚いたよ」
耳に息がかかる。
千草の全身に鳥肌が立つ。
「や・・・っ」
千草はおもわず悠也を突き飛ばした。
顔を上げれば歪んだ笑みに冷たい目をした悠也の顔があった。
「どうしたの?森崎さん」
何事かとチラチラ送られる視線。
怒りで吐き出してしまいそうになる言葉たちをここは職場だと再度自分に言い聞かせて抑えた。
「何でもないです・・・仕事に戻ってもいいですか?」
千草は悠也の返事を聞く前に自分の席へと戻った。