家族3
久しぶりの投稿です・・・。
「お前たちの家ってどこ?」
再び車に乗り込んだところで悠也が言った。
「俺のところは短期間だから狭いし何もないんだ。それに悠貴を寝かせたほうがいいだろうから千草の家の方がいいだろ?」
「そうね・・・」
悠也の言うことももっともなので千草は素直に道案内をした。
出発地からたいして離れていなかったのですぐに家へと着いた。
うとうとしていたところを起こされてぐずる悠貴を悠也が抱き上げたので千草は先立って部屋へと向かう。
「ここはちゃんと防犯されてないだろう?大丈夫なのか?」
「そんなこと言ってられないわよ。あたしの給料じゃ安いし・・・どうぞ」
「ああ」
何か言いたそうな悠也を無視して部屋へと促す。
後に続いて部屋に入った千草は鍵をかけると悠也を追い越して部屋の明かりをつけた。
悠貴を受け取ろうと振り返れば悠也がすでに次の部屋へと入っていた。
「あ、ちょっと待ってよ。今布団敷くからっ」
「ん・・・悠貴?」
悠也が呼びかけたが本格的に夢の世界へ行っているらしく何も反応がない。
「重いでしょ?ここに寝かせて」
「これぐらい大丈夫だ」
そう言いながら千草がしめす場所へそっと悠貴を寝かす。
布団をしっかりかぶせると優しく髪をなでる悠也の様子に胸が痛くなる。
自分の勘違いで私は悠貴から父親を奪ってこの人からも・・・。
「千草。自分を責めるなよ」
「え・・・」
「お前の考えてることなんてわかるんだよ。そりゃ突然別れ切り出されて姿も消して再会すれば冷たくされて意味分かんなくて腹が立ってたけど今はもうどうでもいい。悠貴もいるし千草の誤解もとけたんだろ?昔のことだ、ここから3人の未来を始めればいいじゃないか」
「悠也・・・」
「俺は心が広いからな」
「ごめんなさい・・・許して・・・っ」
その場で泣き崩れる千草へ悠也は近づくと強く抱き締めた。
「もう何があっても離さないから・・・で、これからはお互い思ったことは言っていこう。すれ違うのはもう嫌なんだ」
「わかったわ。約束する」
「悠貴には明日俺が父親だって事もいうからな」
「ええ」
今まで気が張っていたのがすべてなくなって体が軽くなっていく。
しっかりと抱きしめてくれる腕にもたれかかると腕を掴まれて体が離される。
二人の視線が合わさり悠也の顔が近付いてくる。
千草は逃げることもなく瞼を閉じるとその時を待った。