1/15
プロローグ
「やっばーっ。遅くなっちゃったよ」
千草は急いで廊下を走っていた。
思ったよりも教授の話が長く捕まってしまい待たせていた恋人である悠也の元へ急いでいたのだ。
「怒ってるかな~。待たせるとうるさいしな~」
教室で待っているだろう悠也の怒った顔が思い浮かぶ。
教室の目の前まで来ると立ち止まり様子を窺おうと音をたてないよう静かに扉を開いた。
その時。
目の前の光景に自分の目を疑った。
奥からこみ上げてきて声も出ない。
そこには悠也と同じサークルの女の子が抱き合ってキスをしていた。
千草は耐えられずそこから逃げ出した。