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4話〜日課と魔法〜

 ボクは5歳になった。魔王領での生活は、イリシアさんと一緒のおかげで、毎日、孤独にならず楽しい日々を過ごしている。。イリシアさんは四天王で任務で忙しいにもかかわらずボクと遊んでくれる。


 ボクはイリシアさんの姿を以前よりもずっとはっきりと認識できるようになった。


 イリシアさんは、かわいくて、息をのむほど綺麗な女性の悪魔だ。濃い赤の髪と鋭い黄色の瞳をしている。いつも黒を基調とし、要所要所に赤が施された服装は、悪魔の女王のよう。それでいてスタイルも良く、その胸は…うん、そこそこある。


 体はまだ5歳の子供だが、中身は転生者だ。こんな可愛くて綺麗な女性の悪魔が、毎日お風呂に入れてくれたり、膝の上で絵本を読んでくれたりするのだ。ボクの理性と身が持たないよ。


 魔王領では、ボクのような人間は唯一の例外だ。ときどき、屋敷の周りを通りかかる魔族たちが、ボクがイリシアさんといるのを見て、驚き、戸惑い、殺気、そして少しの羨望を込めた視線を投げかけてくるのを感じる。しかし、イリシアさんはそんな視線など微塵も気にしない。ただただ、ボクを大切に育ててくれる。そんなボクにとっては本当にありがたかった。


 イリシアさんが四天王としての任務に行っている間、屋敷の図書室で本を読んで過ごす。棚にあった魔族の歴史書や魔術書、魔法書などは、5歳のボクにはまだ難しいと思うが転生者であるボクにとっては全てが翻訳されている!しかし、発音や記憶していない言語はまだ書くことはまだできない。


 イリシアさんが任務に出かけるたびに、ボクの心はいつも沈んでしまう。彼女の任務は、常に死と隣り合わせ。戦いになると四天王とはいえど、命を落としてしまうかもしれない。


 だから、イリシアさんが無事に帰ってくると、ボクはすぐに玄関まで走り、全力で彼女の足に抱きつくのが日課になっている。


「ただいま、レイ…。あ〜なんて可愛い子なの」


 そう言いながら、イリシアさんはボクを強く抱き返してくれる。それはいつも温かった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 本を読んでいるうちに、文字も発音も覚えた。本で発音まで覚えられるとは、本は本当に偉大だと思った。しかし、まだ発音は変なのかもしれない。そして判明したのだが、ボクとイリシアさんが話している言語は、なんと魔族言語だった……。


 ボクは魔法を使ってみたくなった。心臓は血液を全身に送るためのものだが、同時に魔力を生み出す場所でもある。魔力は血の中に含まれていて、魔法はその魔力を外に引き出すことで使えるらしい。魔力の種類で何に特化しているかがわかり、魔力量の多い少ないも人それぞれで異なる。


 しかし、血が流れると同時に魔力も減る。さらに、一度外に出した魔力はすぐに消えてしまう。また、魔力には詠唱が必要で、その方法は人それぞれ。想像力の使い方がとても重要らしい。


 ボクはある本に書かれている基礎の例を参考にして、まずファイヤーボールを使ってみることにした。使い方は3種類あるらしい。


“火よ、我の闘志を燃やし、ここに顕現せよ、ファイヤーボール”

 二番目に簡単だが、詠唱は少し長い。初めは誰もがこのくらいの長さの詠唱を使うという。


“火よ、顕現せよ、ファイヤーボール”

 詠唱を短縮したもの。最も簡単そうに見えるが、意外に難しい。“我の闘志を燃やし”と“ここに”がないため、想像力で魔力を流しすぎないよう注意しなければならない。思った場所に現れず、体に火がついたり、爆発事故が起きたり、自分の魔力を全部消耗してしまったりすることもある。そのため難しいとされている。慣れれば無意識で想像でき、事故を避けることも可能。また、詠唱を片方だけ使ったり、上限はあるが長くして別の効果を加えたりすることもできる。


“ファイヤーボール”

 高い想像力と才能が必要で、失敗すれば何も起こらない。また、“ファイヤーボール”と言わなくても発動できる。


 ボクは試しに、一の例を使ってみた。手のひらを差し出して詠唱する。


「火よ、我の闘志を燃やし、ここに顕現せよ、ファイヤーボール」


 すると、手からファイヤーボールが出た。しかし、すぐに消えてしまう。


「もう一回だ!今度はもっと長く出せるように想像する」


 再び詠唱すると、手からファイヤーボールが現れ、さっきより長く続いた。


 ボクは魔法の発動に成功し、嬉しくなった。

 それからボクは、毎日魔法の修行を続けることにした。

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